〓カナダ・アルバータ州カナディアンロッキー発〓
『My スロ-ライフ in カナディアンロッキー』by Junko
No.50
☆★☆★ 日帰り手術2回目と「茶道」体験教室 ☆★☆★
3月12日に受けた「Trigger Finger Release」手術を、今度は左手の中指に受け
ました。
今度は2度目なので気持ちにも余裕があり、本を持ち込み、ナースから渡され
た服に着替えて、順番を待つ間も心臓がドキドキすることもなく、落ち着いた
気持ちで過ごすことができました。
でも、やっぱり、掌の麻酔注射は、前回と同じく、メチャメチャ痛かったぁ~!
オペ室に入り、ストレッチャーに上がると、ドクターとナースは、てきぱきと
準備を進め、術部は見えないようにカバーされるのですが、メスが入るのは感覚
で分かりました。
15分程度の短いオペ中、ナースのひとりが、
「今日のオペが終わったらアイスクリームが食べたい気分」と…
ドクター 「サンディーはどんなアイスクリームが好きなんだい?」
サンディ 「モカか、フレンチバニラかな、平凡だけど(笑)」
「ドクターは何がお好きですか?」
ドクター 「僕は、クッキーアンドチョコチップスなんか、好きだね」
別のナース 「あ~、話していると、急に食べたくなるわ~!」
ドクター 「同感だね~!(笑)」
こんなおしゃべりを聞いているうちに、オペは終わり、包帯が巻かれ始めていま
した。深刻なオペじゃないのだし、みんなリラックスしているなぁ…と、自然と
笑えてきた上、朝9時半~4時半まで絶食だった私には「毒」な会話でした(笑)
まだ抜糸は終わっていませんが、親指に比べると、中指は、あまり重要な動き
が無いのか?3日くらいで包帯からバンデージに換えて動かせるようになりまし
た。
術後3日目、実は日本語学校の可愛い生徒さん達に「茶道体験」をしていただく
ことになっていて、どうしても動かさなければならなかったので、内心、心配で
したが、何とかお点前ができて、無事に終えることができました。
バンフとキャンモア、少し離れた小さな集落も含め、Bow Valley地区と言います
が、両親が日本人、またはどちらかが日本人と言う子供たちに、日本語や日本
の文化を勉強させるために毎週土曜日に開講している私設「日本語学校」の校長
先生からご連絡があり3歳~10歳の子供たちに、茶道の体験をさせていただけな
いかとご依頼が舞い込んだのは4月の半ば。
所属している「表千家」でも、最近の茶道愛好者人口の減少に悩み、茶道を知
るきっかけ作りにもなる「学校茶道」に力を入れ始めているので、私もお役に
立つ事ができればと、お引き受けしました。
何せ小さな町ですし、両親が日本人でも日本語教育に興味のない方々もいらっ
しゃるので、生徒は総勢24名とのこと。
当日は、会場となったコンドミニアムの集会所へ、立礼卓を持ち込み、ご父兄も
合わせて30名余りが集まってくださりました。
茶道に無くてはならない和菓子は、アジサイに見立てた「きんとん製」のお菓子
をカルガリーの友人に作ってもらい、これが大好評でした!
