茶花集 両忘会2020.1〜2021.8
私共の「古典の会」も岡倉天心の「茶の本」も第六章「花」も終了しました。天心さんは「花の哀歌」の中に「原始人は思いを寄せる乙女に初めて花束を捧げたとき獣でなくなったのだ。自然界の粗野な本能を脱して人間になったのである。」と書いておりました。花は心を癒してくれます。茶席の花は掛物とともに置かれる場合(諸飾り)と小座敷では特に後座では花ばかりとなります。花を花入れに入れるとき、亭主は我が心と花を合体して入れると言われ、花は亭主の心を写したものと言われています。禅語に「一点梅花擦三千世界香」という語がありますが、花は「無」という立場をとると全宇宙であり「有」の形に現れると一輪の花であるということです。花は宇宙の化身である。亭主も客もまた花も同じというところに主客一体の茶の湯の場をつくるのであり、茶事はこの後座の場でお茶のもてなしが行われるのであります。その意味でも花の美しさがとても重要な役目を果たします。これが日本人の心でもあります。