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RICとオーストラリアの潜水艦問題

2016-04-25 16:34:38 | 太平洋情勢乱雑怪奇

北海道の補選はなかなか見応えのある戦いであったようだ。基本的にはあいばさんのお話を納得して読ませてもらいました。

だけどさ、自民党的にはいろんな意味で落とせない選挙区だよね、ここは。だって、属州化推進に大きな働きをした町村さんの選挙区ですから。だもんで、意味不明になんでも投入したように見える。宗男親子の裏切り物語を手始めに、最後には民主党の第5列である野田、前原がわざわざ出向いて波風を立てるという芸の細かさもみせた。

で、それでこれかよ、って感じを受けた。

 

■ 潜水艦発注リストから日本をはずす

それはそれとして、週末あれれと思ったのは、オーストラリアの潜水艦選定で日本が落ちるらしい、って話。

豪州、潜水艦発注リストから日本をはずすhttp://jp.sputniknews.com/japan/20160421/1999280.html#ixzz46ozwIcp5

オーストラリアン紙の報道によれば、19日に行なわれた閣議で治安維持関係省の大臣らから日本は海外の海軍用軍事機器の生産の経験に乏しいことから、日本のオファーは「著しいリスク」を負っているとの判断が示された。

豪州は当初、潜水艦の発注を入札を行なわず三菱重工および川崎重工を中心とする日本のコンソーシアムに委託する計画だったものの、その後入札の実施を発表。仏のDCNS(造船役務局)と独のティッセンクルップ・マリン・システムズが有力ライバル候補とされている。

 

現地報道とか見ると、技術的な問題で、特にリチウム電池関連が問題じゃないのかみたいな話に見えたりはしたんだけど、私はこれは政治的というか地政学的問題のような気がする、と一応受け止めてる。

ぶっちゃけ、このまま日本と深く関係してたらオーストラリアの行動が制約される、最悪戦争に担ぎ出されそう、ってな考えがあるのでは?とか思った。そもそも去年アボットががさっと落とされてるわけだしね。

豪州アボット首相あっけなく退陣

 

■ RIC動向

この間RIC(ロシア、インド、中国)の定期会合の話を書いたけど、この3国の外相が今回出した声明は、従来とはいささか異なる趣だったらしいという話が、アジアの東南部全体にぼよーんと影響しているような気もする。なのでちょっと詳しく書いてみる。

この3国の会合では従来あまり具体的な事象について言及することはなかったそうなのだが(とはいえ10年ぐらい会合してると思うが)、今回は南シナ海の問題に言及している。

具体的にはこれ。

  • 南シナ海域で起こっていることに対してロシア、インド、中国は国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき当該地域の法的秩序が維持されるよう尽力する
  • 関連するあらゆる紛争は関係当事者間の交渉と合意を通して対応されるべき
  • これを目的として3カ国外相は、UNCLOS、南シナ海における関係国の行動宣言」(DOC)およびDOC実施規定の完全な遵守を求める
って感じか。原文は以下。

Russia, India, China Address South China Sea in Trilateral Statement
Russia, India and China are committed to maintaining a legal order for the seas and oceans based on the principles of international law, as reflected notably in the UN Convention on the Law of Sea (UNCLOS). All related disputes should be addressed through negotiations and agreements between the parties concerned. In this regard the Ministers called for full respect of all provisions of UNCLOS, as well as the Declaration on the Conduct of Parties in the South China Sea (DOC) and the Guidelines for the implementation of the DOC.

 

で、これはつまり、何事によらず当事者間が話し合うべき、遠くの方からやってくる奴には関係ないだろう、という中国の立場に近い何かですね。

ロシアも基本的にそう。だから中露がこれで合意するのはまったく不思議じゃない。

今回問題というか耳目を集めたのは、従来こういうことにはなかなかコミットしてこないインドが名を連ねていること。おお、と、私も思ったが、the Diplomatという国際関連の署名記事を多数並べていることで有名なサイトでもその指摘があった。

で、それらの記事をまとめたのがこのスプートニクに出ていた記事。

All for One: How Russia, China, India Will Solve South China Sea Dispute

http://sputniknews.com/politics/20160422/1038465589/russia-china-india-south-china-sea.html#ixzz46p94W9WA

 

スプートニクはいわずと知れたロシア発だから、この件についてのまとめは

西側の観察者はそうやって頭を掻きむしって考えてるみたいだが、わかりきった話じゃないか。インドは、主権国家各国が外部からの圧力なしで物事を解決するという多極世界の方に向かうと言ってんだよ。以上。

ってな感じ。

スプートニクのまとめ方はともかく、これは今後の世界にとってはまぁ当たらずとも遠からず以上のものがあるでしょう。また、南シナ海でどうにかこうにか火をつけてみたいとか思ってる人たちがいるとすれば、その人たちにとってこの3国の結集は悪いお知らせですね。ロシア&中国だけでも大変なのに、インドも来ちゃうのかよ、なんです。

で、このインド、中国は、ロシアのS-400を買いたいと言っている、と。中国は既に前払いした(これはある種のロシア支援でしょうか)。

シリアでのS-400の成果を見て中国とインド 買い入れを計画http://jp.sputniknews.com/russia/20160418/1984176.html#ixzz46oyKUnOQ

 

この態度は、中国が、G7外相声明に対し、日本の大使+残り6か国の大使の次の位の人を呼んで中国が強烈な不満を表明したという事件と同じ軌道ですよね。

中国、関係国大使館幹部呼び出す G7外相会合声明受け

http://www.asahi.com/articles/ASJ4F658WJ4FUHBI046.html


G7という当事者以外の集団があたかも関係国であるかのように振る舞う、紛争を国際化している、そんなの俺らは認めないからなとG7各国に釘を刺した、ってことだと思います。

