たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

日本人の法意識 <設計契約に関する改正民法のポイントとトラブル防止策>を読みながら

2017-10-07 | 建築が抱える問題

171007 日本人の法意識 <設計契約に関する改正民法のポイントとトラブル防止策>を読みながら

 

季節の変わり目でしょうか、どうも体が順応できないでいるようです。あるいは年とともに免疫機能が衰えてきたからでしょうか。ま、いろいろあるかと思いますが、少し体が重いので、今日のブログも簡単に済まそうかと思います。このあたりのいい加減さは千日ブログといってもただ継続であっぷあっぷの現状を示しています。

 

さて今日のテーマも体が重いせいかあまり思いつかず、ざっと見ていたら、懐かしい顔にであったので、関心のあるテーマではないのですが、取り上げることにしました。

 

日経アーキテクチャの本日の記事では<建築版「改正民法」万全準備セミナー>を紹介しつつ、日置雅晴弁護士にインタビューした<設計契約に関する改正民法のポイントとトラブル防止策>を掲載しています。

 

日置さんとは東京・横浜時代、長く一緒に仕事をやった仲です。そうそう彼が長くPCやメール(当時は別の呼称でしたか)をやっていて、たしか四半世紀前勧められてPC30万円以上で買ったのはいいのですが、ms-dos時代で合間に学んでもまったく歯が立たず、ほとんど使わないまま没になったのを思い出しました。

 

ともかく彼とは建築関係の訴訟をどのくらいやったでしょうか、今となってはいい思い出です。日弁連のシンポジウムでもいろいろ手伝ってもらいました。ただ、彼は学究的な側面もあったので、ある時期から大学で教えることが多くなったようです。

 

ともかく彼が設計契約に関して、今般の民法改正を紹介していますので、利用させてもらいます。私自身、あまり民法改正に関心を抱いていないものの、仕事上それでは困るので、こういう機会に少し勉強させてもらいます。

 

まず、<委任契約の場合に設計者が知っておきたい改正民法の1つは、委任契約を途中で解除したときに受任者(設計者)が委任者(建て主)に報酬を請求できる条件を緩くしたことだ。>具体的には<現行民法は、不可抗力により解除した場合に限っていたが、改正民法では、単に契約を途中解除した場合でも受任者は報酬を請求できるようにした。請求できる設計報酬についても、既に行った履行の割合や建て主が利益を受ける割合に応じると定めた。>

 

たしかに委任の規定は次のようになっています。

<(受任者の報酬)

第六百四十八条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。

2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。

3 委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。>

 

明治時代の民法を引き継いでいますから、委任では無報酬を前提としていますが、実際、弁護士との委任契約と同様、設計士のそれも、報酬規定を設けて、書面で個別条件を定めているのが普通でしょうね。

 

ただ、建築関係でいえば、設計士の委任契約書も、続く工事業者との請負契約書も、<建築設計・監理業務委託契約約款>、<建設工事標準請負契約約款>を添付して補う一方、内容はかなり大ざっぱ印象を受けます。

 

ま、それで問題がなければいいのですが、書面化が当事者間できちんと意識化されていないのが日本の現状ではないかと思うのです。とりわけ設計や監理、工事はいずれも長期間におよび実際の交渉経過、さらに工事実施の中で、相当回数変更が不可欠ですが、きちんと変更条件等について詰められていなかったり、文書化されていないことが少なくないため、信頼関係が崩れると、途端に一つ一つが問題になって、収拾がとれなくなることもあります。裁判で争っても容易に解決することができないのもこういったことが一因ではないかと思うのです。

 

その意味では、民法改正の各条項も大事ですが、具体の契約書やその進行過程での合意内容の文書化をするように心がけることが、紛争回避・その縮小に役立つように思うのです。IT化が進んでいるのですから、スマートフォンやIPADなどで即座にタイプして、またサインをもらうことでも十分有効に働くのですから、施工技術のIoTとかAI化も大事ですが、関係当事者の合意や変更について、よりデジタル化の活用を望みたいものです。

 

日置さんのアドバイスも実際的で興味深いですね。<盛り込みたい1つは、途中で解除する方法と精算方法だ。もめる要因になりがちなので、できる限り具体的に決めておくことを勧める。設計者と建て主が設計内容をどのように確認、合意するかという手続き方法も盛り込みたい。例えば、メールで伝えた用件は何日以内に返答がない場合、合意とみなすなどだ。設計内容でもめた際に、契約に適合しているかどうか判断するのに役立つ。>

 

その他にいろいろ指摘しているので興味のある方上記ウェブにアクセスしてください。

 

少し疲れていますので、今日はこの辺でおしまい。


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