No.219
カナディアンロッキーからこんにちわ。
前号でお話ししたように、四月下旬に京都在住の二男と孫2人がロッキーにやって
来ました。11歳の孫はワクチン接種を一度も受けていないためカナダに入国する
には日本出発の72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明が必要でした。折しもオミ
クロン株のウィルス感染が急増している時期でしたし「陰性」という結果を聞く
まではかなり心配しました。
息子曰く、カナダ入国(バンクーバー)は携帯電話にダウンロードしておいた
ArriveCANというアプリにワクチン接種証明や個人情報を入力しておけば入国
審査自体は非常に簡単なもので問題なかったそうです。親と同行の18歳未満の
子供は親の携帯アプリで一緒に登録できたので、入国手続きに予測したほどの
時間はかからなかったそうです。
12歳以下の子供はワクチン接種していなくても接種済みの保護者と一緒であれ
ばすんなりと入国出来ます。入国後、国内線ゲートに移動する前に「ランダム
に選ばれて受けるPCR検査」にも引っ掛からず済んだのもラッキーでした。
お陰で、というかたっぷりと国内線乗り継ぎ時間を取っていたので、時間潰し
が大変だったとか。
シニア夫婦2人暮らしが突然5人暮らしになったので、私は食事の支度で急に忙
しくなりました。2人分の支度ならあまり時間はかかりませんが18歳の食べ盛り
がいるので、あれこれメニューを考えながら何とか9泊10日を過ごしました。歳
をとったせいか要領が悪くなっていることが多くて、自分自身にイラつくことも
ありましたが、久々大人数の食事の支度は苦になることはありませんでした。
毎日、息子にとっては久々の母の味を、あれこれ並べてみました。とはいえ、日本
のような食材は揃わない為、なんちゃってメニューでしたが、それでも味付けの
基本は変わっていなかったようで「こんなんよく食べてたなぁ〜」と言いながら
喜んで食べてくれて、久しぶりに感じた母として嬉しい瞬間でした。
孫たちには私は「ばあば」なのですが、息子はいつまでも私の子供という感覚が
あります。二男が家を出て一人暮らしを始めたのは20歳の時だったのでこうして
10日間ずっと一緒に過ごすことは23年間なかったことでした。
今回は孫達と過ごせて楽しいことが沢山ありましたが、夫や孫が早く寝た夜があり
息子と2人で久々にワインを飲みながら、たわいのない昔話をして…そんな時間が
持てたことが、母親としてとても嬉しく、ついついお酒も進んでしまいました。
夫はみんなが来たらドライブでいろんなところへ案内したかったようですが、3人
とも特にどこかへ観光に行きたい様子もなく、隣町のバンフへ出かけたり、我が家
の近所のトレイルを一緒にウォーキングしたりするのを喜んでいました。孫娘は
隣家の8歳の女の子Yちゃんと意気投合して滞在後半は朝から晩迄、お互いの家を
行ったり来たりして、とうとう帰国3日前はお泊まりまでさせて貰ってご機嫌でした。
お隣は実は日本人の御家族です。今時の子供らしく、お母さん同士に許してもらい
メルアド交換をして、京都に帰っても毎日のように2人でメールのやりとりをして楽
しく過ごしているようです。
日本語は話せても書くことが難しいカナダ育ちの子供には、日本語でのメールのやり
取りは良い勉強になるのだとか。うちの孫にとってはライブチャットの時、Yちゃん
の英語の発音を聞くことはとても刺激になっているようで、今ではオンラインの英会
話レッスンを週1〜2回受けているそうです。
また何年か経って、今度は孫娘がひとりでカナダにやって来る日があるかもしれない
ね、と夫と話しています。
唯一みんなで遠出したのはドラムヘラーでした。キャンモアからは2時間半のドライ
ブで、今もまだ化石や恐竜の骨が発掘されるバッドランドです。私たちも移住して
まだ一度も行ったことが無い場所だったので、興味津々で出かけました。
町のはずれに立派な恐竜博物館(Royal Terrell Museum)があり、周囲はまるで西部
劇に出てきそうな砂漠地帯でした。小さな町のあちこちに目を引く大きな恐竜の像が
立っていて、ゆっくり散策すれば面白そうな町でしたが、私達はミュージアムを見て
回るだけでもほぼ3時間掛かってしまいました。
うわさ通り展示内容が素晴らしく、私的にはNYの自然史博物館より楽しめた気がします。
詳しくご覧になりたい方は下記URLからどうぞ。
