先月沖縄で起きた米軍属による女性遺棄事件で、沖縄でふたたび反基地感情が高まっている。
同じような事件がいつまで経ってもなくならないのだから当然だろう。しかしながら、ほかにいろいろと大きいできごとがあって、この事件についてはもうあまり報じられなくなっているという状況がある。このような風化現象に抗しようという当ブログのコンセプトに則って、ここでまた沖縄の基地問題について書いておきたい。
問題の事件に関して、朝日新聞が「米軍関係者による犯罪、なぜなくならないのか」という記事を書いているので、今回はこの記事の引用からはじめる。
この記事では、母親を米兵に殺害された沖縄の男性や、内縁の妻を米兵に殺害された神奈川の男性が紹介されていると並んで、米海軍兵に性的暴行を受けた女性が紹介されている。
この女性は、被害に遭って以後、沖縄で米軍がらみの性犯罪が相次いでいることを知って、自分と同じように性的暴行を受けた被害者への支援活動に取り組んでいるが、米軍関係者による事件が起きるたびに、《日本政府は「怒っているふり」をし、米政府は「再発防止を約束するふり」をするが、実際の行動に結びついていないのではないか》という感想を抱くという。
まさに、そのとおりだろう。
そして、今回の事件に関しても、まさにその実例というべき事態が起きている。
この事件のあと、米国のカーター国防長官やケリー国務長官は「心からの謝罪」を表明し、日本の島尻・沖縄北方担当大臣は、「『怒り心頭に発す』という言葉があるが、怒りをどこに向けたらいいかわからない」と発言した。また安倍総理も、日米首脳会談でオバマ大統領に抗議したとされている。
しかし、この遺棄事件で米軍属の容疑者が逮捕されて在沖米軍が「綱紀粛正」を誓った三日後に、沖縄の米兵が酒気帯び運転で逮捕。綱紀粛正とはなんだったのか、と呆れる声があがっている。
そして、沖縄県議会で日米地位協定の抜本改定、米軍基地の大幅な整理縮小などを求める日米両政府への抗議決議案が出されると、沖縄県議会の自民党はこれに反発し、採決時には退席した。また、中央政府でも、安倍政権は地位協定の見直しに慎重な姿勢をみせている。
こうしたことを見ていると、まさに日本の対応は「怒っているふり」であり、アメリカの対応は「再発防止を約束するふり」としか考えられない。
米軍側の事情については、最近イギリス人ジャーナリストによって沖縄に駐留する米海兵隊むけの教育資料が暴露され、その侮辱的・差別的な内容が問題となってもいる。「米軍は経済的成長の源泉」と、実態とかけ離れた記述があるかと思えば、沖縄での議論は「論理的というより感情的」「責任転嫁」などとも書いてあり、こんな教育を受けた軍人たちがいざというときに本当に沖縄県民を守ってくれるのか――そういう疑問さえもってしまう。
また、自民党に関しては、自民党の神奈川県議である小島健一という人が、基地反対運動に携わる人たちを「基地外」と表現して、物議をかもしている。本人は「差別的な意図はない」としているが、「基地外」というのはよく知られたネットスラングであり、あえてそういう言い方をするのに悪意がなかったとはとうてい思えない。つまりは、自民党の政治家というのはこういうネトウヨレベルの感覚で沖縄を見ているのではないか。
日米が互いに「怒っているふり」「再発防止を約束するふり」という予定調和の演技で幕引きしてしまうのだから、同じような事件が何度も繰り返されるのも当然だ。つまりは、自民党政権が続くかぎり、沖縄は“植民地”状態を延々強いられることになるのである。
同じような事件がいつまで経ってもなくならないのだから当然だろう。しかしながら、ほかにいろいろと大きいできごとがあって、この事件についてはもうあまり報じられなくなっているという状況がある。このような風化現象に抗しようという当ブログのコンセプトに則って、ここでまた沖縄の基地問題について書いておきたい。
問題の事件に関して、朝日新聞が「米軍関係者による犯罪、なぜなくならないのか」という記事を書いているので、今回はこの記事の引用からはじめる。
この記事では、母親を米兵に殺害された沖縄の男性や、内縁の妻を米兵に殺害された神奈川の男性が紹介されていると並んで、米海軍兵に性的暴行を受けた女性が紹介されている。
この女性は、被害に遭って以後、沖縄で米軍がらみの性犯罪が相次いでいることを知って、自分と同じように性的暴行を受けた被害者への支援活動に取り組んでいるが、米軍関係者による事件が起きるたびに、《日本政府は「怒っているふり」をし、米政府は「再発防止を約束するふり」をするが、実際の行動に結びついていないのではないか》という感想を抱くという。
まさに、そのとおりだろう。
そして、今回の事件に関しても、まさにその実例というべき事態が起きている。
この事件のあと、米国のカーター国防長官やケリー国務長官は「心からの謝罪」を表明し、日本の島尻・沖縄北方担当大臣は、「『怒り心頭に発す』という言葉があるが、怒りをどこに向けたらいいかわからない」と発言した。また安倍総理も、日米首脳会談でオバマ大統領に抗議したとされている。
しかし、この遺棄事件で米軍属の容疑者が逮捕されて在沖米軍が「綱紀粛正」を誓った三日後に、沖縄の米兵が酒気帯び運転で逮捕。綱紀粛正とはなんだったのか、と呆れる声があがっている。
そして、沖縄県議会で日米地位協定の抜本改定、米軍基地の大幅な整理縮小などを求める日米両政府への抗議決議案が出されると、沖縄県議会の自民党はこれに反発し、採決時には退席した。また、中央政府でも、安倍政権は地位協定の見直しに慎重な姿勢をみせている。
こうしたことを見ていると、まさに日本の対応は「怒っているふり」であり、アメリカの対応は「再発防止を約束するふり」としか考えられない。
米軍側の事情については、最近イギリス人ジャーナリストによって沖縄に駐留する米海兵隊むけの教育資料が暴露され、その侮辱的・差別的な内容が問題となってもいる。「米軍は経済的成長の源泉」と、実態とかけ離れた記述があるかと思えば、沖縄での議論は「論理的というより感情的」「責任転嫁」などとも書いてあり、こんな教育を受けた軍人たちがいざというときに本当に沖縄県民を守ってくれるのか――そういう疑問さえもってしまう。
また、自民党に関しては、自民党の神奈川県議である小島健一という人が、基地反対運動に携わる人たちを「基地外」と表現して、物議をかもしている。本人は「差別的な意図はない」としているが、「基地外」というのはよく知られたネットスラングであり、あえてそういう言い方をするのに悪意がなかったとはとうてい思えない。つまりは、自民党の政治家というのはこういうネトウヨレベルの感覚で沖縄を見ているのではないか。
日米が互いに「怒っているふり」「再発防止を約束するふり」という予定調和の演技で幕引きしてしまうのだから、同じような事件が何度も繰り返されるのも当然だ。つまりは、自民党政権が続くかぎり、沖縄は“植民地”状態を延々強いられることになるのである。