映画音楽史(174) 『私生活』 1962年公開

『私生活』 Vie Privee (仏) 1962年制作
監督　ルイ・マル
音楽　フランソワ・カルピ
主演　ジル　…　ブリジット・バルドー
　　　　ファビオ　…　マルチェロ・マストロヤンニ
　　　　セシール　…　エレオノラ・イル
主題歌　『シドニー』 ( Sidonie )　唄・ブリジット・バルドー

世間から華々しく騒がれてマスコミから追われ続けている人気女優の孤独を描いたヌーヴェルヴァーク作品。
ジルはコーラスガールからファッション・モデルを経て人気女優になったが、ファンやマスコミから追いかけ回される
華やかな毎日に嫌気がさし、静かなレマン湖畔の別荘に逃避する。そこで昔の恋人ファビオと再会し彼のアパート
に同居する。演劇演出家のファビオは野外劇場での芝居を計画していてジルもその芝居に出演するつもりであった。
しかし、その町に失踪中のジルが出没するというニュースが流れマスコミや群衆が押し寄せてきた。ジルは野外
劇場の様子を見ようとしてバルコニーから身を乗り出した瞬間、待ち構えていた記者たちのカメラのフラッシュを
浴び、驚いたジルは足を滑らせ美しく舞うように落下して命を落とす。

本来の主題歌はカルピの軽快なワルツ『私生活のテーマ』ですが、バルドー自身が唄ったことで話題になった
『シドニー』の方が有名です。『シドニー』はシャルル・クロスの作詞をジャン・マックス・リヴィエールが補作して
マニ・スパースが作曲したもので、映画ではバルドーがベッドの上でギターをつま弾きながら唄っていました。

Sidonie a plus d'un amant
C'est une chose bien connue
Qu'elle avoue elle fièrement
Sidonie a plus d'un amant

↓はブリジット・バルドーの『シドニー』　YOUTUBEより

映画音楽史(173) 『死んでもいい』 1962年公開

『死んでもいい』 Phaedra (希・米) 1962年制作
監督　ジュールズ・ダッシン
音楽　ミキス・テオドラキス
主演　フェードラ　…　メリナ・メルクーリ
　　　　アレックス　…　アンソニー・パーキンス
　　　　タノス　…　ラフ・ヴァローネ
　　　　エルシー　…　エリザベス・エルシー
主題歌　『フェードラのテーマ』 ( Phaedra's Theme )　演奏・サウンドトラック

義理の息子を愛した王妃をテーマにしたギリシャ悲劇の古典『フェードラ』を現代に置き換えた重厚な恋愛悲劇。
海運王の娘フェードラは船舶業のタノスと結婚しロンドンに留学中の彼の先妻の息子アレキシスを迎えに出かける。
しかし、フェードラは一目で彼に恋してしまい、アレキシスも義母に魅せられて、その数日の間に二人は恋に狂う。
二人の関係はやがてタノスの知るところとなるが、フェードラはアレキシスを愛していると言ってタノスのもとを去る。
怒ったタノスはアレキシスを激しく殴打する。すべてが終わったと悟ったフェードラは薬物をあおってベッドに横たわり、
一方アレキシスは狂ったようにスポーツカーを疾走させて断崖から墜落する。

主題歌の『フェードラのテーマ』はミキス・テオドラキスの作曲によるものです。
映画では映画史上最高の愛情表現と称される暖炉の前のラヴシーン映像にレコードから演奏曲が流れます。
それと、フェードラとアレキシスがピアノに二人並んで唄うシーンではギリシャの古い民謡『ロドスティーモ』を
取り入れていました。また、アレキシスが疾走する車の中で叫ぶように唄っていたのはセバスチャン・バッハの
トッカータとフーガBWV.540でサウンドトラック盤では"Goodbye Johann Sebastian"となっています。
レコードとしてはメリナ・メルクーリが唄った『フェードラのテーマ』と、アレキシスが映画の冒頭で叫んだ『フェードラ』
という音声の入ったEPのサントラ盤の演奏がリリースされていました。LPのサウンドトラック盤には『ロドスティーモ』
や『さらばヨハン・セバスチャン』も入っているようです。

