北朝鮮が、狂ったようにミサイルを連射している。
今年になってからミサイル発射は何度も繰り返されてきたが、3月29日に安保法が施行されても、やはりその行動は変わることがなかった。3月29日には、元山からミサイルが発射され、今月1日にも日本海にむけてミサイルが発射された。
私はかねてから、「北朝鮮の核実験やミサイル発射は安保関連法に抑止効果などないことの証拠だ」と主張してきたが、今回、ますますその思いを強くした。
世の中には、「やっぱり安保法制は必要だ。軍事や国際情勢を熟知している人たちがいっているからそのとおりなんだろう」と思っている人がいるかもしれないが、そうした人たちにいっておきたいのは、軍事や国家間の問題に携わっている政府関係者の見通しなど、そんなにあてになるものではないということだ。アフガン攻撃やイラク攻撃を決定したとき、それを決定した人たちは、アフガンやイラクが10数年後にいまのような状態になることを予測していたのだろうか? 予測できなかったのなら彼らの見通しはその程度のものということになるし、もし予測していたとしたら、アフガンやイラクを混沌状態に陥れてテロや難民問題を引き起こすと知りながら看過しがたい犠牲を伴う無益な戦争に足を踏み入れたということになり、これはもはや犯罪である。このように、政府において軍事や国際問題にあたっている人たちの認識というのは、まったく的外れなのである。
また、日本の安保法に関しては次のようなエピソードを紹介したい。
昨年、安保関連法が“成立”した直後、稲田朋美政調会長が訪米し、ワシントンを訪れている。その際、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮政策特別代表は「北朝鮮に強いメッセージを発信することになる」と発言したという。この発言を素直に受け取れば、「日本に安保関連法ができたことによって北朝鮮もいくらかはおとなしくなるだろう」ということをいっているのだと思うが、現実にはまったくそうなっていない。安保法が“成立”してから数ヵ月後に北朝鮮は核実験を行い、ミサイルを立て続けに発射し、五度目の核実験を近く行うともいわれている。つまり、“抑止力”などまったく働いていないのだ。
関連報道によれば、北朝鮮の相次ぐミサイル発射はミサイル燃料の使用期限が近づいているということが背景にあるそうだが、もちろんそんなことは言い訳にはならない。これはすなわち、北朝鮮が「このミサイル、そろそろ消費期限切れだからいまのうちに撃っとこう」と思ったときに、日本が集団的自衛権を行使できるようになったことなどまったく考慮していないということである。つまり、北朝鮮がなんらかの行動を起こそうというときに、安保関連法はまったくその抑止になりえないことが、この半年ほどで証明されているのだ。
ここで、当ブログでは何度か紹介してきたエピソードをもういちど紹介したい。
それは、かつての日英同盟について当時のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が「これで戦争は回避された」といったという話だ。日英同盟によって日本は強大なロシアに並ぶだけの力をもち、それが抑止力となって戦争が防がれる――という理屈である。しかし、実際にはその2年後に日露戦争が勃発する。後からふりかえってみれば、むしろ日英同盟締結は開戦にいたる最後の決定的一歩だった。
このエピソードが示しているのは、同盟や軍備の強化は戦争を防ぐことにはならない、ということと、にもかかわらず、強権的な政治家はなんの根拠もなく軍事力を盲信しているということである。私には、安保法が「北朝鮮に強いメッセージを発信することになる」というソン・キム代表の言葉は、ヴィルヘルム2世の日英同盟に対する誤った評価と重なってみえる。二度の世界大戦や、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争……といったこの100年間の戦争の歴史をみれば、軍事の“専門家”と称する人たちは見通しを誤り続けてきたのであり、その誤りの結果、世界は悲惨な戦争を経験することになったのだ。こんな人たちのいうことを真に受けていたら、泥沼の戦争に巻き込まれることになるのは請け合いである。今からでも、有害無益な安保関連法は廃止するべきだ。
