カナディアンロッキーで暮らす

カナディアンロッキーで暮らす茶道とカルトナージュ愛好家の日々

如月、冬に逆戻り

2019-02-15 17:38:52 | 出たっきり邦人・メールマガジン

          No.103



お元気でお過ごしでしょうか?
2月に入って、春の兆しを感じる日々がやって来るはずでしたが…
カナディアンロッキー、じつは冬に逆戻りです。
1月28日に「初釜」を無事終え、茶室のしつらえを早々と「桃の節句」に
しようと思った矢先、大寒波がやって来ました。

月末30日でしたか、ニューヨーク在住の友人が電話をくれて、NY郊外は
外出禁止令が出されるほどの寒波に襲われているというのです。何もすること
がないからというので、スカイプ電話で、一時間近くおしゃべりしたでしょうか…
その時ロッキーはまだ日中ゼロ℃くらいまで気温が上がり、日課になっている
家の周りのトレイル散歩5kmも続けられていました。

その翌日の夕方ごろから、急に冷え込み始め、夜半にはとうとう零下20℃。
翌朝目覚めると、うっすらと雪景色、寒暖計は零下25℃を示していました。
北米大陸をじわじわと西へ移動してきた大寒波はとうとうカナディアンロッキー
を覆いつくしたようです。
予報では気温はもっともっと下がるというので、慌ててダウンタウンへ食料品の
調達に出かけました。

マイナス30度以下では、日中でもお買い物に出かける気がしないので、急ぎ
いつもより少し多めに生鮮食品を買い、なべ物用のカセットコンロのガスボンベ
など買い足しました。極寒の日は、みんな外出を控えるので、「鍋パーティ」に
限ります。冷凍庫には常備ある程度の肉類や冷凍野菜も保存しているので、それ
らをどんどん食べて行くのも、新しいものに入れ替える良い機会です。

あれからもう10日以上、寒波は居座り続け、夜は零下25℃、日中も零下15℃
と厳しい気温で…お散歩できないストレスを解消すべく、タウン経営(公営)の
施設に出向き、ジムで4〜5キロランニングと、筋トレ少々、そのあとはジャク
ジーで温まり、ミストサウナで仕上げ。2時間〜2時間半出かけてくると、少し
気分もすっきりします。

この施設内には、すごく立派なクライミングウォールがあります。ボルダリング
というスポーツで、最近は日本でも知名度が高くなっているそうですね。
キャンモアではロッククライミングと共に、ボルダリングの世界大会が開かれる
こともあり、クライマー達には有名な町になっているのだそうです。数年前は
日本のアスリートが優勝したそうです。

幅50mほど、3F高さの吹き抜けで、天井までクライミングウォールが伸びて
いて、ランニングやバイクマシンで走りながらジムの窓越しにクライマー達を
眺めているのは、結構面白く、時間のたつのを忘れてしまうことさえあります。
合計で4面壁があるので、収容力もあるのですが、時々、キャパシティを超える
らしく入場制限がかかるほどの人気です。

家にこもりがちな日々、この時期だけのお楽しみは「オレンジマーマレード作り」。
今年手に入ったSeville Orangeはとても状態が良く大粒だったので、なんだか嬉し
くて、さっそく取り掛かりました。頑張って皮の内側の白い部分をペティナイフで
きれいに取り除き、友人がわざわざオレンジと一緒に持ってきてくれた電動絞り機
でしっかりジュースを取り、取り除いた果肉と皮の間の白い部分はすべてチーズ
クロスの袋に入れて、水を加え、細かく千切りにした皮の部分と一緒に2時間以上
煮詰め、ほぼ半量に水分を飛ばしてから砂糖を加え、ウイスキーも入れて…やっと
透明感のある、オレンジ色できれいな英国風マーマレードが出来上がりました。

英国風の朝食(と言っても私はイギリスに行ったことはありませんので、自分流
なのですが)、我が家では薄切りの小さめの食パンをカリッと焼き、トースト
スタンド(バンクーバーのフリーマーケットで見つけたアンティークもの)に
立てて、マーマレード、ジャムやクロテッドクリームを用意、好みの硬さにボイル
した卵をエッグスタンド(NYティファニー本店で$30以内で買った鶏の形の
お気に入り)に乗せ、好みの紅茶で…。

