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SEALDs奥田氏を脅迫したとして、19歳の少年を逮捕

2016-01-13 20:23:12 | 政治・経済
 もう一週間ほど前のことになるが、SEALDsの奥田愛基氏を脅迫したとして、19歳の少年が逮捕された。
 報道されるところによると、この人物は、“ストレスを発散するためにやった”と語ったという。

 私はここに、反・反安保法運動=安倍政権支持層の正体を見た気がする。つまるところ、SEALDsに対していやがらせをしているような人たちは、安全保障のことなど考えていない。単に、“ストレスを発散”したいだけなのだ。これは、以前に書いた「砂漠に水を」という記事にもつながってくることだが、彼らは、とにかくまじめに世の中のことを考えて行動するような人たちをみると、理由も何もなくけなしたくなるのである。

 去年の末に問題となった『そうだ、難民しよう』の件なども、本質的には同じことだろう。
 一応簡単に説明しておくと、『そうだ、難民しよう』は、はすみとしこ氏の作品集である。中東などからヨーロッパにむかっている難民のなかに偽装難民が混じっているとして、そうした偽装難民を“他人の金で楽して暮らそうとする”者として揶揄するという趣旨である。
 報道されるところによれば、この作品集には「そうだ慰安婦しよう」「そうだ在日しよう」などの作品も収録されているのだそうで(私は現物をみていない。見る気もないので、伝聞で書くことをご容赦いただきたい)、在日コリアンの人々に対してヘイトスピーチを展開しているいわゆるネトウヨ層が、慰安婦問題や難民問題をその延長線上にみていることがわかる。そして、そのベクトルはもっと拡大して、“人権派”とか平和主義といったものを一くくりにして“サヨク”とみなし、そういった人を見かけると、ほとんど脊髄反射で攻撃せずにいられないのである。

 百歩――いや、一万歩ぐらいゆずって、在日コリアンが享受している特権によって日本人が不利益をこうむっているという彼らの主張にいくらかの事実があると認めたとしよう。しかし、いまのところ日本になんの利害もない他国の難民に対してそのような視線をむける理由がまったく理解できない。
 つまるところ彼らは、“ストレスを発散”したいだけではないのか。私には、そういう疑念がぬぐえない。

 なるほど、元慰安婦のなかには、嘘をついている人だっているかもしれないし、記憶違いや誤解をしている人もいるだろう。難民のなかにも、偽装難民は混じっているかもしれない。だが、戦時中に多くの女性が従軍慰安婦として尊厳を踏みにじられたことは否定できいない事実であり、難民の多くは悲惨な紛争地から身一つで逃れてきた人たちである。そうした人たちに対して心ない言葉を投げつけるのは、ただ“ストレスを発散したい”という程度の動機からくるものとしか私には思えない。つまりは、彼らは誰かに石を投げたいだけであり、その相手は誰でもかまわないのだ。

 同じ構図は、さまざまなところでみられる。
 たとえば、去年の7月に、「在日コリアンは強制送還される」という情報が広がったという件があった。それを真に受けたネトウヨの皆さんが当局に通報し、通報数が激増。10月になると、入国管理局は受付を停止する事態に追い込まれた。
 もちろん、この強制送還という情報は完全なデマである。自治体が発行する「外国人登録証明書」から国が発行する「特別永住者証明書」への切り替えという制度変更があり、その期限が7月9日だったというだけのことだ。この期限をすぎても、強制送還の対象とはならない。
 これは、ウソだということがはっきりと確認できる例である。
 ネトウヨ諸氏も、自分の通報した相手が強制送還などされずに日本で暮らし続けているという事実によって、自分たちの信じ込んでいる情報がデマにすぎないという現実を思い知ったはずである。いい加減、目を覚まして、デタラメな情報に流されて憎悪を撒き散らすような愚行はやめたほうがいい。


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