https://www.travelalberta.com/jp/places-to-go/southern-alberta/drumheller/
ミュージアム内にもダイニングがありましたが、メニューはサンドイッチだけで食べた
い物がなく、一旦町中に戻り、結局子供たちのリクエストで遅いランチをマクドナルド
で済ませることになりました。食後、子供たちがミュージアムのショップでお土産を
買いたいというのでまた戻り1時間くらいかけお土産ショッピングを楽しんでいました。
ということで「ドラムヘラー」日帰りファミリートリップは終了です。
今回、息子が子供たちを連れてやってきた目的は家族のリユニオン以外にもうひとつ
18歳になる孫が英語のスキルアップの為に半年間こちらで過ごしたいというので、そ
の環境を整えることでもありました。パパがいる間に英会話とライティングのクラス
に申し込み、他にも日本語と英語のバイリンガルの家庭教師を友人の息子さんにお願
いしたので挨拶がてら一緒にランチしたり、英語クラスに通うためにキャンモア〜
バンフのバスの定期を買ったりしました。
高卒18歳はもう立派な大人なのですが、バス会社のオフィスで英語クラスに通うため
に定期を買いたいと言うと、学生パスにしてくれました。一般だとキャンモア〜バンフ
はひと月110ドル、学生パスは40ドル。大人の片道運賃は6ドルします。日本では何の
証明もなければ到底あり得ない対応に、孫はびっくり&感動していました。
そう、ロッキーは人にも優しいところなのです。
なんとかパパの滞在中に10月までの短期間に出来るだけ英会話や英語の文章力をつけ
たいというSorataの希望通りの学習環境を整えることができました。あとはホーム
ステイできるカナディアンのご家庭を見つけることでしたが、これも7月ひと月だけ
ですがキャンモア内で見つかりました。あともう2カ月ほどホームステイ体験がした
いというので、8,9月のホストファミリーも探しています。
10日間はあっという間で、5月2日、息子と孫娘は日本へ帰りました。
日本入国時の諸々の手続きもMySOSというアプリを事前に携帯にダウンロードして
出発72時間以内に二人とも受けたPCR検査の陰性証明や息子のワクチン接種証明を
アップロードしておけば、成田に到着してからのPCR検査までの待ち時間も少なく
成田空港に着いてから1時間半で税関審査まで済ませることができたそうです。幸い
機内の座席近くに感染者はいなかったので濃厚接触者にもならずに済んだようです。
以前は羽田-バンクーバー路線があったANAですが、コロナが始まって減便やキャン
セルが相次ぎ、未だに運航が成田ーバンクーバーになっているため、乗り継ぎの
フライトで関西へ帰るためには羽田へ移動して国内線に乗り継ぐしか方法がないの
です。もしも予約のフライトに間に合わないことになれば変更手続きが面倒になると
聞いていて、先ずは成田空港近くのホテルで一泊して翌日の朝羽田空港に移動する
ことにしていました。
今回は急げば乗り継げたかもしれませんが、息子は娘を連れてバタバタ移動するのは
避けたいということで、予約済みの成田のホテルに早めにチェックイン。孫娘のリク
エストで夕食はラーメンを食べて、早めにベッドに入りぐっすり眠って、翌日はゆっ
くり羽田空港へ移動して無事伊丹に到着。ママが車でで迎えてくれて、カナダを出て
丸3日がかりでいたが、無事帰着。
現在単身赴任中の息子は会社の方針で、海外帰国者は1週間の自宅待機後出社という
実にありがたい措置?によって連休が終わってもしばらく京都の自宅で過ごせたよう
です。
いまは老夫婦と18歳の孫Sorataと3人暮らし、それに2週間前から、ひと月間日本へ
帰国した友人ファミリーから預かっている生後6か月の雌犬クッキーが加わり、賑や
かな我が家となっています。
Sorataの一週間のスケジュールは結構忙しく、月~木は毎日英語会話とライティング
クラスがあり、そのほかに水曜日の午前中は無料の英会話クラス、それと以前住んで
いたコンドウで私の良き友人となったイギリス人のエリザベス(日本からの留学生に
英会話を教えていた元カレッジの先生!)が週1~2回ボランティアでSorataの英会話
の相手をしてくれるという、何とも有難いオファーもあり、毎日英語漬けの日々です。
それに加え、週2回夕方から地元の有志サッカーチーに加えてもらい2時間程の練習
に参加して、くたくたになって帰ってきています。いまのところ「文武両道」という
か、学習とリフレッシュタイムをうまく使い分けています。
