馬場あき子の外国詠43(2011年9月実施)
【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P142~
参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、
渡部慧子、鹿取未放
レポーター:曽我亮子 司会と記録:鹿取未放
317 太き橅風を鳴らせるエイユルデル湖青き感情を揺らし吾を見る
(レポート)
エイユルデル湖は地中海に面したアナンタルヤの北方150キロに位置する湖水地方のかなり大きな湖だと言える。白雪をいただく山容や青い空を湖面に写し透明度の高い、碧くきりっとした湖である。作者は青色の凛とした静けさ、深さ、透明感を愛され、かなりの作品に様々の青が登場する。(曽我)
(まとめ)
風が吹きすさぶ湖の情景が詠われている。風によって橅の木が鳴っているのだが風を鳴らせると逆に詠んでいる。また風によって波立っている受け身の湖を、青き感情を自ら揺らして「吾を見る」のだと詠う。意識や言葉の無いものを自分が見ているのに、相手から見られていると詠うのも馬場の歌い方の特徴である。感情を揺らして自分を見ている湖に、作者の心も同調しているのであろう。
また、青は作者の偏愛する色で、歌にも多く詠まれ、『青椿抄』『青い夜のことば』など歌集の題名にも使われている。(鹿取)
◆意識の無いものが自分を見ている歌の例
鴉数羽黒きビニール裂きゐしが静かなる迫力に吾を見つ
『青椿抄』
人間はいかなる怪異あざあざと蛸切りて食ふを蛸はみてゐる
【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P142~
参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、
渡部慧子、鹿取未放
レポーター:曽我亮子 司会と記録:鹿取未放
317 太き橅風を鳴らせるエイユルデル湖青き感情を揺らし吾を見る
(レポート)
エイユルデル湖は地中海に面したアナンタルヤの北方150キロに位置する湖水地方のかなり大きな湖だと言える。白雪をいただく山容や青い空を湖面に写し透明度の高い、碧くきりっとした湖である。作者は青色の凛とした静けさ、深さ、透明感を愛され、かなりの作品に様々の青が登場する。(曽我)
(まとめ)
風が吹きすさぶ湖の情景が詠われている。風によって橅の木が鳴っているのだが風を鳴らせると逆に詠んでいる。また風によって波立っている受け身の湖を、青き感情を自ら揺らして「吾を見る」のだと詠う。意識や言葉の無いものを自分が見ているのに、相手から見られていると詠うのも馬場の歌い方の特徴である。感情を揺らして自分を見ている湖に、作者の心も同調しているのであろう。
また、青は作者の偏愛する色で、歌にも多く詠まれ、『青椿抄』『青い夜のことば』など歌集の題名にも使われている。(鹿取)
◆意識の無いものが自分を見ている歌の例
鴉数羽黒きビニール裂きゐしが静かなる迫力に吾を見つ
『青椿抄』
人間はいかなる怪異あざあざと蛸切りて食ふを蛸はみてゐる