今年になってからミサイル発射は何度も繰り返されてきたが、3月29日に安保法が施行されても、やはりその行動は変わることがなかった。3月29日には、元山からミサイルが発射され、今月1日にも日本海にむけてミサイルが発射された。
私はかねてから、「北朝鮮の核実験やミサイル発射は安保関連法に抑止効果などないことの証拠だ」と主張してきたが、今回、ますますその思いを強くした。
世の中には、「やっぱり安保法制は必要だ。軍事や国際情勢を熟知している人たちがいっているからそのとおりなんだろう」と思っている人がいるかもしれないが、そうした人たちにいっておきたいのは、軍事や国家間の問題に携わっている政府関係者の見通しなど、そんなにあてになるものではないということだ。アフガン攻撃やイラク攻撃を決定したとき、それを決定した人たちは、アフガンやイラクが10数年後にいまのような状態になることを予測していたのだろうか? 予測できなかったのなら彼らの見通しはその程度のものということになるし、もし予測していたとしたら、アフガンやイラクを混沌状態に陥れてテロや難民問題を引き起こすと知りながら看過しがたい犠牲を伴う無益な戦争に足を踏み入れたということになり、これはもはや犯罪である。このように、政府において軍事や国際問題にあたっている人たちの認識というのは、まったく的外れなのである。
また、日本の安保法に関しては次のようなエピソードを紹介したい。
昨年、安保関連法が“成立”した直後、稲田朋美政調会長が訪米し、ワシントンを訪れている。その際、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮政策特別代表は「北朝鮮に強いメッセージを発信することになる」と発言したという。この発言を素直に受け取れば、「日本に安保関連法ができたことによって北朝鮮もいくらかはおとなしくなるだろう」ということをいっているのだと思うが、現実にはまったくそうなっていない。安保法が“成立”してから数ヵ月後に北朝鮮は核実験を行い、ミサイルを立て続けに発射し、五度目の核実験を近く行うともいわれている。つまり、“抑止力”などまったく働いていないのだ。
関連報道によれば、北朝鮮の相次ぐミサイル発射はミサイル燃料の使用期限が近づいているということが背景にあるそうだが、もちろんそんなことは言い訳にはならない。これはすなわち、北朝鮮が「このミサイル、そろそろ消費期限切れだからいまのうちに撃っとこう」と思ったときに、日本が集団的自衛権を行使できるようになったことなどまったく考慮していないということである。つまり、北朝鮮がなんらかの行動を起こそうというときに、安保関連法はまったくその抑止になりえないことが、この半年ほどで証明されているのだ。
ここで、当ブログでは何度か紹介してきたエピソードをもういちど紹介したい。
それは、かつての日英同盟について当時のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が「これで戦争は回避された」といったという話だ。日英同盟によって日本は強大なロシアに並ぶだけの力をもち、それが抑止力となって戦争が防がれる――という理屈である。しかし、実際にはその2年後に日露戦争が勃発する。後からふりかえってみれば、むしろ日英同盟締結は開戦にいたる最後の決定的一歩だった。
このエピソードが示しているのは、同盟や軍備の強化は戦争を防ぐことにはならない、ということと、にもかかわらず、強権的な政治家はなんの根拠もなく軍事力を盲信しているということである。私には、安保法が「北朝鮮に強いメッセージを発信することになる」というソン・キム代表の言葉は、ヴィルヘルム2世の日英同盟に対する誤った評価と重なってみえる。二度の世界大戦や、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争……といったこの100年間の戦争の歴史をみれば、軍事の“専門家”と称する人たちは見通しを誤り続けてきたのであり、その誤りの結果、世界は悲惨な戦争を経験することになったのだ。こんな人たちのいうことを真に受けていたら、泥沼の戦争に巻き込まれることになるのは請け合いである。今からでも、有害無益な安保関連法は廃止するべきだ。