ベルギービールで日本の中で最もポピュラーなのがこの「ヒューガルデン・ホワイト」かもしれません。
小麦ビールの柔らかくてフルーティーな香りがお馴染み。
濁りがあるのは酵母が活きているからで、注ぎ方にもコツがあります。
小麦の爽やかさとコク、フルーティーさの中にオレンジピールの酸味が残ります。
「ヒューガルデン」はベルギーのブリュッセルの東にあるヒューガルデン村を発祥とする白ビールです。
白ビールは小麦ビールとも言われ、小麦を多くの割合で使用して醸造したビールです。
ビールの発酵方法は「上面発酵」と「下面発酵」の2つがありますが、
白ビールは通常上面発酵で、複数のスタイルがあり、ビールによって風味も異なります。
ヒューガルデンは大麦・小麦・ホップを使用して醸造したビール。
苦味は少なく、コリアンダーやオレンジピールによるほんのりスパイシーで爽やかな飲み口が特徴。
この歴史がまた深い!
元々は14世紀から作られていたヒューガルデンですが、
20世紀に入って「ピルスナー」の人気に押され、ヒューガルデン村周辺の白ビール醸造所が次々に閉鎖。
何と1957年に途絶えてしまいました…。
それを1966年に当時牛乳屋だったピエール・セリスが、廃業したレモネード工場を買い取り、
醸造所として白ビール造りを再開してくれたことによって生き返ったのです(ありがとう!)!
村の名前にちなんで「ヒューガルデン・ホワイト」と名付けて販売し、
その頃ピルスナーに慣れた当時の人々に斬新な味として息を吹き返したのであります。
しかし1985年に醸造所が火災に遭ってしまい、インターブリュー社の傘下に。
大手ビール会社で製造されるようになったことで、「これは違う」と思った(はず)のピエール・セリスは、
今では「セリス・ホワイト」という白ビールを製造・販売するようになったそうな。
こういう歴史を知った上でビールを飲むのは、また別の意味での楽しみも増えます。
味に妥協をしない姿勢。
ピエール・セリスからは「一番忘れてはならないこと」を感じさせられます。
またそれとは別に、ここまでポピュラーになったヒューガルデン自体にも、必然性を感じずにいられない。
そんな深ーいビールなのでした。