聖教新聞 〈あなたの暮らしをアップ〉 怒りの感情をコントロール
2016年10月29日
家庭や職場などさまざまなシーンで、ついイライラしてしまうことはありませんか? 今回は、日本アンガーマネジメント協会の代表理事・安藤俊介さんに、怒りが生まれる仕組み、イラッとしない考え方、タイプ別のアドバイスなどについて聞きました。
「怒り」はどのように生まれるのか考えてみましょう。コップに入った水をイメージしてみてください。
人にはそれぞれ大きさの違うコップがあり、そこには不安や焦り、さみしさ、疲労感などネガティブな感情が水のようにたまっていきます。この感情を「第一次感情」と呼びます。
この感情がコップいっぱいになると、怒り(第二次感情)となってあふれ出るのです。
通常、睡眠をとることで、ある程度の水は減ります。寝たにもかかわらずイライラが解消しない場合は、第一次感情が許容範囲を大幅に超えているのだと理解してください。
まずは、第一次感情をため込まないよう、目を向けることが重要です。
また、怒りという感情は防衛本能そのもの。自分が大切だと思っている物事が損なわれそうになると、怒りの感情で対抗しようとします。
感情をコントロールする上で重要なのが、「出来事」に対する「意味づけ」です。
例えば「上司から仕事を頼まれた」という出来事があったとします。
このとき“面倒くさい。他の仕事もあるのに”と捉えると、怒りになりますが、“自分を成長させるチャンス”と思えば怒りは生まれません。
日常生活の中で出来事に対し、どのように捉えれば怒りにならないか考える癖をつけましょう。
また、人は「~べき」「~べきではない」という考えが裏切られたときに怒りを感じるものです。
ただ、自分にとっての当たり前が、相手にとっては違うということはよくあること。人によって「べき」の範囲は違うということを意識しましょう。
どんなに強い怒りも「ピークは6秒」といわれています。まずは、この6秒をコントロールすることが大切です。
怒りを感じたら、6秒を心の中でカウントしたり、深呼吸をしたりして、衝動的な行動は控えるようにします。
そして、自分自身に向かって、「大したことじゃない」「大丈夫」など気持ちが落ち着く言葉を掛けます。
このほか、楽しいことなど全く違うことに思考を向けたり、その場を離れたりすることも効果的です。
もっとも、「怒ること=悪いこと」ではありません。ただし、いざ怒るときは「相手に伝えたいこと」「言う目的」を明確にした上で、感情的に言わないことです。また、怒る基準を気分で変えないようにしましょう。
相手に“感情をぶつけられた”“今は機嫌が悪いだけ”などと思われないことが重要です。
怒りの傾向性を6タイプに分けて紹介します。自分に当てはまるタイプを考え、アドバイスを参考にしてください。
〈特徴〉
自分が正しいと思うことや正義を重んじるタイプ。一方で、人が間違っていると気になってしょうがない。
〈アドバイス〉
適度に目をつぶる努力を。イラッとしたときは、自分に「対応できること」「できないこと」を書き出してみましょう。
〈特徴〉
物事をやり遂げられる完璧主義者。物事に白黒つけたがり、曖昧なことにイライラしがちな性格。
〈アドバイス〉
価値観・意見の違いを受け止める努力が必要。あえて“別の見方もあるのでは”と考える習慣を身に付けましょう。
〈特徴〉
自分への自信があるリーダータイプ。プライドが高く、軽んじられると傷つき、人からの評価を気にする。
〈アドバイス〉
思い通りにならないこともあります。「人からの意見=自分への評価」と思わず、謙虚な姿勢を心掛けましょう。
〈特徴〉
温厚に見られる一方、芯の強い頑固タイプ。穏やかな雰囲気から、頼られることが多くストレスもためがち。
〈アドバイス〉
“自分ルール”に縛られると苦しくなります。自分の考えが「事実」か「思い込み」か、書き出して分析してみましょう。
〈特徴〉
慎重で衝突を避ける用心深いタイプ。心を開くのが苦手で人間関係のストレスが多い。うまく甘えられない性格。
〈アドバイス〉
人への思い込みをなくし、ネガティブな発言はやめましょう。他人と比較することをやめると心が落ち着きます。
〈特徴〉
好奇心が強く、統率力がある。自分の思いや考えを率直に表現できるが、主張が通らないと不満を感じることも。
〈アドバイス〉
周りの人の意見を立てるにはどうしたらいいか、あえて「自分は脇役」との立場になって考えてみましょう。
いや本当、加齢のせいなのか、今は無職なせいなのか、怒りの感情が自分でも驚くほど鋭くなっているんだなぁ。
すべてを病気のせいにしたくはないけど…やっぱり病気のせい?