カナディアンロッキーで暮らす

カナディアンロッキーで暮らす茶道とカルトナージュ愛好家の日々

ロッキー、大洪水!

2013-07-05 17:04:08 | 出たっきり邦人・メールマガジン





          〓カナダ・カナディアンロッキー発〓

       
      『My スロ-ライフ in カナディアンロッキー』by Junko
                      
               No.40

         ☆★☆★ロッキー、大洪水!☆★☆★


6月20日未明、わが家から徒歩6,7分のクーガークリークに鉄砲水が発生!
3日間降り続いた雨に雪解け水が加わり一気に増水、クリーク沿い両サイドの
遊歩道と住宅の一部はあっという間に飲み込まれ、土砂と一緒に下流へ押し流さ
れました。

前日から、異常な水位の上昇があり、警戒に当たっていたタウンの警備隊はいち
早く周辺の住民に避難勧告、夜明け前にクリーク沿いと周囲の住民は全てタウン
の準備した車両にて安全な場所へと移動をし終わった数時間後、鉄砲水が発生。

2,3日経ち、上流から次々と遊歩道や住宅のデッキや庭を飲み込みながら下流
へと下って行く土石流の様子をユーチューブの動画で見ましたが、東日本大震災
で仙台平野を襲った津波を思いだすような光景で、無残にデッキをもぎ取られた
友人の家を見た時は言葉もなく…

私が異変に気付いたのは、7時過ぎに目が覚めてから。
廊下の常夜灯が消えて薄暗かったので、「停電?」と思って外にへ出ると、かなり
の近辺の人たちが、荷物を抱えて避難を始めているところでした。

危険地区からは少し離れているわが家でしたが、停電となると、お湯も湧かせず
TVでニュースを見ることもできないので、とりあえず避難場所に指定された施設
「エレベーションプレイス」へ。幸い、ガレージは浸水していなかったので自分
の車での移動が可能でした。

雨はずっと降り続いていたので、相当な雨量だとは思っていましたが、避難先で
明け方に鉄砲水が出たという事実を知り驚くばかり。
決壊したクリークはとても幅広く、いつもはチョロチョロとしか水が流れておら
ず、沢渡を楽しみながらハイキングができるお気に入りのトレイルでした…。

クリーク沿いに建つ住宅は眺めが抜群、最近特に人気の住宅街でしたが、30軒
ほどがかろうじて建っているものの、土砂に押され大きく土台ごと動いてしまっ
ているため、強制立ち退きの対象となり、どのような形になるのかはまだ分かり
ませんが、タウンが全面的に保証すると発表がありました。

床下浸水した住宅はかなりの数でしたが、幸い死傷者はゼロ!それだけでも本当
にラッキーだったと言う思いです。
ボウ川の支流も氾濫したところが多く、土石流で住宅の一部が埋まり、一時的に
自宅に戻れない人々は、コンドミニアムスタイルのホテルを無償で借りています。
その土石流を取り除くボランティア達がさっそく駆けつけ、懸命に作業をしてく
れるお陰で、間もなく自宅に戻れると聞き、カナディアンたちのパワフルで迅速
な対応には頭が下がります。

わが家のある地域は、クーガークリークに近かったため、停電は10時間ほどに及
び、その間は[この4月にオープンしたばかりのタウンが運営するスポーツ施設の
「エレベーションプレイス」に避難。ホスピタルも避難先になり、2か所に別れた
ため、思ったほど窮屈な感じではなく、みんな座るところは確保できていました。

ラブも自宅に置いておくことはできないので、一緒に連れて行きましたが、何と
[犬」と「猫」を保護するお部屋もちゃんと設けられてて、驚きと感激でした。

とにかく、朝から食事もせずに移動したのですが、センター内にはすでに無料で
何種類かのサンドイッチや果物、シリアル、ジュースやミルク、お水がたくさん
テ-ブルに並べられ、欲しいものを何でもチョイスさせてくれました。

おまけに、施設内のカフェではコーヒー、紅茶といった温かい飲み物が全て無料
で提供され、そこに集まった人々は特にパニックにならず、落ち着いた様子で食
べ物の提供を受けたり、当夜の宿泊先についてタウンから派遣された係りの人達
と話をしたり…

