カナディアンロッキーで暮らす

カナディアンロッキーで暮らす茶道とカルトナージュ愛好家の日々

バンク─バーへ小旅行

2019-03-17 01:07:54 | 出たっきり邦人・メールマガジン


                  No.104



お元気でお過ごしでしょうか?
3月に入っても、ロッキーはまだ零下の世界でしたが、ここ数日寒さも緩んでいます。
11日の真夜中にDaylight saving が始まり、日本との時差が16時間から
15時間に縮まり、いよいよ春が来る~!と、実感する時でもあります。

2月のカナディアンロッキーは、マイナス30℃になる極寒の日々が多く、1月が
例年より暖かかった分、寒さが堪えました。
私的な予測では、月末から寒さも緩むと踏んで、から3泊4日でバンクーバーの
茶友を訪ねる小旅行に出かけました。

自分で1時間運転してカルガリー空港まで行くつもりでしたが、予報で暫くお天気
が悪そうだったので、用心してシャトルバスを使うことにしました。冬の運転は
とにかく危険。自分が気を付けていても、他の車のスリップ事故に巻き込まれたり
ホワイトアウトで側道にぶつかったりと、何が起こるかわかりません。

茶友の御土産は和菓子にしました。いつも季節に合ったお稽古の主菓子を作って
くれるカルガリーの友人に、「桜餅」をオーダーしました。バスで行くことにした
作り立てを急冷凍したものなので、アイスパックを当て、受託手荷物にして持って
いきました。
バンクーバーの茶友は二人とも茶道の先生なので、お稽古に使っていただけるよう
に計らいました。

バンク─バーもサンフランシスコも大都会なのに、和菓子、特に生菓子の専門店が
ないのです。私は器用でセンスのよい友人がカルガリーにいて、季節ごとに美味しい
お菓子を作ってくれる彼女に、大感謝しています。時には私自身も和菓子作りを
しますが上用饅頭くらいで、今は彼女に甘えてしまっています。

バンク─バーに出かけるのは2年振り、前回は夫と車で出かけたのですが、今回は
ひとりなので、宿泊先はairbnb で見つけた郊外の一軒家を選びました。
空港から電車で、乗り換え時間を入れると40分ほどかかりますが、ダウンタウンへ
は20分ほどで出かけられますし、隣駅にはバンク─バー最大のショッピングモール
もあり、歩いても20分ほどで行けるのは好都合でした。

一日目は空港から直接、表千家・米国北カリフォルニア(サンフランシスコ)支部
所属の茶友が新しく建てたお稽古場を訪ねました。初めての場所でしたが、今は
携帯のナビがあるので、土地勘がなくても、電車とバスを乗り継いで、無事到着
しました。
バンクーバー空港到着時、みぞれ混じりの雨でしたが、途中から雨が止み、夕方に
は少し晴れ間も見えて、キャリーバッグを引っ張って宿泊先まで駅から10~12
分歩くので、ラッキーでした22日

茶友Mさんの新しいお稽古場はビルの一階で、通りから直接出入りができ、多目に
使えるスペースがあり、お抹茶や茶道具の販売もしていました。
お茶室は正式な八畳間のお茶室で、大変立派な床の間や琵琶床もありました。
バンク─バーは戦前から日系人が多く暮らし、和風建築の大工さんが何人かいる
そうです。茶道のほか、香道や和楽器の演奏会など、多目的なイベントにレンタル
スペースとして貸し出しもしていて、いつも4畳半でお稽古している私は、近く
なら、時々お借りして広間でお稽古したい!と羨ましく思いました。

Mさんは、お父様がアメリカ人、お母様は日本人で、アメリカ生まれ。大学の時に
日本に留学。おばさまの影響で茶道に出合い、熱心に勉強されました。現在は
カナダ人の御主人さまとバンクーバー在住、英語と日本語でお稽古される貴重な
先生として大活躍されています。

お濃茶と続き薄でゆっくりとおしゃべりもして…Sky Trainの駅まで送ってもらい
3泊するairbnbに向かいました。ウェブサイトで見た通り、大きな屋敷の一階部分
を丸々貸し切りで広いダイニングスペースとキッチン、リビングにはソファーと
大画面のTV。奥の寝室はキングサイズのベッドとトイレとお風呂。ウェブサイトで
見た通り、きれいに改装された居心地の良い空間を見て一安心でした。
ダウンタウンのホテルは最低120ドルですが、ここは一泊70ドル、少し郊外
ですがその分静かで居住性があり、値打ちがあると感じました。

荷物を置いたらすぐ、古くからの友人と近所にある日本レストランで待ち合わせ。
前菜盛り合わせに好物のホタルイカが出てきて喜んでしまいました。日本なら今
の季節なら当たりに食卓に出て来るものですが、ロッキーではお目に掛かったこと
がなく、流通の良さは、太平洋に面しているバンクーバーならではと、これもまた
羨ましく思いました。

