「デパートへ行こう!」
真保裕一
真保作品には
ときどき
心優しく、心弱い小市民が顔を出す
ちょっとダメなところのある人たちが
突き進んでしまう
ちょっと間違っているんだが
勇気を出して踏み出すんだ
良いか悪いかじゃない
大切な答えを一生懸命探すんだ
それにしても
まぁ
何とにぎやかなデパートだ?
ってくらい
創業百年祭の日
いろいろな事情を抱える人々が
閉店後のデパートに集まってしまう
出来過ぎなくらいだ
が
デパートってそういうところだ
昔
働いていたことがあるんだ
ほんと
いろいろな人がやって来る
毎日同じ時間に同じショップの同じ鏡の前に
ネクタイを結びに来るおじさんとか
万引きというよりは窃盗
集団でやって来る
すご~く大きなもの
すご~く高価なものを
数秒で持って行く
あんなに人がいるっていうのに
気が付かない。。。
人見知りする資産家の奥様は
知り合いの店員に他の売り場まで付いて来てもらわないと買い物できないし
社内恋愛も社内不倫も多かったと思うし
癒着や不正などの不祥事だってニュースになっていた
夫婦喧嘩の感情的になって
店ひとつ分商品を全部お買い上げして
商品1品ずつ箱に入れてプレゼント用にして配送っていう注文があって
これは犯罪か嫌がらせだな~って言いながら残業したな
翌朝開店と同時にキャンセルの電話
「どうかしていました。。。」
ってね
小説よりも派手だったりする
で
警備のりょうさん
名前だけで
「こち亀」のりょうさんが浮かんでしまって
我ながら困ってしまったが
大空襲で焼きだされた人々がデパートに集まった
デパートは社員一丸となって火を消し
集まった人々の怪我の手当てや炊き出しをした
そこにいたりょうさんがデパートを愛し続ける気持ちはとても強い
最後に
その強い気持ちの本当の姿が見えるとき
ほろっと来ましたなぁ
強く思う気持ちは必ず届くし
道を開く
それはとても清々しい
そして
温かい気持ちをくれました