数日後、ユウト君は何事もなかったかのように、先生に頼まれたと言ってプリントを持って来ました。
「すみませんね、僕もここんとこ忙しくて」
変わらない彼の笑顔を見て、私はホッとしました。
数日来なかっただけで、私はすっかり息子が友達に見放されたと思い込むとは。
つくづく自分の心の弱さを思い知りました。
学年が変わると、新しい担任の指示なのか、他の友達も入れ代わり立ち代わり来るようになりました。
時には友達同士がブッキングするほどでした。
息子は中学校にはもう行く気はないけれど、進学はしたいと言っていました。
中学校に誘う努力が無駄になればなるほど、ユウト君は面白くないでしょうし、
息子との関係は気まずくなっていくでしょう。
私は担任に、もう友達に家に来るよう頼まないでほしいと伝えました。
ユウト君が来たければ来てもいいし、無理して来てもらって関係を悪くしたくなかったのです。
私の心配をよそに、それからも頻繁に友達は遊びに来ました。
先生の指示で来ているとは限らないし、ぱったり友達が来なくなるというのもそれはそれで心配なので、
重ねて担任に言うのもためらわれ、様子を見ているしかありませんでした。
「お母さん、お金がなくなった」
3年生の6月頃だったと思います。
部屋でオオタ君という友達と遊んでいた息子が、階下で仕事をしていた私の所へ来てそう言いました。
オオタ君が帰ってから私も一緒に息子の部屋を探しましたが、見つかりません。
「お金はどこに入れてたの」
「この貯金箱」
と息子が示したのは、乾パンの入っていた缶で、誰でも簡単にフタが取り外せるようになっていました。
「一体いくらなくなったの?」
と聞くと、
「一万」
と言うではありませんか。
「えっ、そんなに?」
「明日ユウト君たちと東方のイベントに行こうと思って準備しといたのに」
友達も好きな同人誌のイベントに行くつもりだったようです。
「お金は今日なくなったの?」
「わかんないけど、昨日ユウト君に見せた時はあった」
まさか今日来たオオタ君が?イヤな疑念が頭をよぎった時、
「ユウト君とショウタ君が二人で来た後に限って、金がなくなってるんだよな……」
息子が首をひねりながら言いました。
「えっ、今までにもなくなったの?」
「うん。この前みんなが来てた時、五百円玉がなくなったって、言ったじゃん。
あの後も二人が来てた時、二千円なくなった」
顔から血の気が引いていくようでした。
「すみませんね、僕もここんとこ忙しくて」
変わらない彼の笑顔を見て、私はホッとしました。
数日来なかっただけで、私はすっかり息子が友達に見放されたと思い込むとは。
つくづく自分の心の弱さを思い知りました。
学年が変わると、新しい担任の指示なのか、他の友達も入れ代わり立ち代わり来るようになりました。
時には友達同士がブッキングするほどでした。
息子は中学校にはもう行く気はないけれど、進学はしたいと言っていました。
中学校に誘う努力が無駄になればなるほど、ユウト君は面白くないでしょうし、
息子との関係は気まずくなっていくでしょう。
私は担任に、もう友達に家に来るよう頼まないでほしいと伝えました。
ユウト君が来たければ来てもいいし、無理して来てもらって関係を悪くしたくなかったのです。
私の心配をよそに、それからも頻繁に友達は遊びに来ました。
先生の指示で来ているとは限らないし、ぱったり友達が来なくなるというのもそれはそれで心配なので、
重ねて担任に言うのもためらわれ、様子を見ているしかありませんでした。
「お母さん、お金がなくなった」
3年生の6月頃だったと思います。
部屋でオオタ君という友達と遊んでいた息子が、階下で仕事をしていた私の所へ来てそう言いました。
オオタ君が帰ってから私も一緒に息子の部屋を探しましたが、見つかりません。
「お金はどこに入れてたの」
「この貯金箱」
と息子が示したのは、乾パンの入っていた缶で、誰でも簡単にフタが取り外せるようになっていました。
「一体いくらなくなったの?」
と聞くと、
「一万」
と言うではありませんか。
「えっ、そんなに?」
「明日ユウト君たちと東方のイベントに行こうと思って準備しといたのに」
友達も好きな同人誌のイベントに行くつもりだったようです。
「お金は今日なくなったの?」
「わかんないけど、昨日ユウト君に見せた時はあった」
まさか今日来たオオタ君が?イヤな疑念が頭をよぎった時、
「ユウト君とショウタ君が二人で来た後に限って、金がなくなってるんだよな……」
息子が首をひねりながら言いました。
「えっ、今までにもなくなったの?」
「うん。この前みんなが来てた時、五百円玉がなくなったって、言ったじゃん。
あの後も二人が来てた時、二千円なくなった」
顔から血の気が引いていくようでした。
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