すごい揺れだった。
中越地震で経験した揺れや恐怖を上回るものだった。
生涯でこのような経験をすることはないと思っていた。
私はリビングのソファーでこぶちゃんを抱っこして座っていた。
妻は買い物に、りんりんは妻の実家に遊びに行っていた。
テレビは吹っ飛び、タンスは倒れ、部屋の中は散乱。
ゆらゆらと余震が続く中、こぶちゃんを抱っこし、ガクガクと震える膝に力を込めて一段一段何とか階段を降りた。
慌てて車をカーポートから出し、こぶちゃんを助手席に乗せたまま、ゆれがおさまったのを確認して、屋内に入る。オムツ、ミルク、お尻拭きを持ち出した。
寝室のタンスは完全に倒れ、地震の発生時間がずれていたらと、膝が崩れ落ちそうな衝撃。余震の再来が気になったので、再び外に出る。でも、何か必要なものをおいてきたような気がして気になる。そこに、妻が買い物先から帰ってくる。泣きながら車から降りてきた。こぶちゃんやりんりんの安否が心配で仕方なかったようだ。
そして、リンリンを迎えに行くことに。道中、倒壊した家並を見るにつけ、ことの異常さと無事でいた奇跡を思わずにいられなかった。背筋が凍る思いだ。
今回は海沿いの市街地。いわゆる旧市外の被害が甚大だ。東本町、西本町。
至るところで家屋が倒壊し、道路を封鎖している。
市内の避難所を日赤の資財運搬のためまわったが、至るところに倒壊した家屋があり、その家の住人を思うと、どうしているのだろう、辛く、悲しい思いを感じずにはいられない。
復旧まで長丁場だ。