今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

鉄仮面と私

2020年07月03日 | 日記・雑記・ただの戯言



 黒岩涙香先生の「鉄仮面」を愛読書と言えばかっこいいのですが、実はまだ一度しか読んでません。大学一年の時に学内の丸善の古本フェアで買った文庫本で、1980年の初版が購入価格350円でした。

 これがどういう話かと言うと、文庫のカバーによると「鉄の仮面に包まれたまま、30年の永い歳月を過ごした囚人がいた。鉄仮面とは何者ぞ? 鉄仮面の謎をめぐって、善悪入り乱れて織りなす人間模様、貞女ばんだの純情に涙して、列女梅真女の知謀に感嘆し、忠臣幸助の勇猛さに喝采を送る。手に汗握る、怪奇的歴史小説の決定版。」。決定版なら今も普通に買えればいいようなものの、探してみても売ってません。

 そして黒岩涙香先生がどういう人物かというと、文庫カバーによると「文久二年-大正九年(1862-1920) ジャーナリスト・翻訳家。高知県出身。本名周六。16歳の時、大阪英語学校に学び、のち上京。(中略) 代表作に「鉄仮面」「巌窟王」「ああ無情」等。」という人です。私が黒岩涙香先生を知ったのは、江戸川乱歩ファンだったからかもしれません。今となってはもう覚えてませんが、私よりほぼ100年前に生まれた人だったのですね。高知県出身ということは、土佐藩士だったようで。

 それでこの文庫ですが、字は小さいし明治時代の新聞の連載小説で文章はわかりにくいし、それでも読み始めたら止まらないという魅力があります。記憶によると大正時代の小説だと思ってたのですが、明治25年から26年にかけて新聞に連載されていたものだそうです。今は「はね駒」とか「あかんたれ」とか見てますが、それこそこれらのドラマの主人公が過ごしてたような時代だったわけです。

 この小説はすごく面白いのですが、何しろ結構前の文庫本なので文字が小さくてローガンズには非常につらいと。ただ、最近ハズキルーペを入手したので、これならまた読めるかなぁと思ってます。

 なお、学生時代に京都で宗教の勧誘と思われるアンケートに遭遇したことがあったのですが、「好きな本は?」と聞かれたので「鉄仮面」と答えたら、その人はしばらく考えて「鉄火面」と記載。鉄火巻が好きだったのでしょうか。あるいは、いっそのこと「鉄火麺」という新メニューを作ればよかったのかもしれません。

 なお、その時には好きな映画も聞かれたので、直前に見たポールニューマン主演の法廷ドラマ「評決」と答えたら、またちょっと考えて「氷結」と書いてました。北国の生まれの人なのかもしれません。まだ、そういう名前のチューハイは無かった時代ですし。

 最近はこういうアンケートに遭遇したことはないのですが、そういう時の嫌がらせのために、好きな映画のタイトルは「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」、好きな本は「ヰタ・セクスアリス」とか「闇に蠢く」「蝙蝠と蛞蝓」「午後の曳航」「金談にからまる詩的要素の神秘性に就て」「霓博士の頽廃」「鸚鵡を飼う女」などをぺらぺらっとしゃべって、相手が漢字で正しく書けるまで指導してあげるといいかもしれません。今でも「鉄仮面」と聞くと、そんなことを思い出します。