ばらくてブログ――おうたのかいオブさんのおおばらブログ――

おうたのかい作曲・歌唱担当オブさんが、日々のあれこれをてきとうに綴る、まとまりもとりとめもないいかがわ日記

シロウト考え休むに似たり(6)「新潟の地ビール」について考えちゃったりする。

2015-12-26 15:49:07 | Weblog
 17年ほど前、「ばらくて」の創刊号でエチゴビールの特集をして以来の「地ビール」ファンです。15年前まで萬代橋たもとのコズミックスビルにあったエチゴビールのブルーパブ「ブルーメ」には週末ごとに入り浸り、ペールエールやアンバーエール、スタウト、IPAなどのうまいビールを、それこそ浴びるように飲んでいました。ブルーメなき現在は、行きつけのパブで長野の地ビールをいただいたり、新潟駅南口にできた「クラフトビール館」で、日本全国のさまざまな種類の地ビールを飲んだりしています。今では、県内にも多数の地ビールメーカーがあります。新たに「沼垂ビール」も誕生し、年明けから飲むことができそうです。
 もちろん、日本酒も新潟の「地酒」が好きなのは言うまでもありません(本当は「酒」と書きたいのですが、他のアルコール飲料との書き分けがとても難しいため、ここではやむを得ず「日本酒」とします)。「淡麗辛口」が新潟県産日本酒の特徴だ、とよく語られますが、実はそんなことはありません。上越地方の日本酒は、やや甘く感じるもののほうがむしろ主流ですし、「村祐」や「壱醸」「山間」など、甘みを前面に押し出した日本酒も全国的な人気です。「舞鶴鼓88」は、精米歩合がなんと88%(12%しか削っていないということです)で、独特の濃い味わいが魅力的です。そのような多彩な酒をいただけるのは、一新潟県民としてまことに幸せなことだと心から思っています。

地元原料を使用しない酒を「地酒・地ビール」と言えるか

 さて、「地酒」「地ビール」というからには、その原料も当然地元のものであると思いがちですが、現実にはそうでもないようです。新潟のみならず全国的人気を誇るとある蔵元は、「兵庫県産最高級山田錦を使用した最高級の酒をご賞味ください」という趣旨のラジオコマーシャルを堂々と流しています。ということは、地場の原料を使用していないということですから、その酒については「地酒」を名乗るのはちょっとどうなのかな、と思ったりします。もちろん、作る側からすれば、最高の原料を使用して最高の技術で最高の製品を作ろう、と考えるのは当たり前なので、それを批判することはできませんが(ちなみに、兵庫県産山田錦を使用している県内の蔵は、他にももちろんたくさんあります。みんなとても美味しいです)。
 地ビールのほうはもっと極端です。地ビールの原料の大麦はどこから調達するかというと、最近でこそ「原料もすべて国内産」を標榜するものも県外のブルワリーではぽつぽつ現れてはきましたが、県内では、まだまだ地元産どころか国内ですらない、というところが多いようです。そういうのを「地ビール」と言っていいのかな、と個人的には思います(だから最近は「地ビール」でなく「クラフトビール」というのかな)。いつも美味しくいただいてはいるので、作り手の苦労も知らずに勝手なことを言うのもどうなのか、という気はもちろんします。
 ここからはいかにもシロウト丸出しで気が引けるのですが、地酒・地ビールというのなら、やはり、原材料はすべて地元のものを使ってほしいところです。まあ、新潟の日本酒については、米どころ新潟における代表的産品で、新潟県産の原料米を使っているところが圧倒的に多いわけですし、外国産の米を使用しているなどというところもないでしょうから、とりあえずそんなに心配してはいませんが、地ビールのほうは大麦やホップといった原料を外国産に頼るところがほとんどです。それでは、本当の意味での「地ビール」とは言えません。そこをなんとかできないか、と思うのです。
 
地元農業者と連携して、真の意味での「地ビール」を作れないか

 「食」の基本は地産地消であるべきです。以前にも書いたとおり、「食」を外国からの輸入に頼るのは、食料安全保障・食料主権(いずれも堀井修さんの言葉)の観点からも問題です。地ビールも私たちの「食」の重要な一品の一つになりつつある今日、その原材料も可能な限り地元から調達することを追求すべきではないか、と私は思います。そのためには、農業者との連携が不可欠です。農業県としての新潟の実力は、実は相当なものです。その力を、地ビールづくりに生かすことは、決して不可能ではない、と思うのです。そのことは、増える一方の遊休農地の再生や再活用を促すことになり、広い意味での環境保全にもつながるのではないでしょうか。
 新潟の将来を考える上で、農業とそこから派生するさまざまな産業は極めて重要だと思います。私は「新潟県総マルシェ化」というのも「あり」なのではないか、と考えています。新潟に住んでいれば、あるいは新潟を訪れれば、それだけで豊かな「食」の文化を堪能できる。そんなふうになれば、それだけで新潟は活性化します。「地酒・地ビール」は、そのための重要なコンテンツとなりうるのではないか、と私は思うのです。

できるところから始められないか

 しかしまあ、実際にはかなり難しいのだろう、とは思います。
 そもそも、新潟県の農地でビール用の大麦やホップがうまく育つものなのかどうか。栽培するにしても、それが農業者の収入につながるのかどうか。育ったとしても、それが美味しいビールになるものなのかどうか。農業者とビール生産者の連携だけでなく、県民や行政からの後押しも必要でしょう。考え出せば、心配は次から次へと浮かんできます。
 とはいえ、新潟の日本酒はすでに産地呼称を始めています。国産ワインも、農林水産省が産地呼称を始めようとしているというニュースが報道されていました。
 地ビールもそういう方向性に向かうしかないのだろうと私は思っています。もちろん、いきなり全量地元産の原材料で作らなければならない、ということではなく、できるところから少しずつ始めていくしかないでしょう。少しずつ前進し、前進しつつ研究し、改良を加えていく。結局はそういう地道なとりくみしかないのだろう、と思うのです(飲むばかりの私がこういうことを言うのは本当に厚かましいと思います。全く申し訳ない)。


 ……と書いてはみたものの、今回はいつにも増してまとまりもなく、シロウト丸出しの恥ずかしい文章を書いちゃったな、と思う今日このごろ。でもアップしちゃうけど。皆さんからのやさしいアドバイスや修正をお待ちしておりますm(_ _)m。