にぎわいの家の町家美術館企画の第2弾、開催中です。キュレーターのイチゴドロボウさんが選んで下さった作家さんは、切り絵、絵画、イラスト、工芸、映像など、多様な作品を展示下さいました。現代アート、というと、何だか難しいイメージもありますが、今回はそんな概念を特に意識しなくても、わかるし、楽しく、身近に感じる作品が並びました。以下、参加下さった5名の方の紹介を。
①切り絵の下村優介さんの切り絵の「鳩」は、土間と座敷を飛んで?!います。額装の大作は床の間に。皆さん、その細やかで力強い切り絵の線に、びっくりされています。紙なので、雨の日には、鳩も少し曲がったり?!町家に鳥が飛ぶ景色は必見です。
②イラストと立体作品の鈴木ひょっとさんの特徴は、一見、伝統的なモチーフを使いながらも、現代のスマホや電気製品がアイロニーをもって、ちょっとこわく描かれていて、こちらは高校生に受けていました。色使いの鮮やかさもひかれるところ。
③蔵には、山本大也さんの絵画作品が。遠近感を強く感じる絵は、描いているものが手にとれそうな感覚になりますが、こうした手法のみの面白さに終わらないところが、山本さんの作品の特性でしょう。蔵全体の空気感が、山本さんの世界に。現代の静物画、「語らないもの」がただそこにある感覚、とでもいうような。このあたりが現代的であると感じました。
④代々続く鋳物師の家系の若手工芸作家、江田朋哉さん。新たな視点で作られた「茶釜」作品が、当館の茶室に並びました。また、スタッフによる、江田んさんの茶釜を使った茶釜披露茶会も開催され、展示とお茶と二度おいしい?!企画となりました。茶会に使われた茶釜には、小さな兎の顔がついていて、トランプの模様もあります。江田さんが茶会のお客様に「不思議の国のアリスから」と解説下さいました。茶釜で沸かしたお白湯もいただきましたが、とても美味しかったです。
⑤映像作品、メディアートの早川翔人さんの作品は、仏間と離れに。どちらも「フショ舞」というタイトル。金箔の仏間に鹿を従えた人物が踊る映像が。
離れの障子には、部屋に入った人の動きをセンサーが感知、それを反映して、ロボットのような影が現れ、歌が流れる中、踊ります。要は、作品を見た人が一緒に参加できる仕掛です。今回、この「フショ舞」について、早川さんに聞いて調べてみると、奈良は都祁に伝わる、ユネスコの文化遺産に登録された「題目立」の中で舞歌われるものだと知りました。展示の歌は、その歌詞を、早川さんと仲間たちが歌ったり、セリフも言いながら、障子の影が動くのですが、この「歌」が耳について離れないのです。これは私だけでなく、他のスタッフもそうで、何度も作品の前に立っていました。私は、この歌やセリフの「感じ」にまず驚きました。演劇のように大げさでなく、「ただ、歌っている」感じなのです。この歌と踊りの前に、「ずっとそこにいたいな」といった、大げさな感情でもなく、けれども不思議に感動している私がいて、早川マジックの温度感というか質感というか、ユーモアも兼ねた感覚は、これはすごいぞ、と思ったわけです。歴史や民俗を現代アートに落とし込むのは難しいと思うのですが、もしか、この歌が歴史的なものと知らなくても、全く今をこの歌が自立して生きている!といった、新たな体験を、この映像作品は与えてくれた気がしています。
この5名を選んで下さった、キュレーションのイチゴドロボウさんに御礼申し上げます。
この楽しい展示企画も14日まで。是非、ご覧ください。
①切り絵の下村優介さんの切り絵の「鳩」は、土間と座敷を飛んで?!います。額装の大作は床の間に。皆さん、その細やかで力強い切り絵の線に、びっくりされています。紙なので、雨の日には、鳩も少し曲がったり?!町家に鳥が飛ぶ景色は必見です。
②イラストと立体作品の鈴木ひょっとさんの特徴は、一見、伝統的なモチーフを使いながらも、現代のスマホや電気製品がアイロニーをもって、ちょっとこわく描かれていて、こちらは高校生に受けていました。色使いの鮮やかさもひかれるところ。
③蔵には、山本大也さんの絵画作品が。遠近感を強く感じる絵は、描いているものが手にとれそうな感覚になりますが、こうした手法のみの面白さに終わらないところが、山本さんの作品の特性でしょう。蔵全体の空気感が、山本さんの世界に。現代の静物画、「語らないもの」がただそこにある感覚、とでもいうような。このあたりが現代的であると感じました。
④代々続く鋳物師の家系の若手工芸作家、江田朋哉さん。新たな視点で作られた「茶釜」作品が、当館の茶室に並びました。また、スタッフによる、江田んさんの茶釜を使った茶釜披露茶会も開催され、展示とお茶と二度おいしい?!企画となりました。茶会に使われた茶釜には、小さな兎の顔がついていて、トランプの模様もあります。江田さんが茶会のお客様に「不思議の国のアリスから」と解説下さいました。茶釜で沸かしたお白湯もいただきましたが、とても美味しかったです。
⑤映像作品、メディアートの早川翔人さんの作品は、仏間と離れに。どちらも「フショ舞」というタイトル。金箔の仏間に鹿を従えた人物が踊る映像が。
離れの障子には、部屋に入った人の動きをセンサーが感知、それを反映して、ロボットのような影が現れ、歌が流れる中、踊ります。要は、作品を見た人が一緒に参加できる仕掛です。今回、この「フショ舞」について、早川さんに聞いて調べてみると、奈良は都祁に伝わる、ユネスコの文化遺産に登録された「題目立」の中で舞歌われるものだと知りました。展示の歌は、その歌詞を、早川さんと仲間たちが歌ったり、セリフも言いながら、障子の影が動くのですが、この「歌」が耳について離れないのです。これは私だけでなく、他のスタッフもそうで、何度も作品の前に立っていました。私は、この歌やセリフの「感じ」にまず驚きました。演劇のように大げさでなく、「ただ、歌っている」感じなのです。この歌と踊りの前に、「ずっとそこにいたいな」といった、大げさな感情でもなく、けれども不思議に感動している私がいて、早川マジックの温度感というか質感というか、ユーモアも兼ねた感覚は、これはすごいぞ、と思ったわけです。歴史や民俗を現代アートに落とし込むのは難しいと思うのですが、もしか、この歌が歴史的なものと知らなくても、全く今をこの歌が自立して生きている!といった、新たな体験を、この映像作品は与えてくれた気がしています。
この5名を選んで下さった、キュレーションのイチゴドロボウさんに御礼申し上げます。
この楽しい展示企画も14日まで。是非、ご覧ください。