茶道体験のお話しを戴いた時、小さなお子様に、大事なお抹茶碗を使うことに
ちょっとだけ躊躇がありました。
ところが、この心配を吹き飛ばすように、茶道のお稽古道具が15組程、私の
元に運ばれてきました。
運んでくださった日本語学校の役員のお母様にお尋ねすると、今から20年近く
前に姉妹都市の有志の方から寄贈された品々と言うことでした。
交換留学でキャンモアに滞在した日本の高校生達が「茶道」のデモンストレーシ
ョンをするために一度だけ使ったそうですが、茶筅、抹茶碗、棗、茶杓、懐紙
袱紗、丸盆、などなど、埃だらけの箱から出てきました。
どういう経緯でキャンモアの小学校の倉庫に長い間置いてあったのかはわかり
ませんが、学校から、引き取ってくれるように、と連絡が入り、取りに行った
ものの、役員さん達もどうしていいものやら…
私が茶道を教えていると言う話を生徒さんのお母様から聞いて、保管の依頼と
せっかくなので出てきたお道具を使って「茶道体験会」をしてほしい、と言う
ことになりました。
6つあった箱の中をよく調べると、小さな鉄瓶と伝熱器のついた土風炉も出てき
ました。送り主は、きっとこれらのお道具を使って、カナダで茶道をしてほし
かったのでしょうが、何年も倉庫で眠っていたなんて、本当にもったいないこと
です。
当日、集まった子供たちに中には、浴衣や甚ベイを着ている子もいて、初めて
の「茶道体験」を楽しみにして来てくれたようでした。
校長先生のご紹介に後、短いご挨拶をして、薄茶のお点前を観てもらいながら
和菓子を食べてもらい、私が点てた一碗目以外は、水屋(キッチンですが)で
役員のお母様方に点て出しをしていただき、子供たちは一生懸命私の説明通り、
「お先に」とか、「お点前ちょうだい致します」とか、ちゃんとご挨拶をして
神妙な顔で「薄茶」を飲みました。
役員のお母様方には事前にわが家に来て戴き「特訓」させていただきました。
「美味しい!」と、ひとりの子が声を上げると、他の子も「苦くないね!」と
言ってくれました。
そりゃそうでしょう、お濃茶に使う上等なお抹茶を使っているんだもの!と言
いたくなりましたが、そこは黙って、茶道教授の威厳を保ちながら(笑)
「それはよかったわね~!先に甘いお菓子を食べて、お口に甘さが残っている
うちに、お抹茶を飲むと、このように美味しいのですよ!」と、話しました。
お茶筅や、抹茶碗が沢山あるので、子供たちにもお茶を点てて、お母さま方に
それを飲んでもらうように計画してみました。
お抹茶とお湯を入れたお茶碗を用意して、子供たちはシャブシャブと茶筅を振
りましたが、観ているより実際にやってみると、なかなか難しいもので…一人
づつ手を添えてやってあげると感覚が分かるようで、最後はかなり上手にお抹茶
らしく泡が立っていました。
我が子の点てた薄茶を飲むお母さま方は、とても嬉しそうでしたが、それまで
は点てているところを写真に撮るやら、お茶が出来あがるまでにお菓子を戴か
ければならないやらで、大忙し!
茶道体験を終え、お母さま方とお片付けをしながら、こんなことがロッキーで
体験出来るなんて、とっても楽しくまた勉強になりましたと言って戴き、子供
たちより以上に?ご父兄にも喜んでいただけたのなら、頑張った甲斐があった
と言うものです。
これをきっかけに、薄茶の飲み方のお作法だけでも学んでおけば、物を扱う時
の所作も美しくなるし、日本に帰った時、出かけた先で急に薄茶を出されたと
しても、物おじせず、落ち着いて対応することができますよ、と、ちょっとお
勧めしておきました。
実際は、一度や二度の体験ではなかなか優美な所作などできるわけがありませ
んが、何度となく繰り返してお稽古していると、自然に身に着いてくるものな
のです。
ロッキーで茶道、引っ越してきた当時は誰も興味を示す気配もなく、あきらめ
気分でしたが、年に一回の、「茶の湯を楽しむ会」は続けていました。
最近、少しづつですが口コミで広がっているようで、「茶道を嗜む」気持ちの
ゆとりがある人たちとの出会いも増え、ちょっぴり嬉しい「宗順」先生です。
「宗順」は、表千家茶道教授の資格が与えられた時に、お家元から戴いた宗名
(そうめい)と言うもので、子供の頃、すごく年配にならないと茶道の先生に
はなれないと聞いていたのですが、今では私も、そのすごく年配…の仲間入り
をしたのかと思うと、素直に喜んではいられない気もします。
6月にはいっても、まだ朝晩はヒンヤリするロッキーですが、そろそろ可憐な
高山植物が咲き始めています。
写真家の夫は、お天気がよければ、毎日のように「熊」「白頭鷲」「ムース」
(ヘラジカ)といったワイルドライフを追いかけて、撮影に走り回ってまわっ
ています。先日は一日に9頭のクマをハイウェイ93で見かけたそうです。
今週から、バンフとキャンモアのオープンマーケットが始まり、一年中で最も
ロッキーがに賑わう季節に突入です。
日本はそろそろ梅雨入りの季節ですね。
では、また来月!
お元気でお過ごしください。
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