学校適応指導教室を訪れた私は、エノモト相談員に息子の近況について話しました。
「じゃ、高校は決まったようなものなんですね」
「いいえ、それが……」
私はため息をつきました。
「午前中に作品を仕上げて、午後持っていく手筈になっていました。
ところがゲームは仕上がったのに、それに添える短い説明文が書けなかったんです」
プログラムを仕上げる瞬間まで生き生きと楽しそうだった息子を見ていただけに、
「説明なんて、何書けばいいか分かんない」
と布団にもぐり込んでしまった息子の姿はショックでした。
「ここまで頑張ったんじゃない。適当でいいから書いて、出しちゃおうよ」
と私が懇願しても、とうとう息子は布団から出てきませんでした。
「文章を書くのが苦手なタイプですか?そういう発達障害もありますよね」
「いいえ、得意なほうではないですが、書けないわけではありません」
夏休みの宿題が終わらなかった時と同じです。課題を出せば高校が決まってしまう。
口では進学したいと言いながら、怖くなってしまったのではないでしょうか。
息子は元気になったかと思えばまた友達にどん底に落とされ、同じ場所をぐるぐる回っているようでした。
「それで、お友達とのトラブルというのは……」
「家に遊びに来てた友達が、息子の貯金箱からお金を取っていってたようなんです」
「よく来る子なんですか?」
「はい、一人は近所の幼なじみで、息子が休むようになってからもう一人を連れてよく来てたんですが、
二人で来た時に限ってお金がなくなって……」
「いくらなくなったんですか?」
「気がついただけでも最初に500円、二度目に2000円、三度目に一万円です」
金額を聞いて、エノモト相談員の表情が緊張しました。
「いたずらとしては見過ごせない金額ですね。私一人の手には負えない問題のようですから、
センター長にも話してもらってよろしいですか?」
「センター長って、どんな方なんですか」
「ヨシノ先生、ご存じじゃないですか?B君が通ってた小学校で去年まで教えていらした先生なんですけど」
ヨシノ先生なら知っています。子供たちに人気があり、息子も好きだった先生です。
ヨシノ先生なら、力になってくれるかもしれない。少し希望が見えたような気がしました。
「じゃ、高校は決まったようなものなんですね」
「いいえ、それが……」
私はため息をつきました。
「午前中に作品を仕上げて、午後持っていく手筈になっていました。
ところがゲームは仕上がったのに、それに添える短い説明文が書けなかったんです」
プログラムを仕上げる瞬間まで生き生きと楽しそうだった息子を見ていただけに、
「説明なんて、何書けばいいか分かんない」
と布団にもぐり込んでしまった息子の姿はショックでした。
「ここまで頑張ったんじゃない。適当でいいから書いて、出しちゃおうよ」
と私が懇願しても、とうとう息子は布団から出てきませんでした。
「文章を書くのが苦手なタイプですか?そういう発達障害もありますよね」
「いいえ、得意なほうではないですが、書けないわけではありません」
夏休みの宿題が終わらなかった時と同じです。課題を出せば高校が決まってしまう。
口では進学したいと言いながら、怖くなってしまったのではないでしょうか。
息子は元気になったかと思えばまた友達にどん底に落とされ、同じ場所をぐるぐる回っているようでした。
「それで、お友達とのトラブルというのは……」
「家に遊びに来てた友達が、息子の貯金箱からお金を取っていってたようなんです」
「よく来る子なんですか?」
「はい、一人は近所の幼なじみで、息子が休むようになってからもう一人を連れてよく来てたんですが、
二人で来た時に限ってお金がなくなって……」
「いくらなくなったんですか?」
「気がついただけでも最初に500円、二度目に2000円、三度目に一万円です」
金額を聞いて、エノモト相談員の表情が緊張しました。
「いたずらとしては見過ごせない金額ですね。私一人の手には負えない問題のようですから、
センター長にも話してもらってよろしいですか?」
「センター長って、どんな方なんですか」
「ヨシノ先生、ご存じじゃないですか?B君が通ってた小学校で去年まで教えていらした先生なんですけど」
ヨシノ先生なら知っています。子供たちに人気があり、息子も好きだった先生です。
ヨシノ先生なら、力になってくれるかもしれない。少し希望が見えたような気がしました。
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