私は卵の黄身が固まる直前のチョイゆるの状態が大好きですが、夫は固ゆで
が好きなので、卵の取り出し時間差が必要です。
セヴィルオレンジは生では苦くて食べられないマーマレード専用のオレンジです。
果肉も食べられるオレンジで作るより、ほんのり苦みが残り、オレンジの香りも
良く、スコーン、ワッフル、クランペットにも合うので、パンを替えるだけで
朝食もバラエティ豊かになります。

カナダは移民の国であることはよくご存じだと思います。イギリスからの移民
がもたらした食文化の中にオレンジマーマレード作りがあったようで、その昔
イギリスの家庭では2月初めにだけ出回るスペイン産のセヴィルオレンジで
一年中のマーマレード作りをしたのでしょう。日本だと一般家庭で一冬分の沢庵
のお漬物を大きな樽で作る…みたいな?今は何でもお取り寄せできる時代、手の
掛る事に時間を割く主婦は少なくなっているでしょうね。

ロッキー暮らしは、まるで時代に逆行するような生活なのですが、その渦の中に
入ってしまうと、スローに過ぎて行く時間が、当たり前になっています。半面
うまく便利な時代になっていることも活用して、昔は届くまで日にちが掛かった
ものが、クリック一つで、日本からほんの4〜5日で手元に届くのですから
大助かりです。

日本からそんなに早く届くのなら、カナダから日本へ送っても同じ!?と普通
は思うのですが、そうはいかないのがカナダの未開発な部分。流通の悪さは飛
っきりで、日本のEMSと同じシステムはなく、カナダポストという日本で言
う郵便局でExpressで送ると、1週間で着くものの日本の約2倍の料金が掛かっ
てしまいます。通販で物を買って、配送日がわかっても、お届け時間指定はなく
9時−5時の間に届くと表示され、運が悪いと一日待たされる場合もあります。

フランス人の友人に日本の宅急便の事を話したら「アメージング!」と言って
いました。実際彼女は昨秋20日間、京都で私と一緒に過ごしているときに
何度も宅急便が指定時間内に集配されることを、素晴らし過ぎる!と、感動して
いました。フランスもカナダと同じで、スピードを追及すると送料はバカ高く
なってしまうそうです。

宅配業者がお昼の時間帯や夜遅い時間の集配を無くしたくらい、何の不便もない
と感じてしまうのは、私だけでしょうか。カナダにいると、日本の流通システム
のすばらしさに、ただただ感心&感動してしまいます。

昨年クリスマス前から年末までカナダポストはストライキをしたので、流通が
最悪に滞りました。一年中で一番物品が行き交う時期にストライキなど、日本
なら世論が許さないし、絶対にそれは避けられるべきことなのですが、こちらは
平気です。
その上、ポストオフィスで遅配に関して怒っている人は見かけませんでした。
カナディアンは「おおらか」という風に表現したら、聞こえがいいですね。

日の入りがどんどん遅くなり、6時ごろまで明るくなってきました。
春はすぐそこまで来ているので…暖かくなってくるまで、もう少しの辛抱です。
来週は久しぶりにバンク─バー在住の茶友を訪ねて3泊ほど、都会を楽しんで
きます。バンク─バーにも寒波の影響があるらしく、先週末から雪が降り、除雪
が間に合わず、車がスリップして非常に危険と言ってきました。あと一週間後は
どうなっているのでしょう。

今回はairbnbで探した郊外のにある一軒家の離れ家を借りることにしました。
ダウンタウンから電車で20分掛かりますが、隣の駅に大きなショッピング
モールがあり、日本の無印ショップやカルガリーにはないブランドのお店も色々
あるので、茶道のお稽古の合間のウィンドウェショッピングも、楽しみにして
いるところです。


では、また来月!
お元気でお過ごしください。

Junko @ Canadian Rocky

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