たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

弁護士の未来(2) <20回弁護士業務改革シンポ・紹介制度>を読みながら

2017-05-30 | 司法と弁護士・裁判官・検察官

170530 弁護士の未来(2) <20回弁護士業務改革シンポ・紹介制度>を読みながら

 

昨夜は珍しく帰宅が9時になり、疲れて早々と床に入りました。おそらく多くの弁護士は9時を過ぎても平気で仕事を続け、渉外事務所なら夜中過ぎ、あるいは朝方までやっているかもしれません。それは昔の話で、今は働き方改革の影響で、夕方6時には仕事を終えるといった話がどこかであるかもしれませんが、私は希な例だと思っています。

 

ま、いわゆる日常業務は6時ないし7時に終わっても、それからさまざまな会合に出かけるのが弁護士業務の一環と考えるのがいまでも常態化しているのではないかと思います。会議案内も6時以降が普通です。私は体調を考えて不参加を決め込んでもう10年以上になります。

 

おかげで朝は気持ちよく起きられ、新鮮な空気にえもいわれぬ快感を得ています。それは金銭で得られない贅沢品ですね。今朝もそんな贅沢品をいただきながら、野鳥とともに気持ちのよい朝を楽しむことができました。

 

ところで、新聞情報もウェブ情報も、とくに興味をそそるものがなく、そういえば先日書き残した見出しの記事<20回弁護士業務改革シンポジウムのご案内>を続けようかと思い、前のブログでどこまで書いた確認したところ、第1から第3分科会までで終わっていました。見るとまだ第4から第9分科会まであるので、これは大変と思いつつ、皆さんどんな将来を目指しているのか、私も勉強になるので、記事をフォローしながら、触れてみたいと思います。むろんこういう活動は6時以降であったり、土日であったりですので、メンバーは過重労働をこなしているわけです。

 

<第4分科会 弁護士紹介制度のあるべき姿>といっても、一般の方はこのような制度があること自体知らないかもしれません。というのは弁護士の一般的な事業モデルの古いタイプ(私もそうかもしれません)では、知り合いの誰かから紹介を受けた方を業務の依頼人にする形態であったかと思います。看板は別にして、広告宣伝などはもってのほかというか、弁護士倫理として認められていなかったと思うのです。

 

それがいつの間にか、広告宣伝が次第に普及し、<弁護士職務基本規定>でも、

「第九条 弁護士は、広告又は宣伝をするときは、虚偽又は誤導にわたる情報を提供しては ならない。

弁護士は、品位を損なう広告又は宣伝をしてはならない」

 

と広告宣伝が一定の制約を設けつつも、その媒体なりに制限がなくなり、いまではアメリカ並みに?TVやウェブ上で相当な数になっていますね。

 

で従来の基本モデルの「紹介」についても、弁護士職務基本規定11条では次のような制限があります。

 

弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)以下で禁止されているような人から「依頼者の紹介を受け、こ れらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。

 

また、私たち弁護士は仲間の弁護士や知人から紹介されるのが従前、一般的でしたが、その場合に紹介に対価や謝礼を授受してはいないことになっています。

 

同13条「第十三条 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払っては ならない。

 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはなら ない。

 

このような紹介システムは、弁護士の公正さや倫理性を担保するのに、意味があったと思います。私の場合知り合いの弁護士からの紹介を受けた事件が少なくなかったのですが、謝礼を払うとか、お礼の気持ちを表すということはありませんでした。むしろ紹介する弁護士の方がよろしくお願いしますと、ありがたがってくれていました(本音だと思いますが)。

 

しかし、このような個人的ルートで紹介するようなことだと、一般の方にとっては弁護士へのアクセスが非常に難しいですね。自分が関わっている事件に専門的知見があるとか、といった情報はどこにもありません。これは医者や医療情報と比較すると格段の差ですね。

 

といって弁護士の間でも、この弁護士がどの分野に強いといったことはあまり情報としては普及されてきませんでした。広告宣伝が禁止されていたこともあり、○○が得意とか、専門だとか標榜するチャンスもありませんでした。ま、そういうことを宣伝するといったことがはしたないことと思われていたきらいがありますね。

