かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 385 中④④

2023-11-21 10:28:35 | 短歌の鑑賞
   2023年度版 馬場あき子の外国詠53(2012年6月実施)
      【中欧を行く 虹】『世紀』(2001年刊)P105~
      参加者:N・I、崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:藤本満須子(急遽代理のため書面のみの参加)
      司会と記録:鹿取 未放


385 チャスラフスカいかなる齢(よはひ)重ぬるや雨に虹立ちやすしプラハは

      (レポート)
 1964年東京オリンピックで金メダルを獲得したチャスラフスカはどのような齢を重ねて生きているのだろうか、と体操選手だった彼女を思いつつ、しかし雨が降れば、すぐ虹の立つプラハだよ。虹は明るい未来の象徴、プラハ・チェコを希望をもって見ている作者と思う。チャスラフスカという一人の女性を詠いつつその背後のプラハの歴史や長かった民族独立運動に思いを重ねている。激動の時代を生きてきた人々への熱い目差しを感じさせる。(藤本)


      (当日発言)
★私は東京オリンピックの体操で金メダルをとった人としてしか知らなかった。調べて
 きたので読み上げます。【1968年のチェコスロバキアの民主化運動「プラハの
 春」の支持を表明していたので、ソ連軍のプラハ侵攻の折はやむなく身を隠してい
 た。同年のメキシコ五輪には直前に出場を許されたが、金メダルはソビエトの選手と
 ダブル受賞となった。その後1989年、ビロード革命によって共産党体制が崩壊、
 ハベル大統領のアドバイザー及び「チェコ・日本協会」の名誉総裁に就任した。後に
 チェコオリンピック委員会の総裁も務めている。2010年旭日中綬章を受章。】
 (Wikipediaより抜粋)「いかなる齢重ぬるや」と言ってはいるが、作者はチャスラ
 フスカの金メダル後の生き方を知った上でわざとぼかしてこう表現したのだろう。
   (鹿取)


      (追記)(2017年1月)
 昨年(2016年)8月、チャスラフスカは74歳で死去。
コメント
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