↓はメリナ・メルクーリの『フェードラのテーマ』　YOUTUBEより


↓は映画より『ロドスティーモ』　YOUTUBEより

ポップス・ベストテン 1962年7月 その1

『今週のベストテン』1962年7月7日
①ブルー・ハワイ　エルヴィス・プレスリー
②可愛いベイビー コニー・フランシス
③霧の中のジョニー　ジョン・レイトン
④ヤング・ワールド　リッキー・ネルソン
⑤シェーンのテーマ　ポール・ウエストン楽団
⑥禁じられた遊び　ナルシソ・イエペス
⑦モスコーの夜は更けて　ケニー・ボール楽団
⑧ジョニー・エンジェル　シェリー・フェブレー
⑨グッド・ラック・チャーム　エルヴィス・プレスリー
⑩悲しき女学生　パット・ブーン
⑪トゥナイト　サウンド・トラック
⑫夕焼のトランペット　ニニ・ロッソ
⑬レッツ・ゲット・トゥゲザー　ヘイリー・ミルズ
⑭涙の日記 バリー・ダーベル
⑮ローマの恋　サウンド・トラック
⑯黄色いリボン　ジョニー・ハート楽団
⑰ワン・モア・チャンス　テディ・ランダッツォ
⑱さらば街角　デル・シャノン
⑲夢見る兵隊　ウーゴー・ブランコ楽団
⑳ラバー・ボール　ボビー・ヴィー


『今週のヒットレコード』1962年7月8日

この日は開局5周年記念番組のため通常番組はお休みでした。


『今週のベストテン』の上位はほぼ不動でしたが、シェリー・フェブレーの『ジョニー・エンジェル』が
ベストテン入りを果たし、長期間ベストテン内に君臨していた『トゥナイト』がついに陥落です。
下位では『大人になりたい』が圏外に去り、代わってボビー・ヴィーの『ラバー・ボール』が20位に
登場してベストテン入りを目指します。

↓はボビー・ヴィーの『ラバー・ボール』　YOUTUBEより


『今週のヒットレコード』がお休みだったため、参考までに1962年7月8日付の
ラジオ関西『セントール・ヒットバレード』(第14回)の順位を記しておきます。

①レッツ・ゲット・トゥゲザー　ヘイリー・ミルズ
②可愛いベイビー コニー・フランシス
③ジョニー・エンジェル　シェリー・フェブレー
④ブルー・ハワイ　エルヴィス・プレスリー
⑤恋も涙もさようなら　ジミー・ダーレン
⑥夕焼のトランペット　ニニ・ロッソ
⑦ヤング・ワールド　リッキー・ネルソン
⑧モスコーの夜は更けて　ケニー・ボール楽団
⑨さらば街角　デル・シャノン
⑩トゥナイト　サウンド・トラック
⑪ラバー・ボール　ボビー・ヴィー
⑫悲しき女学生　パット・ブーン
⑬グッド・ラック・チャーム　エルヴィス・プレスリー
⑭黄色いリボン　ジョニー・ハート楽団
⑮淋しい私　(不明)
⑯ハッピー・ホセ　ジャック・ロス楽団
⑰ハートをキャッチ　アルマ・コーガン
⑱三軍曹のマーチ　サウンド・トラック
⑲ローマの恋　フィルム・シンフォニック楽団
⑳霧の中のジョニー　ジョン・レイトン

こちらのベストテンは『今週のヒットレコード』ほど独特ではなく、ある程度納得のできる
順位でした。ちなみに、前週の『今週のヒットレコード』におけるベスト５のうち、
『愛してほしいの』『ジョニーの真心』『戦場に陽は落ちて』『恋のスーパー伯爵』の四曲は
こちらの番組でもベスト２０にも入っておりません。

