トラック運輸産業は、他の産業とは大きく違う特徴をもっています。一つは、荷主から運送依頼があって始めて成り立つ受注産業であり、ストックがきかないという点です。つまり、産業としては自立していないのです。もう一つは、職場が公共の施設である道路であるという点です。
さらに業界の95%以上が中小・零細企業であり、労働力集約型産業であることから生産性は低く、企業間競争における主な競争手段は、運賃料金の価格競争である点です。その価格競争にあたっては、労務費こそが競争手段となっています。
現在トラック運輸産業がかかえている問題点の多くは、この特徴から発生しています。したがって、「保護」と「規制」両面からの業界改善策が必要です。
①荷主・元請との力関係から来る不公正で不適切な取引関係を改善するための法的保護規定の拡充、大企業への社会的規制強化、
②業界内部での運賃ダンピング等不公正競争を規制するための参入規制を含めた法整備、
③長時間・過労運転を防止するために必要な労働時間の規制、
④内需拡大型の経済政策への転換、
などを柱に抜本的な対策をとることが求められます。