数日前、3人で夕食をとっているときにSorataから「ずっとカナダにいて大学も行き
たいと」と告白がありました。
「?!」「来春再受験しないの?」と聞くと、
カナダで獣医学科に進み、カナダで獣医師として仕事をしていきたいと…。カナダの
獣医資格だとたくさんの国で通用し仕事に就けるが、日本の獣医師資格は日本でだけ
しか通用しないので海外で獣医師として働きたいなら、カナダで取れる資格は世界に
通用するものなのだそうです。
夫と二人で、この爆弾発言にすぐには返答できず…
「両親には相談した?」と聞いたのですが「まだ…」という返事に、さらに戸惑って
しまいました。
本人は当然真面目で本気で言っていることは伝わってきたので、反対もできず、とり
あえず「じいちゃんとばあちゃんにできることがあれば応援するよ」という返答にし
ました。
早速その夜遅く、私から息子にラインコールでその話を伝えたところ「自分は経済的な
援助で彼の希望をかなえてやりたいが、その前にSorataの母親である妻の意見を聞か
ないと…」ということでした。息子夫婦は早婚で、いつも仲が良くて嬉しいです。
一日後に「Sorataのママは日本の獣医学科に入学後休学して数年留学か、卒業してカナダ
の大学院に編入するとか、日本での大学進学を望んでいる」という返事が返ってきました。
ところが孫はもう隣家のママの友人で日本の獣医学科を卒業してカナダで獣医助手として
働いている女性とコンタクトを取り、カナダで獣医として、または動物とかかわる仕事を
するなら、たとえ語学力を付けるための学校に2年通ったとしても、こちらの大学を出て
資格を取る方が時間と費用が少なくて済むという情報を得ていて、それが「カナダの大学
に行きたい!」という固い決心を生んでいました。
私たちにはもはや孫に経済的援助をしてやれるほどの余力はないので、孫のために何を
してあげられるのか、夫と話しあいました。そして、出来るだけ彼の進学のために必要
な情報を集めて提供してあげることくらいだという結論に達して、行動を開始しました。
それらを熟考し、両親の意向も踏まえた上で、進路を決めるのは本人ということです。
移住して17年の間に私たちが構築したネットワークを駆使して何人かの人々にメールを
送り、すぐに返事を送ってくれた人の中に重要な手がかりがありました。まずは大学の
授業について行けるだけの語学力を付けなければ始まらない、ということです。
ツーリズムやマーケティングよりももっと難易度の高い医療系の学部であれば、カナダ人
でさえ狭き門なのですから、外国籍の学生にはさらに難関となります。IELTSという英語
のテストで高得点が取れなければ、願書も受け付けてもらえない…日本の難関大学の入試
いえそれ以上に厳しい道のりになりそうです。
現在Sorataはひとりで自分の将来の選択に大いに悩みながら過ごしています。昨夕は大好
きなサッカーの練習も休んで、なにやらひとりで懸命に検索していたようでした。夜中
までPCに向かっていたせいか?運動不足なのか?背中が痛いと訴えて、今朝はシップを
張りまくって英語クラスへ出かけました。
何を成すにも、早道はない…と私は長い人生の経験から感じていて、どんなチョイスを
しても今のSorataの夢をかなえるには相当な努力と時間が必要です。たとえ回り道だと
思えても、それを選ばざるを得ない場合もあるということも、寛容に受け入れてほしい
と願って見守っています。
次回の記事を書くころには、Sorataの進路が明確になっているのではないかと思います。
最近の私の悩みと言えば、近くに美味しい和食やお寿司が食べられるお店がない…ゴルフ
が上手にならない...夫が出不精になってきた...程度の取るに足らない問題ばかりだった
ので、今は孫と一緒に悩んで大いに刺激を受けています。
余談ですが、夫の6回目の年男記念の来年、2月初旬から2週間サプライズでハワイ旅行
を計画中です。ここ数年コロナのせいでカナダを抜け出せなかったので、この辺で厳冬
の時期にちょっとだけでも暖かいところへエスケープしたくなりました。
航空券は貯めたマイレージで、宿泊は友人所有の素適なバケーションコンドウを激安料金
で提供してもらえることになり、レンタカー予約も完了しました。冬はスキー三昧の夫を
2週間も旅行に連れ出すのは容易なことではない気がするので、Sorataの問題も抱えつつ
さて、いつプランを発表しようかと思案中です。
それでは、また来月、お元気でお過ごしください。