映画音楽史(172) 『荒野の３軍曹』 1962年公開

『荒野の３軍曹』 Sergeants 3 (米) 1962年制作
監督　ジョン・スタージェス
音楽　ビリー・メイ
主演　マイク・メリー　…　フランク・シナトラ
　　　　チップ・ディール　…　ディーン・マーチン
　　　　ラリー・バレット　…　ピーター・ローフォード
　　　　ジョナ・ウィリアムス　…　サミー・ディヴィス・Jr
主題歌　『３軍曹のマーチ』 ( Sergeants 3 )　演奏・ビリー・メイ楽団

西部小説作家Ｗ・Ｒ・バーネット原案によるシナトラ一家総出演によるコメディ・タッチの西部劇。
1870年サウス・ダコタの騎兵隊には南北戦争の戦友であるマイク、チップ、ラリーの三人の軍曹が駐屯していた。
そこへインディアン襲来の一報が入ったが三軍曹の活躍で撃退した。戦いが終わったあと、ラリーが結婚して除隊
したいと言いだした。しかし凶暴なインデアンの幽霊族を退治するまではラリーを除隊させるわけにはいかない。
やがて幽霊族との戦闘が始まり、三軍曹は生死の危機を乗り越えて幽霊族を絶滅させ、ラリーは晴れて除隊する。

主題歌の『３軍曹のマーチ』の作曲はビリー・メイによるのもで、サウンドトラックも彼の楽団の演奏によるものです。
レコードとしてはサントラ盤のほかにアル・カイオラ楽団のものもヒットしました。

↓はアル・カイオラ楽団の『３軍曹のマーチ』　YOUTUBEより

映画音楽史(171) 『夢の渚』 1962年公開

『夢の渚』 Follow That Dream (米) 1961年制作
監督　ゴードン・ダグラス
音楽　ハンス・J・サルター
主演　トビー　…　エルヴィス・プレスリー
　　　　ホリー　…　アン・ヘルム
　　　　ポップ　…　アーサー・オコンネル
　　　　アリシア　…　ジョアンナ・ムーア
主題歌　『夢の渚』 ( Follow That Dream )　唄・エルヴィス・プレスリー
挿入歌　『エンジェル』 ( Angel )　唄・エルヴィス・プレスリー

これまたプレスリーをヒーローに仕立て上げるための作品で、プレスリーファンのためのプレスリー映画。
呑気者のポップとその息子で天真爛漫のトビーたちのクインパー家が新天地を求めてカリフォルニアにやって来た。
海岸で一夜を明かした一家はその未開の土地を自分たちの土地だと宣言して所有権を得て商売を始める。
しかし、ならず者のボスであるニックと一味が現れてそこを賭博場にしようと企みトビーたちの権利を奪おうとする。
町の住人はトビーを保安官にしてニック一味を一掃しようとしたために大騒動となる。

軽快な主題歌の『夢の渚』の作詞・作曲はフレッド・ワイズとベン・ワイズマンのコンビによる共作で、映画では
浜辺で寝ころんだトビーがラジオから流れる音楽を伴奏にしてアリシアに向かって唄っていました。

Follow that dream, I gotta follow that dream
Keep a-movin, move along, keep a moving
I've got to follow that dream wherever that dream may lead
I've got to follow that dream to find the love I need

↓はエルヴィス・プレスリーの『夢の渚』　YOUTUBEより


挿入歌の『エンジェル』の作詞・作曲はシド・テッパーとロイ・C・ベネットの共作で、映画ではラスト間近にトビーが
ギターを弾きながらホリーに唄ったロマンチックなバラードです。

Angel,Angel,
Angel, with those angel eyes
Come and take this earth boy
Up to paradise

↓はエルヴィス・プレスリーの『エンジェル』　YOUTUBEより