 

でも紛争に巻き込まれたり、トラブルが起こったとしても、弁護士の知り合いがいない人は困ってしまうでしょう。いや知り合いがいても多くの弁護士は、先述の通り他の弁護士の専門的知見情報をほとんど知らないのが実情だと思います。他方で、弁護士は一般に、特定分野を除き、オールラウンドプレーヤーの気分ですので、なんでも対応するかもしれません。

 

で、私の知り合いの弁護士はもう30数年前から、個別にそれぞれの弁護士の取り扱った事件データを収集し、勝敗を含めやり方など、整理していたのを覚えています。データの収集は、当時は判例データベースもなかったので、手作りですし、まだPCもプログラミングするには難しかったので、その解析とか判断要素・基準などを確立するのは容易ではなかったと思いますが、先見の明ともいえるかもしれませんでした。彼はいまこういった業務改革運動をリードしている一人になっています。

 

長々と余談が続いてしまいました。本論に戻らないと、すでに一時間近く経過しています。で分科会では

 

<当分科会では、①米国カリフォルニア州の弁護士会を訪問し、弁護士紹介サービスについて調査した結果の概要報告>として

ア 弁護士紹介サービスの合法化、

イ 弁護士紹介サービスについての認証制度の導入、

ウ 郡弁護士会における相談者に対する非営利の認証弁護士紹介サービスの実施、をあげています。

②弁護士紹介制度の存在意義、弁護士紹介の在り方等についての日米比較、

③弁護士検索サイトを運営する弁護士紹介業者に対する認証制度の検討状況の報告、

④今後の日本における弁護士紹介制度の在り方の提案等を行います。>

 

ということで、そういえばウェブ情報でも、紹介業者がいろんな方法で広報していることを思い出しました。また、私にまで頻繁に登録を求めるファックスとかが送られてきたのを思い出しました。私自身は、こういった紹介事業が適正に行われるのであれば、より積極的にしてもよいのではないかと思っています。ただ、過払い金返還請求とか、離婚慰謝料とか、養育費請求とか、保釈請求とか、割合、一般的なケースで、多数をこなしていれば、多少はノウハウも生まれるのでしょうから、それは一定の広報宣伝もいいでしょうけど、問題事例がないか、苦情受け付けが適切になされているかなど、配慮が必要だと思うのです。

 

で、弁護士会は弁護士紹介制度を設けていますが、専門分野ついてはまだ客観的な評価基準が確立していないので、これを研修制度の受講くらいですますのではなく、もう少し実務研修的なものまで組み込まないと専門性はなかなか客観的なものとして評価されないように思うのです。

 

とはいえ、たとえば医療事故などについて専門的知見のある弁護士といった評価を下すのは簡単ではないでしょう。どんな事件でもその個別性は顕著で、まして医療事故であれば、医師の専門分化が極端に進んでいる中、産婦人科の事例だけでも多種多様なのに、心臓外科や他の科の事件についての相談に、専門的知見をもって対応できるかというと、簡単にはいえないと思うのです。むろん基本的な証拠保全手続きとか、診療記録の検討、訴訟手続きなどは共通しますし、専門的な知見はその分野に通暁した専門医や文献によるので、なんでもOKといえばいえなくもないですが、やはり無理があると思っています。

 

といったわけで、紹介制度はある分野など多くの弁護士が納得できる手続きを通じて、専門分野を持つ弁護士を育て、紹介していくことかと思います。その場合、その分野ごと事例研修を定期的に行うことも必要ではないかと思うのです。たしか東弁で外国人問題を扱ったときなど、最初は手探りで、それぞれ事例を担当し、事件処理をその後相互研修しながら、相談マニュアルを作るなどして、専門性を高めていったように記憶しています。これは宇都宮元日弁連会長が主導したように記憶しています。

 

で、次の話題に入ろうかと思いましたが、少々疲れてきましたし、一時間を優に過ぎて6時も過ぎたので、この辺で今日は終わりにします。また続編をいつか書くかもしれません。

 


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