奇妙奇天烈な記事がBBCに載っていた。
Classified Ministry of Defence documents found at bus stop
防衛省の機密文書が、バス停付近に置かれていて、怪しんだ一般人がBBCに通報して、BBCが記事にしています、ということらしい。
誰が信じるんだろうと、まずその話の持って行き方に唖然とする。
同記事のtweetでは、すぐ下のコメントで、どうして一般人は警察に行かないでBBCに行くんだ、とあるけど、まさにそれ。
ともあれ、内容は、例の黒海事件について。BBCの記者が乗船してたことで知られる数日前の事件。
その事件を起こそうと思っていろいろ画策しているミーティングの資料みたいだ。こうすればロシアはこうするだろう、そうしたらこうだああだと、益体もないことを話しあってたらしい。
ざっと読んで、私が面白く思ったのはここ。
Recent interactions in the eastern Mediterranean between Russian forces and a Carrier Strike Group led by HMS Queen Elizabeth had been unremarkable and "in line with expectations", the document said.
ロシア軍と、HMSクィーン・エリザベス(艦船の名前)に率いられた英のキャリア・ストライク・グループは、目立ってない、予想通りだ
と文書は書いているらしい。
いやぁ、知ってる人いっぱいいるでしょう(笑)。
不実のアルビオンことUKの海軍は、黒海に1隻出しただけでなく、東地中海側に艦船をプールしてグループで動いてる、黒海の1隻はロシア軍の動きを見るためのおとりだろう、と。
で、そうであるから、ロシア軍はクリミア付近にがっちり展開されている国軍の装備ではなくて、沿岸警備隊が出張ってきて、沿岸警備隊がクラッシックな作法で警告して、海に向かって発砲し、それでも止めないから、上空から英艦船の航路の先に爆弾を投げ込んだ。つまり、新しい装備のデータをお前にやる義理はない、ってことですね。
そして、この英艦船と随伴してるオランダの艦船は、黒海に入ってくる時からシグナルを偽装していたらしい。だがしかし、それがわからないロシア軍でもない。
つまり、しめしめと思って入ってくる泥棒の様子をみんなして楽しんでいました、みたいな感じだろうか。
なんでそんなこと私が知ってるかというと、いちいちロシア軍が出してくる基本情報を基に多くのフォロワーが解説してたから。
何事もオタクっているんだな、としばしば思って感心するし、オタク・クラスターには軍歴がある人が結構多くて、世の中こんなに元兵隊がいるのかとも感心している。そして、そういう人たちは、将兵共に、卑怯未練な賭け事を基本的に嫌ってるんだなともしばしば思ってる。
当然ですね。兵隊を無謀な賭け事の出汁に使うような政治家を好むわけがない。
つまり、この事態をウォッチしている多くの人にとって、ボリスも英海軍もBBCも嘲笑の的になってる。
この先、BBCはこの話をどう収拾するつもりなんだろう?
■ ドミニオン化
折しも、今日28日から2週間、世界32か国の軍を動員して、黒海で演習をする。既に、米のミサイル駆逐艦USS Ross が黒海に入った。
Black Sea Fleet monitors US destroyer entering Black Sea - Russian Defense Ministry
つまり、この愚かでいまいましい集団は、現在、全力でプロパガンダをかまして、全力でロシアを挑発しているわけだから、この流れで、よーしやっちまえとロシア領のロシア軍基地を攻撃した場合、例えば日本の場合には、横須賀とか横田が壊滅的な爆撃を受ける可能性がある。
本質的にそういう事態です。
そういう事態なのに、この集団に入れられた32か国の国民はまったくあずかり知らない。人が死に、巨大な破壊が見込まれるようなことを、私たちは制御できない。
これの一体どこが民主主義なの?
民主主義どころか、古代、中世の王国より酷いでしょう。戦争するならするで中にいる住民は相応に知らされ、相応に、嫌々ながらでも心構えができていたもの。
今の西側の仕様では、このようなことはできない。つまり、私たちは国家国民を守る話にさえ参加させてもらえない、木偶の坊、代替可能な単なる消費者か何かにされている。これがつまり、西側の仕様ですね。
第一次世界大戦の頃のオーストラリアとか、カナダだと思い出せばわかる。英連邦ではこれらのグループを「ドミニオン」と呼ぶ。日本語では、慣習的に「自治領」と呼んでいるそれ。wiki 自治領
イギリスが決めたら、勝手に参戦させられ、無茶苦茶な作戦でも従わされていた。
■ 不実のアルビオン
スクリパル親子事件等のでっち上げ事件もそうだし、そもそも、リビア&シリアへの攻撃は、英仏が主体になってやったもの。原因は、東地中海から紅海へのコントロールは自分がするべきなのだという、勝手に持ち続けている覇者意識。
クリントン派は、つまり現代のセオドア・ルーズベルトみたいなものなんでしょう。明白に、アングロ帝国を継承してる。
それに対して、アメリカにはそのつもりがない人たちがいる。昔でいえば、フランクリン・ルーズベルトなんかはそうでしょう。
結局、ここにある対立こそ重要な対立なんだろうと思う。しかしもうアメリカにはアメリカ派のエリート層はいるようないないような、になっちゃった。ではどうするの、というのが誰にもよくわからない。
■ 関連記事
独仏、ロシアと対話希望、UKますます狂う
新大西洋憲章だそうだ & 不実のアルビオン
黒海にこれほどの数の軍がはいれると言うことはトルコがNATOの一員であるという要素が大きいですね。
おっしゃる通り、このスケールとアグレッシブな様は前代未聞です。
ですので、本来ならどこかが止めないとならない。しかし、西側諸国は反戦派を政治的に殺してますので、もう誰も何も言いません。
実際、何があっても驚くことすらできないかもしれません。崩落ビルの犠牲者のように。