2日目は、ノースバンク─バー在住の茶友Oさんを訪ねしました。
彼女は南カリフォルニア支部(サンフランシスコ)所属ですが、5,6年前Mさん
のご紹介でお知り合いになりました。今回はお稽古日ということでM さんの運転
で、男性の数寄者K氏と私の3人で午後からお伺いしました。

なんとKさん、近づく利休忌にちなみ「泪」という自ら手作りされたというお茶杓
(複製)をお持ちになりました。ご銘の縁を話すと長くなってしまいますが…
利休が切腹する直前の茶会で自ら削ったこの茶杓を使ったとされ、師より譲り
受けた古田織部は茶筒の一部に穴をあけ、師を偲び、お位牌代わりに毎日
拝んでいたと伝えられています。
奇しくも、昨秋帰国した折、滋賀県信楽にあるMIHO MUSEUMで『近代の茶杓
と数寄者往来』に出かけ、本物の「泪」を観ていたので、ここでまた出会えた気
がして感動しました。

午前中からお稽古が始まっていたようで、袋棚のお稽古でした。Mさんがまた
「濃茶」を点ててくださいました。
主菓子はOさんの御主人の手作りの「よもぎ餅」でした。
バンクーバーのダウンタウンにはもう雪は残っていませんでしたが、ノースバン
クーバーは、昨夜~朝まで雪が降ったそうで、Oさんのおうちの和風庭園をより
一層素敵に見せてくれました。

市内まで送って戴き、着物を着ていたのでSky Trainでいったん滞在先に戻り
着替えてから隣駅にある大きなショッピングモールに出かけました。大きな中国
マーケットをのぞいたり、日本の無印良品の店舗があり、あっという間に2時間
経ってしまいました。
この日の夕食はバンフからモールのあるメトロタウンに引っ越した友人家族が
いたのでお招きいただきました。
彼らはずっとベジタリアンなので今夜は何が出て来るのか興味津々でした。

メインはカレー、もちろんお肉なしで玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジンいりでした。
野菜が2品。カボチャと人参のマッシュ、キノアとベルペッパーのサラダ。4歳
のお子さんがいるのですが坊やもご両親の影響でベジタリアン、育ち盛りなので
牛乳やチーズもなし、たんぱく質は豆で摂るだけ、それで大丈夫?と、ちょっと
気がかりでしたが、其々食材が持つ甘さや食感が日頃の食卓では味わえない
気がして、これはこれで楽しませていただきました。

3日目、メトロタウンの友人家族に誘われ、ダウンタウンにある日本食材のスー
パーへ出かけました。カルガリーにも同じようなお店がありますが、店舗面積が
小さく、品揃えも何倍も多いし、価格も少しお安く、京都にあるお酢本舗の米酢
とかあれこれかなり買い込み、夕方まで友人に預かってもらい羽目になりました。
午後から茶友のMさんと「シネマ歌舞伎・かごつるべ」を観に、チャイナタウンへ。
2010年の作品で正式には『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』。
亡き勘三郎の名演技、共演者には玉三郎、勘三郎のご息子勘九郎と七之助
という豪華顔ぶれで、あっという間の113分でした。

映画館のすぐ近くに「百円ショップ」(実際はすべて2ドル)があったので帰宅前
に急いで店内を見て回り、使い勝手がよさそうな小さな丼を6個購入。
百均って本当に見れば見るほど、買いたくなるものが沢山ありますね。
バンク─バーのダウンタウンのチャイナタウンはちょっと荒れた感じが否めなく
夜は独り歩きしない方が良いな…と、暗くならないうちに撤収しました。

バンク─バー最後の夜は、買っておいた「太巻きずし」とインスタントみそ汁を
お家でTVを観ながら戴きました。午前中に行ったス─パーはお弁当やお鮨のパック
詰めが評判のお店で、どれを選ぼうかと目移りして困るほど種類が豊富でした。
一緒に行った家族とベジタリアンのレストランでランチをして別れることになって
いましたが、11:30だというのにもう45分待ちと言われ…それじゃあと近くに
あるローカルに評判の良いディムサム(飲茶)のお店に向かいました。
小籠包が美味しいというので「お肉が…」と心配すると、たま~に少しは食べると
のこと。それを聞いてちょっとホッとしたのでした。

4日目、フライトは午後2時過ぎでしたが、特にすることもないので早めに空港に
行き、サービスカウンターで相談すると空席があるので2時間早いフライトに変更
してあげるということに。お陰で明るいうちにカルガリーに到着。ところが受託
手荷物が出てこない…。
エアラインのラゲージサービスに問い合わせると、オリジナルのフライトで到着
するとか!何度も確かめて、早くなったフライトに必ず乗せると言っていたのに
その辺りがやっぱり「カナダ」、やれやれ…。
シャトルは変更できたので、キャンモアへ明るいうちに到着。ラゲージはその日
の真夜中に無事到着しました。

今回はバンク─バーのダウンタウンにはシネマ歌舞伎以外出掛けませんでしたが
いつものロッキーの日常とは違う時間を過ごし、良い気分転換になりました。
実は、もう一つ楽しいことをプランしています。20年来の友人に招かれ、ポート
ランド(OR)へ出かけて「桜」を楽しむことにしています!