北朝鮮のミサイル問題がちょっと後退したと思ったらアメさんは今度はアフガニスタンに増派だそうだ。
で、トランプは、勝つために戦っているのだとか言っていたが、じゃあ今まで16年間は何のためにいたんだよと誰しも思うところ。あはは。アフガニスタンでの16年にも及ぶ出兵というのは一体何のためだったのか納得できる説明を聞いたことのある人はほとんどいないに等しいでしょう。
要するに、アフガニスタンは中国、ロシア、イランにどうやって火をつけるかの基地として使えるからUS/NATOが占領しているってだけの話だから、まさかそうも言えないのでいい加減な理由を付け続けていると言えばいいんじゃないの。
で、今般の様子はここでひとしきり騒いだら、今度はシリアかウクライナでまた何か仕掛けるんですかね。危機の開店大安売りみたいな感じで、そのたびごとに関係国からお布施を出させるみたいなビジネスモデルだと考えればよいのではなかろうか。
これを田中宇さんなどはアメリカは覇権を降りたいのだ、とか読んでいるようだけど、私はそうは思ってないです。妥協するふりをして、相手が緩んだらなんとかしたいと思っている人々が多数ではなかろうか。ただ、中露もイランも学習機能が備わった人々なので状況的にそうは問屋は下ろさないのが大変ですね、と。
そんな中、アメリカの現在は「白人至上主義」とその撲滅がテーマらしい。ポール・クレーグ・ロバーツ氏が長々と説明されている中の一分が事情をよく表していると思う。「マスコミに載らない海外記事」さんから引用させていただきます。
アメリカのリベラル/進歩派/左翼は白痴に退化してしまった。連中は、自分たちは、ホワイト・ハウス内の“白人国粋主義”と戦っていて、トランプは“白人国粋主義”のチャンピォンあるいは象徴で、トランプや“白人国粋主義”のあらゆる象徴が消滅するまでは、勝利はないと考えているのだ。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-f22f.html
そう。この精神的なある種のモードが恐ろしいんですよ。事情がどうなっているのかとか具体的にどこでどういう事案があるかというよりも、既に自分たちが悪と戦うウルトラマンになってる。
しかし、この案件などを見てもわかる通り、リー将軍の銅像を倒すことにどんな意味があるのかもよく考えれば、へ?なわけだし、銅像を倒すなと運動する人たちを差別主義扱いするって、よく考えればそこまで言える話なのそれ、なのだが、例えばこんなリードで記事が書かれる。
アメリカ・バージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義者らの集会で抗議した1人が殺害され、十数人が重軽傷を負った事件から1週間後の8月19日、ボストンでは、差別容認派による自称「言論の自由」集会が開かれた。
ハフィントンポストの記事。差別容認派を自称しているわけではなくて、勝手に記事を書く人たちがグループ分けして話を作っていく典型でしょうね。
さてしかし、私にとって興味深いのは、このあたり。
カウンターの群衆はデモ行進し、集会が開かれている史跡公園ボストン・コモンに集結した。そして、「人種差別主義者をまた怖気づかせてやろう」「ナチスをかばうのは誰だ?トランプだ」と口々に唱えた。
いやぁ、ネオナチというか本物ナチの残党の子孫を盛大に持ち上げてクーデターを起こしたのは、オバマ政権ですがな。あはははは、ですよ。
というところで、Finian Cunninghamがその点についての記事を書いていた。
ペンタゴンはアメリカのナチを批判する一方で、ウクライナのナチを武装する
Pentagon Denounces American Nazis While Arming Ukrainian Nazis
ウクライナのキエフ政権を支えるナチグループは、ナチ風の人とか、日本の高須のおっさんみたいな、適当ないじめのネタとしてナチを賛美してみせるとかいうそういう根性のない話じゃなくて、ドイツのナチス、第三帝国と呼ばれたあの時代のあの人々を賛美する人々が作ったグループを主体にできている。そういう意味では、こここそ本流みたいなもの。これは秘密でもなんでもない。
それを支援したのは、オバマ政権でありメルケル政権であり、NATOであり日本であり、そして、そのムードを作ったのは現在の主流メディア。
でさ、アメリカ国内の嘘歴史はそれはそれで勝手にアメリカ人らが考えればいいけど、ナチス問題は国際政治にとっての大問題。重みが違う。西側勢にとっては不都合もいっぱいある問題。これは解明されるべき問題なんだと思いますね、私は。
2年前のロシアの国会議員さんの発言をもう一度貼っておこう。
「米国、そしてその忠実な同盟国であるカナダとウクライナは、国際標準とは異なるリアリティをもつ「トロイカ」を組んでいる。カナダのことは理解しよう。カナダにはウクライナ系住民が多く、彼らが施政方針を左右するから。しかし米国は、反ヒットラー連合の一員として、ニュルンベルグ裁判を開き、その主体となり、数十年来、少なくとも言葉の上では、ヒットラーのイデオロギーに反対する旨を叫んでいたのに、バラク・オバマ時代になって、あまりに立場を急変させ、今やナショナリスト、バンデラの末裔ども、武装親衛隊どもと並んで、バリケードの向こう側に立っている」
http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_11_24/280434532/
覇権にモラルは不要なのか
アングロ・シオニスト・アメリカ覇権というのは、もともとユーラシア内部に根拠のない覇権だから、人々が伝統的にだいたいこうだと考える秩序をひっくり返して、メディア、アカデミアを通して人々の頭の中を支配し、金融を通じて人々の交易を支配し、言うことを聞かなければ軍事を活用する、という支配構造。それは多くの場合、嘘、欺瞞、詐欺が支配的になる。
19世紀、20世紀においてはこれは上手く行った。それは多分、地域1でAは正しいといい、地域2でAは間違っていると言っても、地域1と2が連携しなければバレナイ、といった仕組みによっていたと言えるんじゃないですかね。つまり、それぞれの地域でマジョリティを取れそうな意見ならなんだって構やしないわけね。
もちろん、後々さりげなくアカデミアやジャーナリズム高級編みたいなところを通じて、適宜整合性をもたせるのだが、もともとインチキなんだからどれだけ高級な文と紙を使っても嘘が紛れ込む。
しかし、どうもそれが上手くいかなくなった。だからこうまであからさまに恥ずかしい様が見えているということなんでしょう。
結局、将来的には地域地域で詳しい人たちが論争しながら歴史を追っかけるという、これら「グローバル支配」が来る前の世界に戻るんじゃないですかね。
どう考えても、ウクライナの場所がどこにあるのか2割以下しかわからないアメリカ人にロシア圏の秩序を決めてもらう方がイカれた話だもの。北朝鮮の位置もそんな程度の人しか知らないらしいから私たちにとっても他人事じゃない。
そして、CIAと密接すぎてお話にならないらしい自民党と共にあった日本の「戦後」もこれらの解明されるべき歴史の一部だと思う。