最近、バッハと同時代やその前後の時代の作曲家の音楽に興味が出てきました。以前に買ってあまり聞いていなかった、1999年に発売されたヤン・ディスマス・ゼレンカ(1679-1745)のCDを久しぶりに聞きなおしてみました(POCC-1058/9)。オーボエ奏者のハインツ・ホリガーがこのゼレンカに魅せられて、1972年にアルヒーフで初録音した「6つのトリオ・ソナタ」を25年ぶりに再レコーディングをしたものです。
CDの解説書(ウーヴェ・シュヴァイケルト著、小林誠一訳)によると、彼は1679年10月16日に、プラハ南東の市場に立つ小さな街、ボヘミアで生まれています(バッハより4歳年下です)。父親は校長で、オルガン奏者として暮らしていたようです。ゼレンカの肖像画は1枚も残っていなくて、若年時代のことも一切知られていませんが、プラハの大学で音楽教育を受けたと考えられています。1710年(31歳)にザクセン選帝侯及びポーランド王(アウグストゥス強王)のドレスデンの宮廷オーケストラにヴィオローネ(コントラバス)奏者として迎えられています。その当時のドレスデンのオーケストラはヨーロッパの中でも「最も完璧なアンサンブル」と考えられていたようで、バッハもその当時憧れており、若ければライプチッヒからの転職も考えていたようです。1721年(42歳)には宮廷のカトリック教会楽団の副音楽長、1735年(56歳)には教会作曲者を勤めています。その後、宮廷楽長となり、1945年(66歳)に亡くなるまで、ドレスデンで精力的に活動されていたようです。
この「6つのトリオ・ソナタ集」は副音楽長になった頃の1721-1722年(42-43歳)に作曲されたと考えられています。彼は1715-16年(36-37歳)にウィーンのハプスブルク家の宮廷楽長を務めていたヨハン・ヨセフ・フックスの元で学ぶために休暇をとっているようで、そこでフックスの『古典対位法』を学んだようです。このウィーン滞在の結果、この「トリオ・ソナタ」が誕生したと考えられています。この作品は解説にもあるように、バッハと比較しても全く聴き劣りがしなくて、対位法、不協和音も新鮮で、ポリフォニックで何回聞いても飽きません。BGMで聞いても仕事が捗ります。思わずファンになってしまいました。ゼレンカの後期のミサ曲、《ミサ・デイ・パトリス》と《ミサ・オムニムス・サンクトルム》は教会音楽の最高峰に位置しており、バッハのミサ曲ロ短調に匹敵する記念碑的作品と考えられているようです。まだ聞いたことが無いので、是非聞いてみたいと思っています。(今、CDは日本で手に入るのでしょうかね?)
初めてコメントさせていただきます。
ゼレンカを検索していてこちらにたどり着きました。
私が始めてゼレンカを聴いたのも同じく「六つのソナタ集」でした。
Bona novaというレーベル、1995年ポニーキャニオンから出た2枚組みです。そして残念ながら、このCD以来、ゼレンカの新しい曲には出会うことがないまま今日に至っています。
《ミサ・デイ・パトリス》と《ミサ・オムニムス・サンクトルム》については、手持ちCDのライナーノーツには記述がありませんでしたので、こちらのブログを拝見して初めてその存在を知りました。
その後何か新しい情報はありましたでしょうか?
なんだか急に聴いてみたくてしかたありません(笑)。
僭越ではありますが、私のブログにアップいたしましたゼレンカについての記事のURLです。
お時間があるときにでもお読みいただけるなら嬉しく思います。
↓
http://follia.at.webry.info/200703/article_3.html