丸山ワクチン

　医師になって１２年にして初めて、丸山ワクチンを患者さんに投与しました。患者さんが私のような一介の町医者を信頼してくれなければ、一生そのような機会はなかったことでしょう。

　丸山ワクチンは1944年に誕生し、1960年半ばから癌に対する効果が認められ、今で言う免疫療法の先駆けでした。私は詳しい事情は知りませんが、癌に対して効果があるにもかかわらず、なかなか医薬品として認可されず、1981年に治験薬ということで承認を受けました（事実誤認の際はご容赦願います）。

　そういう背景がありますので、私が学ぶことも使うこともありませんでした。何故なら、丸山ワクチンの治療を受けるには日本医科大学付属病院に行かなければならないのです。私はその関係者ではありませんので、そのような機会がなかったのは当然でした。
　
　私は丸山ワクチンが癌に効くかどうかに関しては、あくまでも中立の立場です。しかしながら、丸山ワクチンを受けたくても地理的な問題から、そして時間的な問題で受けられない方が多いと聞きます。私は恥ずかしながら今回初めて知ったのですが、当院でも受けられるのです。「そんなの当たり前」と思われる方がいると思いますが、普通の医薬品と違い、いくら医師でも丸山ワクチンは問屋から買えるものではないのです。今回は本当に患者さんに勉強させてもらいました。

　私が学生の時は「患者さんは最大の教科書」と習いました。医師になって12年して、それを痛感しました。「初心わするべからず」でした。