たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

風と山と <進む「アジアスーパーグリッド構想」、モンゴルで50MWの風力発電所が稼働>などを読みながら

2017-10-23 | 原子力・エネルギー・地球環境

171023 風と山と <進む「アジアスーパーグリッド構想」、モンゴルで50MWの風力発電所が稼働>などを読みながら

 

台風21号が日本全土に暴風雨を浴びせてようやく立ち去ったようです。風と雨の力はやはりすごいですね。当地・橋本は紀伊山地のおかげか、また和泉山脈のおかげか、めったに台風の暴風雨に直撃されることがないように思います。今回も窓際に立って、雨風の様子を眺めながら自然の営みを感じていました。

 

これが紀伊半島の南部だとそうはいきません。各地で大きな被害がいつも発生します。太平洋からの暴風雨が直撃するわけですね。1500万年前に火山活動で生まれた紀伊山地(その後もいろいろな隆起沈降を繰り返したと思いますが)はその自然の防波堤の役割を果たしているように思うのです。

 

この広大に広がる紀伊山地が、様々な方向に峰が連なる複雑な地形で、どのようにこの雨風を受け止め、そのエネルギーを緩和させるのかはよくわかりませんが、紀ノ川のそばにいると、自然の猛威をあまり感じないのです。むろん戦前までは、ダムもなく土石流のような氾濫が紀ノ川を龍神のごとく暴れさせていたのだと思いますが。それはあくまで河川の氾濫であって、暴風雨自体はさほど大きな被害を与えなかったのではないかと思うのです。

 

この山地山脈の役割についてはまたの機会に触れてみたいと思います。本日の話題は、このような樹木の緑豊かな山地と異なる砂漠が舞台です。

 

自然エネルギー:進む「アジアスーパーグリッド構想」、モンゴルで50MWの風力発電所が稼働>によれば、<ソフトバンクグループが出資する50MWの風力発電所がモンゴルのゴビ砂漠で稼働を開始。年間発電量は2kWhを見込む大型のウィンドファームだ。>

 

砂漠だから海上のように、年間を通じて山などに邪魔されず風を風車が受けエネルギーに変えることができることから有望だと思うのです。問題は電力消費地までの送電網でしょうか。この点、採算がとれる程度の裏付けがあるようにも見えます。

 

<この風力発電所「Tsetsii Wind Farm」は、モンゴル国内の電力需給問題への貢献および自然エネルギーの促進と、同国の持続的な経済発展および気候変動の緩和に寄与することを目的に、Clean Energy Asiaが発電事業者として建設。発電した電力はモンゴル国内向けの送電網に接続し、モンゴルでの国内で利用される。>

 

以前見た、デンマークのコペンハーゲン空港そばの海上に浮かぶ風力発電の林立は壮観でした。発電機の間近に電力消費地があるのですから、この場合は費用対効果も環境面もクリアするのでしょうね。

 

また、カナダの風力発電も豪快ですが、よりダイナミックに感じるのは水力発電です。流量が多いから高低差はあまりなくても発電量が大きいため、アメリカに大規模に輸出していましたね。

 

さてモンゴルの風力発電など自然エネルギーの将来はどうなんでしょう。

 

<ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、今回の風力発電所の稼働に際し、「2011年に発表した『アジア・スーパー・グリッド構想』をきっかけに、ソフトバンクグループによるモンゴルでの自然エネルギー開発の取り組みがスタートした。このプロジェクトが運転開始を迎えたことで、当グループは日本、インドに加え、モンゴルでもアジア・スーパー・グリッド構想に基づく自然エネルギー事業の橋頭堡(きょうとうほ)を築けたことを大変うれしく思う」と述べた。>

 

孫氏の考える構想は地球全体を視野に入れていますね。ではその「アジア・スーパー・グリッド構想」とはどんなものでしょう。

 

日本とアジアをつなぐ国際送電網(1):電力を輸出入する時代へ、世界最大市場の北東アジアに>はその一つの考え方を示しているように思えます。

 

「国際送電網」といってもぴんとこないのが普通でしょう。だいたい国内だけでもばらばらなのですから。でも道は少しずつ開けているようです。

 

<すでに日本の周辺の海底には、数多くの通信ケーブルが張りめぐらされている実績がある(図1)。意外に知られていないことだが、各国の領海の外側でも、海底ケーブルを敷設する自由が国際条約で認められている。日本の周辺に海底ケーブルを敷設する場合には、韓国やロシアとの間に排他的経済水域が存在するが、二国間で合意を得ることができれば、その国際条約上の問題は生じない。>

 

そして<海底ケーブルを敷設する経験は日本企業の間にも蓄積されている。通信ネットワークと同様に電力ネットワークを周辺各国とケーブルでつなぐこと自体は、いまや技術と法制度の両面で可能な状況にある。>ここまでは想定として理解できますね。

 

<日本や中国を加えた国際送電網の構想として、自然エネルギー財団が「アジア・スーパーグリッド」を2011年に提唱した。風力発電と太陽光発電の導入ポテンシャルが大きいモンゴルを電力の供給源として、中国・韓国・ロシア・日本を国際送電網で結ぶ(図3)。>というのですね。これは豪快な話ですが、孫氏の今回の事業はその最初の拠点を作ったとも言えるのでしょうか。

 

将来こういった国際送電網ができるといろいろメリットがありますね。

 

<北東アジアに国際送電網を構築できると、電力の輸入と輸出が拡大していく。電力の安い国から高い国へ電力を売ることが可能になり、各国の小売価格の差が縮小する見込みだ。現在のところ日本の電力小売価格は他国と比べて圧倒的に高い。家庭向けでは韓国の約2倍、中国の約3倍、モンゴルやロシアの約4倍の水準にある(図8)。国際送電網が拡大することによって、日本の電気料金の低減が期待できる。>原発もベースロードと標榜できなくなるかもしれない?という人は開発者にはいないかもしれませんね。

 

電力需給の調整が大規模にできるというのは想定できますが、逆によほどしっかり構築しないとどこかで過剰、あるいは過小になるおそれもあるように思うのですが。

 

<電力の需給面でもメリットはある。5カ国の消費電力量を月別に見ると、日本・中国・韓国では夏と冬に電力需要のピークが訪れる(図9)。一方でモンゴルとロシア(シベリアと極東地域)では需要のピークは冬だけで、日・中・韓で需要が増大する夏に電力を供給できる十分な余力がある。>

 

夢は広がり期待も広がりますね。ただ、風と山の関係はどうなるのでしょうかね。日本の急峻な山岳地帯は送電網のコストも大変ですし、送電ロスも大きいと思うのです。日本の山岳が自然エネルギーの発電と送電においてどのような意義をもつのか、もう少し検討してみたいと思います。

 

今日はこの辺でおしまい。


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