つまり、地域のことは地域がまず侍所にて事に当たるべきってな感じで、ロシア、中国は、鎌倉幕府による東国政権みたいな主張をしているんだと思うとわかりやすいかも。うそですよ(笑)。
 

■ インドネシア

一方、その南のインドネシアについては、ロシアのSu-35を買うんじゃないかという観測が強まってる模様。ロシアが書いているだけでなく、ロイターの取材記事でも読んだ。

また去年あたりは、キロ級潜水艦を買う気じゃないのかという話もあった。その後どうなったのかわからないけど。

いずれにしても、1960年代以降ソ連との関係が冷えたインドネシアはそのままで冷戦を迎えたわけだけど、10年ぐらい前から旧交を温める趣が顕著。ぶっちゃけ、第二のインドになるんじゃないですかね。全力全方位外交、主権国家強調で行く、ってやつ。

日本の中でいわゆるリベラル系の人たちが主張していた重武装して近隣との関係強化に励む、ってのをマジで実践しているのがインド、インドネシアってことになるのかも。

で、インドネシアの動向はオーストラリアには断然問題。オーストラリアは位置的にもインドネシアが一応仮想的だから。

インドネシアは別にアメリカ、欧州との関係に問題が起きてるわけじゃない。がしかし、今後、アメリカのいわゆる威信みたいなのが落ちてくると過去の、例えば9月30日事件みたいなのが見直されていくんじゃなかろうかという感じもある。

とかとか考えてくるとここが、これらのアジア勢ってかユーラシア勢を前に、オーストラリアはあの位置で一国西側真理教になっていいことは何もない。つか、できない。


■ まとめて考えると

まとめて考えると南アジア諸国は東から西まで多極型支持なんだと思うのね。いちいちアメリカが出張ってきて俺様が唯一絶対の存在だ的に振る舞うことを好感してない。もともとしてないが、最近もまだしてない。

日本は、その近隣にあって、世界でも珍しいほどのアメリカ唯一絶対主義を奉じている。かつ、どうも最近の政権は戦前の日本を賛美しているらしい傾向が顕著でしかも長続きしてこの路線を修正できるような政治動向が見えない。

従って、日本との関係を他との比較で著しく重視するというのは、アジア南東部に位置するオーストラリアにとっては負担が大きすぎる。

とオーストラリアが考えたとしても全然無理ないと思うんです。

そういうわけで、この地域にとっての第三者にあたるドイツとかフランスから買うってのがリスク少ないんじゃね、みたいな。

装備の中でもヘリとか輸送機とかはある意味高級消耗品みたいな存在と考えることもできるから(それを使わないという手段があり得る)どこから買ってもいいけど、大型の船舶はそうはいかない。だから、より慎重に、長期を考えないとならない。

 

■ 戦前憧憬は実際非常に問題

でさ、日本は今日重大な問題を抱えてると言わざるを得ないと思う。つまり、外から見た時信頼できないというか、予測不可能な国になりつつあるんでないの、ってこと。

民主主義である以上、どうもこの政権はおかしいかもという政権が登場することはある。また、まったく能力的に不適格な首脳陣が重要ポジションについちゃうこともあり得る。

問題は、そういう場合に国内にそれを是正できる仕組み、すなわち強く効果的な反対勢力が存在していて、困った時には可及的速やかに対応できる体制が存在しているか否かが、国の信用ってやつなのではなかろうか。

で、日本は戦前においてこれに見事なまでに失敗したわけですよ。

国民の大多数がよくわかってない状態で、気分と興奮で一連の戦争に突っ込んでいってマネージできなかった。

しかも、戦後の日本はもうそういう国にならないようにしようと歩んでいるのかと思ったら、どうも違ってた。今ここ、って感じで他国から見られてるんじゃないっすかね。

現在の日本国内の言論状況は、我々が20年前に考えたいたものと大きく異なっていることを我々は認識すべきである。戦後の日本は、何事であれ戦争は回避すべきであるという強い反戦志向を持った市民が多くみられ、日本国政府の政策も振幅はあるもののおおむね国民の意志と合致していた。我が国を含む世界各国もその状態を日本の現状と認識してきた。しかし、・・・・

みたいなレポートを過去数年各国の大使館とか調査機関が本国に報告してたりするんだろうなぁとか想像する。


 

明治維新という過ち 【改訂増補版】: ~日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト~
原田伊織
毎日ワンズ

 

明治維新という名の洗脳 150年の呪縛はどう始まったのか?
苫米地 英人
ビジネス社

 


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2 コメント

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『日本の巻き添えはゴメン』 (ローレライ)
2016-04-25 21:05:09
『日本の巻き添えはゴメン』とオーストラリアが判断しても仕方ない、『極東のイスラエル路線な日本』。
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音痴だし (ブログ主)
2016-04-25 21:46:50
イスラエルほど戦略的に振る舞ってるならまだ読めると思うんです。日本の場合何をしだすのかわからないからどこまで関係していいのかよくわからん、という評価になるのでは? 

しつこいですが、以前はそれでも戦争に出たくない人々という大枠が見えたが、どうもそれをぶち切ったようだ。

であればよけいに周囲とのコミュニケーションが必要。なのにそれができない。コミュ障政権がどうも続くらしい。

・・・・一歩さがっとこ、となるのも無理はない。
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