昨日、ショップ初の「ホイール講習会」に参加して来ました。
特に興味深かったのはベアリング部の構造とメンテナンス方法でした。
今、購入を検討しているMAVICがシールドベアリングで今使用しているSHIMANOがカップ&コーンだという程度の知識はありましたが、ハブを分解して現物を見たのは初めてで、色々と勉強になりました。
中でも印象に残ったのがグリースの粘度でした。確かに水や異物の進入を防ぎ潤滑効果を長くするためには必要なのでしょうが、自動車などと違いせいぜいが1分間に100回転するかしないかという自転車のホイールにここまでのグリースが必要だとは思いませんでした。
実験として見せて頂きましたが、グリースの替わりに潤滑剤を使用すると回転効率が格段に上がるではありませんか?これならセラミックベアリングなど不要と思いきや、ラスペネのような潤滑剤でも数十キロ毎に注油が必要だそうです。これはあまり現実的とはいえません。
また、カップ&コーンのベアリングとシールド・ベアリングではシールドの摩擦抵抗分だけ回転効率が落ちることも分りました。一方でカップ&コーンの場合はラビリンス構造とはいえ、ベアリング部がシールドされている訳ではないので、グリース漏れや浸水の可能性が高くなるため、定期的な点検整備が欠かせないことも良く理解できました。加えてカップ&コーンの場合は内径に傷がついてしまうとハブごと交換になってしまうので、グリース切れは絶対に避けなければならないとのことでした。
ベアリングの構造によって一長一短があり、ベアリングの質や材質によっても回転効率が変わることが分ると、最も質の高いG3のベアリングやセラミック・ベアリングにしてみたくなるところですが、現実に立ち戻り、対費用効果を考えてみましょう。
エネルギー損失は自動車が70%オーバーなのに対して、ロードバイクだとエネルギー損失は10%以下という説があります。ロードバイクの700Cというホイールと23Cのタイヤの組み合わせは最もエネルギー効率の良い理想的な組み合わせだといえるでしょう。しかも、その10%未満のエネルギー損失のほとんどは、ドライブトレインで発生しているのだといわれています。従って、グリースの替わりに潤滑剤を使用し回転精度を上げても、ベアリングをセラミックに換えてもエネルギー効率はほとんど変わらない(但し、全く変わらない訳ではありませんが)という現実がそこにある訳です。
じゃあ、何故セラミック・ベアリングをメーカーが作るのかという疑問が生じてきます。プロの世界ではゴール前の0.1秒が勝敗を左右することもある訳ですから、そいう世界ならハブだけでなく、BBもリアのプーリーもセラミックにする必要があるのかもしれません。
あえて、私たちがセラミック・ベアリングにするとすれば走りのフィーリングを良くし、メンテナンスの手間を省くためということになるのでしょうか?セラミック・ベアリングは堅く温度による膨張もほとんどないので、基本ノングリースなので回転効率が良いのが最大の特徴です。但し、ベアリングだけセラミックにした場合、ハブの内径を損傷させる可能性があるので、どうしてもグリースは必要になりますので、セラミック効果は半減すると考えた方がいいでしょう。通常は写真のようなカセット構造のものを使用するのが一般的です。
個人的にはセラミックにするなら、ドライブトレインのBBやリアのプーリーを先にしたいと考えています。この方がエネルギー効率が高くなると思います。但し、MAVICのホイールにした場合、シールド・ベアリングになるので、メンテナンスの面でセラミック・ベアリングにするのはありかなとは考えているところではあります。