午後になると、かなりの家族が施設からどこか宿泊先へ移動したのか、施設内は
少しスッキリ。そのころタウンから状況発表があり、自宅付近はどうやら停電は
解除したというので、自宅に戻ることに。ただし、当分飲料水は1分間沸かした
ものを使いなさい、ということでした。

非難所でご一緒になった英語クラスでお見かけする日本人の女性は、クリーク沿
いの家に住んでいるため帰宅難民になられ、3日間わが家にお泊めして、日曜日に
ライフラインが回復したと言うことで自宅に戻られ、予定通り月曜日には自分の
車でカルガリーに行き、バンクーバーに向けて発たれました。

今回最も困ったのが、幹線道路のトランツカナダハイウエイが寸断されたこと。
キャンモアは東行き(バンフ方面)も西行き(カルガリー方面)もストップしたた
め、数日間「陸の孤島」のようでした。

ちょうど金曜日辺りにカルガリーに食料品の買い出しに出かけようと思っていた
ので、あまり食料のストックがなく、ダウンタウンのスーパーに少し買いに行き
ましたが、みんなとても落ち着いて買い物をしており、争って物を奪い合うよう
な光景があるかも…などと想像した自分がかなり恥ずかしくなりました。

道路の封鎖がいつまで続くのか2日間は発表されず…3日目になり、キャンモア
バンフ間は公共のバスが無料で運行されることが発表され、通勤の人は職場に通
えることになりました。

4日目にはカルガリー行きの一部車両も通行が許可され、ロッキーに足止めされて
いた旅行者がまず町を出られることになり…同時に、カルガリーで足止めされて
いたキャンモア住民が帰って来られることになりました。

ハイウエイ上に留まっていた大きな輸送トラックも3日目にどんどん流れ始め…
5日目には一般車の通行も許可され、洪水から9日目には夫と一緒にカルガリーに
買い物に出かけてみましたが、一部片側通行があるものの、復旧はほぼ完ぺきに
終わっていて、本当に不眠不休で工事に携わった方々にただただ感謝でした。

この大災害で多くの旅行者がロッキーに入って来られなくなり、旅行会社はその
対応にずっと追われていましたが、10日目にやっとスケジュール通りに空港送迎
と観光ツアーができる状態に戻りました。

TVの海外ニュースなどでこの災害をご存じの方も多かったと思いますが、ロッキー
はもう完全復帰を果たし、夏のハイシーズンに入り、例年と同じようにたくさんの
観光客を受け入れるために順調な動きをしているので、安心して来てくださいね!

キャンモア上空から水害の状況を撮ったTCVの動画サイトを紹介しておきます。
始めに1分ほどCMが流れますが、ちょっと辛抱して…その後の映像をご覧くだされ
ば、いかに大規模な洪水だったか、おわかり戴けると思います。
http://calgary.ctvnews.ca/video?clipId=952304&binId=1.1201914&playlistPageNum=1

7月1日は快晴の中で、独立記念日「カナダ・デイ」の大パレードが行われました。
例年、いえそれ以上に盛大なパレードとなり、大活躍してくれた、大きなクレーン
など工事車両までが加わり、メインストリートを埋め尽くした観客の大きな拍手
を受けていました。

実はカルガリー市内も、ボウ川が氾濫し大浸水したのです…
女性市長のNaheed Nenshiはカナダ初のイスラム教徒市長ですが、彼女はひどいダメ
ージを受けたスタンピード会場を2週間以内に復旧させ「カルガリースタンピード」
を実行させる!と発表。

以前から同じビジブル・マイノリティー(見て分かる少数民族、つまり非白人)と
して注目にしていましたが、非常に頼もしく一年かけて準備をしてきた関係者や
諸機関に勇気を与えるこの発言に、声援を送りたいと思いました。
スタンピード開幕は5~14日、世界規模のカウボーイの祭典に、カルガリー市民
は熱くなるのです。
スタンピードの公式ウエブサイトはこちら→http://www.calgarystampede.com/


では、また来月!
日本の厳しい夏ももうすぐそこに…皆さま、どうぞお元気でお過ごしくださいね。

Junko@カナディアンロッキーでした。


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