オランダの毒女ブラックパール女史とのヤリトリで話題になった写真家ロバート・メイプルソープの約束ネタ。思い起こせば4年前、世界最大手のフォトサイト、フリッカーに出会って写真に目覚め、世界各国のフォトサイト、写真家、作品、はたまた写真史至るまで関心を持つようになった。それまで写真は写真でしかなく、視覚芸術という視点を持ち合わせなかった。写真についての知識、情報がほとんどなかった。したがってネットでありとあらゆる画像が簡単手軽に鑑賞できることが面白かったのだ。そして過去の貧しい写真の記憶を辿ってみると閃光を放っていた唯一の写真家がロバート・メイプルソープだった。米国の女性ボディビルダー、リサ・ライオンの写真集が日本で発売されたときメディアでも大きく取り上げられ、青山ブックセンターの洋書コーナーで山積み販売していた。それを見たときの衝撃を思い出した。写真に関心を持って改めてメイプルソープの作品を見てみると彫刻、塑像の西洋美術史の文脈で語られ、強烈なナルシズムとエロティシズムとグロテスクの織りなす極限の美意識があることがよく分かった。そして興味はメイプソープの特異な美意識へ向かう。ミュージシャンを目指していた内向的、自閉的な青年メイプルソープはパティ・スミスと出会い、彼女の影響を受け、彼女の売り込みによって写真家として世に名を成すワケだが、メイプルソープの伝記を読むとパティ・スミスと出会う以前に彼の特異な美意識を彷彿させる事件がある。それがタイトルの自慰する猿である。アートスクールの学生だったメイプルソープはペットとして自慰する猿を偏愛し飼っていた。猿に自慰を教えると死ぬまで自慰をヤリ続けるっていう伝説の真実を確かめたかったのかもしれない。スクラッチと名付けられた自慰猿は結局、メイプルソープが餌を与え忘れて死んでしまう。そして悲嘆にくれたメイプルソープはどうしたかっていうとナント、自慰猿スクラッチを鍋でグツグツ煮て肉を溶かし、頭骸骨を塑像して打楽器を作ってしまった。この悪魔的な行為はその後のメイプルソープの作品や人生を暗示するものであり、まあ、身震いするほどオゾマシイ。エキサイト翻訳を駆使してこの話をブラックパール女史にメールで送ったのだが、うまく伝わったかどうか定かでない。返事がなくてメールが途絶えてしまった、彼女ともこれまでか。