バッハは作曲する心得として弟子に次のようなことを言ったと伝えられています。ある本で読んだのですが、音楽とは色々な人が集まって楽しくおしゃべりしているようなもので、誰が主役、脇役でもなく、各人がそれぞれ自分の事を楽しくしゃべっていると同時に、他人の話にも耳を傾けて良く聞いて、会話全体が楽しく盛り上がっている状態に似ているという喩えです。ある話題について話している場合にも、誰が主役で、誰が聞き役と決まっているわけではなく、全員がそれぞれの個性を出してお話をしていて、しかもみんな全員が楽しく一つにまとまっている状態です。自然の音もまさしくそうです。森に入れば、風の音、草木が揺れる音、様々な鳥のさえずり、虫の鳴き声、それぞれが独立してはいるのですが、それら全体が調和し、森全体の雰囲気を醸し出しているのです。バッハの音楽が聞き飽きないのは、どの旋律、パートに耳を傾けるかによって、様々に聞こえるからかも知れません。全ての旋律を同時に聞き取れる音楽的才能がない私のとっては、何回聞いても新しく感じます。逆に考えれば、バッハの音楽を聞くのには集中力を要し、全てのパートを聞いてやろうと意気込むあまり神経を使い、疲れてしまうことがあります。でも最近は、あまり神経を使わずに、なるべく雰囲気を楽しむようにしています。何十回か聞いているうちに、将来は少しでも全体の構成がわかるかも知れないと期待しているのですが、おそらく一生聞き続けてもバッハの真髄は汲み取れないのではと感じているこの頃です。
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バッハへの愛情があふれていて、とっても素敵なブログですね。
複数の主人公たちや、街にあふれる音全てをフーガに織り込んで、美しい音楽に仕立ててしまうなんて・・・・バッハは本当に偉大な音楽家だと思います。
余談ですが、クラヴィコードで演奏されたバッハをお聞きになったことがありますか?
クラヴィコードは、タンジェントで弦を押すような仕組みで音のなる小さな鍵盤楽器で、オルガンの練習等にバッハも使っていたそうです。とても小さな音ですが、お琴のようにビブラートがかかったり、チェンバロとはまた違った趣があって素敵です。学生のころには、チェンバロそっちのけで夢中になってしまいました。
実際の音色からすると、微妙なニュアンスは聞き取りにくいのですが、若干CDも出ていたように思います。もし機会があったら、聞いてみてください。(ご存知だったら、ごめんなさい。)