5月に行われた企業健診で、著名な脂質代謝異常(高脂血症)と高尿酸血症、軽度の肝機能障害を指摘されて30代半ばの男性が受診されました。
身長は170㎝、体重は72㎏でした。身長は私とほとんど同じ(私、以前は171㎝だったのですが、最近計ったら、169.5㎝で、体重は78㎏でした。)
しかし、LDLコレステロール:148 トリグリセリド:586 尿酸:10.6と、相当高いです。(私は全て正常以下に内服薬でコントロールしています)そして、血圧も138/86mmHgでした。
腹囲が90㎝以上と内臓脂肪型の肥満体で、明らかにメタボリック症候群の条件を満たしておられます。自覚症状は皆無で、昨年までは企業健診のない企業に勤められていたそうです。学生時代は体育会系のクラブ活動をされており、20歳時の体重は50㎏!だったとの事で、その頃を知る友人にあうと、別人だと言われたりするとの事でした。現在の職業はトラックドライバー(長距離)だそうです。
ここで、メタボリックシンドロームの診断基準
以下の1に加えて、2から4の基準のうち2つ以上を満たす方が該当します。
1. 腹部肥満2. 中性脂肪値・HDLコレステロール値3. 血圧4. 血糖値
1,ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上 |
2,中性脂肪値 150mg ⁄ dl以上 HDLコレステロール値 40mg ⁄ dl未満 (いずれか、または両方) |
3,収縮期血圧(最高血圧) 130mmHg以上 拡張期血圧(最低血圧) 85mmHg以上 (いずれか、または両方) |
4,空腹時血糖値 110mg ⁄ dl以上 |
日本内科学会、日本動脈硬化学会など8学会による合同基準
分かりやすく言えば、お腹が出た小太りのおっちゃんの殆どは該当します。中年男性の半分が該当すると言われています。女性の場合、男性より基準が「厳しく」当てはまる人は中年女性の1/4位だと言われています。
兎に角、中年太りしている男性、よりふくよかな女性は該当する可能性が高いです。
メタボリック症候群って何が悪いのか?
血圧が130/85以上、中性脂肪:150以上、HDLコレステロール:40以下、血糖:110以上 なんて、いずれも自覚症状なんて皆無でしょう。
血圧が130/85以上、中性脂肪:150以上、HDLコレステロール:40以下、血糖:110以上 なんて、いずれも自覚症状なんて皆無でしょう。
大体、高血圧、脂質代謝異常(高脂血症)、糖尿病、高尿酸血症などという生活習慣病は、基本的に自覚症状なんてない場合が殆どです。
高血圧で自覚症状が出現するのは、高い方の血圧(収縮期血圧)が、200を超えたあたりで頭痛が出るくらいでしょうか。
脂質代謝異常(高脂血症)なんて、この方みたいに中性脂肪が正常値の4倍以上になっても、LDLコレステロールが200を超えても、HDLコレステロールが30を切っても、何の症状も出て来ません。
糖尿病では、重症化すれば、喉が渇いて多飲多尿になるのが有名ですが、軽症から中等症あたりでは全く自覚症状に欠ける事が多いです。
要するにメタボリック症候群の条件は、お腹が出てきた以外に何の自覚症状もない事が殆どです!!
それなのに、なんで急に世間はメタボ メタボと叫ぶようになったのでしょうか。
これは、これらの条件を満たす 小太りの働き盛りの人々が、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などの血管事故で日常生活に急ブレーキがかかることが多いことが判明したからです。
昨日まで働き盛りであった方々が、アクシデントの後は寝たきり10年以上となる可能性もあるのです。これは大きいです。
今回はメタボリック症候群の紹介と解説だけで終わってしまいました。
次回、メタボ+喫煙の危険さ加減を解説したいと思います。
次回、メタボ+喫煙の危険さ加減を解説したいと思います。
何しろ、メタボリック症候群の方々にはまじめで仕事のできる方が多いと感じています。そのような方々が急に「要介護者」に変わってしまう事は、ご本人は勿論、ご家族、そして社会的にも大問題なのです。
内臓脂肪の怖さを自覚しましょう!!