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目取真俊氏、逮捕――あらためて沖縄の基地問題を考える

2016-04-02 21:41:28 | 沖縄
 芥川賞作家の目取真俊氏が逮捕された。
 辺野古海上での抗議行動中に米軍に拘束され、その後海保に逮捕されたとのことで、米軍による拘束も海保による逮捕も、これまでの抗議活動で初のことだという。

 目取真氏といえば、沖縄に対する本土の姿勢を鋭く批判し、ここgoo ブログにブログを開設して沖縄での抗議活動をレポートしてきた筋金入りの闘士である。みずからもカヌーに乗って海上での抗議行動を行ってきており、その活動中に今回の逮捕ということになった。奇しくも4月1日というのは、沖縄戦の始まった日だが、その日に米軍によって沖縄の民間人が拘束されたというあたり、沖縄はいまだに「戦後」を背負わされ続けているのだと実感する。

 さて、日本のメディアでは、逮捕された時点でもう「目取真容疑者」と呼んで“悪人”扱いがはじまるわけだが、はたしてこの件で目取真氏を犯罪者扱いしもてよいのだろうか。この点を、非暴力の抵抗運動という観点から考えてみたい。

 たとえば、かつてアメリカで行われ公民権運動のことを考えてみる。
 以前に一度このブログで書いたことだが、公民権運動は、不当な法に対抗するためにあえてその法を破ることでその非道さ、不条理を白日のもとにさらすというものであった。そして、多くの人が「法律のほうがおかしい」と考えた。そして、それが法律そのものを変えるという方向に動いていったのである。それが、非暴力の抵抗運動によって社会を変革するほぼ唯一の方法であり、それはアメリカにおいては実際に成功したのだ。

 そういう観点からみれば、辺野古の反基地運動は、日本人一人ひとりに対する問いかけなのである。
 国がやっていることと、それに抵抗している人たちのやっていることと、いったいどちらがより犯罪的なのか。本当にいまの状況のままでいいのか。そうでないなら、制度の側が変革されるべきではないのか――そういう問いだ。
 われわれは、目取真氏を犯罪者扱いするのではなく、その問いかけに耳を傾けなければならない。
 そしてそれは、もちろん目取真氏だけのことではない。芥川賞作家だから今回の件は注目されているが、基地のゲート前抗議などではこれまでに複数の逮捕者が出ていて、不当な弾圧と批判されている。せめて今回の件をきっかけにして、沖縄で起きていることに本土の人間ももっと目を向けなければならないのではないだろうか。


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