アメリカにおいて暴動というのはさして珍しい話ではなくて、なんらかのきっかけでぶち壊しや火付け盗賊が一時跋扈するというのは、数年に一度以上必ずあるような、ある意味年中行事のようなもの。
基本的にはそう思ってみているんだけど、ミネアポリスの暴動はちょっとスケールアップしている感じがする。
米ミネアポリスで暴動 警官の暴行で黒人死亡、抗議過激に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59725930Z20C20A5000000/
抗議過激に、とかいうレベルじゃなくて、街をブロック単位で焼いたり、警察署を襲ったりしている。
Minneapolis ‘WAR ZONE’: Rioters take over POLICE STATION amid clashes, fires & tear gas (VIDEOS)
https://www.rt.com/usa/490068-minnesota-war-zone-protests/
ここらへんにたくさん写真がある。
Watch Live: Minneapolis PD 3rd Precinct Set On Fire, Breached By Rioters
思うに、ここでロシア、シリア、イラン、イラクあたりが、暴動を起こしているアメリカの人たちに武器弾薬を供給することを想像してみるのは無駄ではない。
武器弾薬だけでなく、傭兵を雇ってアメリカに潜入させて、暴発を繰り返させるというのももちろん必要。
これで、きっちり「内戦」が出来上がる。
そういう「内戦」でシリア人は50万人以上死んでいて、今もまだ国の一部はアメリカ軍に占領されたまま。
だったら、シリアがアメリカ国内の内戦に燃料を投下して悪い理屈は人類史的なパースペクティブでいえば何もない。
冷戦時代、アメリカはソ連本体の中に見える形で手を突っ込むようなことはしていない。見えないところで洗脳工作とか買収といったことはあっても、ソ連国内に入り込んで実力行使するところまではやってない。
だから、内政不干渉の原則がかろうじて保たれていたようなものかもしれない。
だがしかし、アメリカは直近でも、ロシア国内でプーチン打倒を画策して扇動していたわけだし、ウクライナをロシアから離そうと国内を無茶苦茶にしたのも広くいえば「ロシア圏」に直接手を突っ込んでいる。
中国は、香港に直接手を突っ込まれた。
もはやオリジナルの冷戦時代の秩序を期待することはできない。
といって、現在のアメリカの混乱は別にほおっておいても勝手に混乱するんだから、多分ロシアも中国もあえて燃料を投げ込むほどの関心を持たないだろうと思う。まず防衛。他は二の次。どうでもいいでしょう。
が、しかし、アメリカが過去やり続いていて、今もやり続けているのはそういうことだと気付いておくことは、アメリカ人の将来にとってはどうかしらないが、他国人にとっては有益だ。
■ 単なる票
で、これがどう収拾されるのか知らないけど、基本的にアメリカの将来って暗いよなとしか思えない。
もちろん、アメリカ国籍の大金持ち集団、大企業集団は今後も世界的に重要な存在であり続けるんだろうけど、国内は・・・。どこかに魅力ある?
これは、ヘイトとか対立とかを政治のネタにしてきたことのツケなんだろうと思うんだよね。
アメリカは国民国家じゃなくて世界規模で存在する寡頭勢力群の本拠地に過ぎないとは何度も書いてるけど、ここにおいてアメリカの個人というは、単なる「票」でしかない。ここが今日非常に問題だと思う。
昔、選挙権がみんなにあることはみんなの権利を保証することを意味している、とされて、それが故にこのシステムは大層愛でられたわけだけど、アメリカを見ていると果たしてこれで本当に良かったのか、相当疑問に思える。
寡頭支配があまりにも強い場合、人々は情報操作されて、その操作手順に従って投票することになる。これもまた個人の権利だというのならそれでもいいけど、それってホントに人々が求めるものなのだろうか? 人は何のために投票するんでしょう?
多分、大多数の人にとってある程度暮らしやすい社会を築くためにやっているはずなのではないのだろうか?
であれば、統治機構をマネージする人たちがそういう公共とか良い社会、一般大衆の暮らしといったものを意識していることが前提となるはず。民の暮らしに関心がある、などと言ってもいい。
その上で、方法論や方向性の違いがあり、それを人々が選びます、というのが多分、参加型民主主義とかいう形の理想なんでしょう。
しかし、現状見たらわかる通り、統治機構をマネージする人たちの頭の中に、公共とか社会一般の公正 etc.という発想があるようには思えない。
そして、参加型民主主義を達成するために重要であると考えられていた、統治機構と民をつなぐ媒体である「メディア」は、それ自体意思を持っているかのように、デマを流す機構となって久しい。
これで一体このシステムにどんな将来があるんだろう?
■ されど票
といって私は、選挙なんか無意味だ、投票なんか止めちまえ、とは思わない。
理由は、投票行動を通じて変化させるというのが、もっとも安全な変化だろうと思うから。
投票行動が慣習化されていないと直接的な戦いによってしか雌雄を決せられない。内戦して、話し合って、機構を作るというモデル。歴史的には考えればこっちの方がずっと普通だった。
しかしこれは多くの死人が出るし、破壊も大きい。
大変化のたびに関ケ原をやるのは億劫だ、と言ってもいい。
投票行動によって大変化を可能にするというのは、最善ではないにせよ、死人の数を減らして(全くでないということは多分ない)、破壊規模を小さくするために役に立つのではないのか、と思う。
ということは、あわせて考えると、統治機構のマネージに関わる人にどうやって社会性を持たせられるのか、みたいなことが最も重要なんでしょう。
別の言い方をすれば、遠くのステルス支配の道具にならない支配層を持つnationは、多分そのnationと文化文明を保持できる、ということ。
さらに別の言い方をすれば、今日99%の人間が求めるものは、CIA/MI6の支払い台帳だ、といったことになるかもしれない。あはははは。
警察の横暴による黒人殺人事件が起こる度、公民権運動とは一体何だったのかと思う。
これをアメリカで言うと、袋叩きにあいそうだが、公民権運動で黒人が失ったものもあるのではと常々思っている。何というか、巧妙に飼いならされたように見える。飼いならされたが故に、ディグニティを失なったように見える。だから余計、今の境遇から抜け出せない。常に怒りが充満している。
オバマ大統領は、黒人が闘争の末、勝ちとったものではない。従順なハウススレイブは人種差別撤廃の広告塔にすぎない。だから、この黒人は、黒人のために何もしちゃいない。
ジョージフロイドの映像、辛くて見られない。丸腰の男の首を大の男が膝で9分も圧迫するなんて、この警官は相手が人間だと思っていない。
私も近くのデモに参加したいが、永住権を取り上げられて日本に強制送還されると家族離散になるので、参加できない。
余談ですが、プーシキンの曽祖父が黒人だと知って驚いた。しかも、出世して貴族となったと聞いて、さらに驚いた。アメリカとは黒人の歴史の出発点からして違う。
公民権運動については私もどこでどう間違ったんだろうみたいなことをしばしば思った。
オバマとかその前のブッシュの時のライスとか、あのへんの人たちは黒人票のためのツールとしてむしろ邪悪な白人(白人がみんな悪いわけではもちろんない)に使われてるわけで、これは事情をさらに悪化させたと思う。
いやほんと、アメリカの今後は難しい。
https://mobile.twitter.com/violetpandora/status/1267734225643503621
ISIS旗 イスラエル国旗 レインボー旗と仲良くたなびくアンティファ