真夜中の2分前

時事評論ブログ
「真夜中の5分前」→「3分前」→「2分前」に

マイナス金利で経済はよくなるのか?

2016-02-10 20:11:40 | 政治・経済
 マイナス金利の導入から、一週間以上が経つ。
 禁じ手ともいうべき奇策だったが、これまでのところ、それは期待されたような効果をあげそうな様子はない。どころか、円高が進み、株価は下がり、今日ついに日経平均の終値が16000円を割り込んだ。もちろんそのこと自体はマイナス金利導入と直接の関係はないだろうし、一時的な下落にすぎない可能性もあるが、しかし、そのことを差し引いても、マイナス金利の効果に懐疑的な見方は多い。

 民主党の細野政調会長も指摘しているが、マイナス金利というのは、結局のところ追い詰めらた結果ひねり出した苦肉の策にすぎない。こういう奇策をとってきたのは、裏を返せばこれまでの金融政策がうまくいっていないと認めたということであり、そのこともあってか、むしろ負の側面のほうが前面に出てしまっている。

 そもそも、金融政策にできることには限界がある。
 あちこちで指摘されているとおり、金利をいじって変わるのはお金の「借りやすさ」であって、借りたいと思う人や企業がいなければ、あまり意味がない。電気回路にたとえると、金融政策というのは電圧や電気抵抗をいじっているにすぎず、その回路の先についている豆電球が壊れていたりしたら、いくら電気抵抗を下げたところで豆電球がつくことはないのである。
 また、超低金利によってお金が借りやすくなるというのはそのとおりだろうが、借りる側にとっての「借りやすい」は貸す側にとっては「貸しにくい」であることも忘れてはならない。銀行が預金金利――すなわち一般人からの借入の金利をマイナスにすることはありえず、そうなると、ふつうの融資先に融資してもほとんど利益はあがらない。ならば……と日銀の買い入れ政策によって確実に利益が得られるであろう国債に資金が流れ込んでいるというのが現在の状況である。たださえ小さい利ザヤで利益が得られるかどうかもわからない融資先に融資するよりも、確実な国債へ、という流れだ。その回路が開いていたために、そこに集中的に電気が流れていき、豆電球のほうには流れていかない。今のところ、日銀の読みは完全にはずれているといっていい。
 このまま国債買いが大幅にふくらんで、日銀に転売されていくとしても、日銀の国債買い入れにだって当然かぎりがある。日銀は、もしかしたらおそろしくリスキーな賭けに手を出してしまったのかもしれない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。