あいばさんが面白い記事を複数クリップされていた。お借りします。
●中国は千客万来 “米軍艦出動!”騒いでいるのは日本だけ
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/ea711ef91c999d5c0e24e0edd72b38eb
日経新聞の電子版にあったら記事であるらし。
≪ オバマ氏、ついに怒る 夕食会で一変した対中戦略 (風見鶏)
世界の指導者は2つのタイプに分かれる。どんな相手とも「話せば分かる」と信じる人と、その逆だ。前者の典型は、オバマ米大統領である。
彼に接したことがある政府高官らは「オバマ氏は軍を動かすのをいやがる」と語る。なぜなら、たいていの問題は、話せば何とかなると思っているからだ。
こういう入り方の文章を読まされて、なるほどと思う人がいるんだろうか?
しかし、実はいるのが日本、と思うんだなぁ。日本国内の政治状況とか国際情勢を伝える記事の中に根深く残るこのなんか講談めいた調子。
まぁその、今って、話せばわかる人とかわからない人とか、そんな個人の資質の問題に帰結できるような事態なんだろうか????
既に、構造的な問題が起きていて、中東ではほぼ構造的なシフトチェンジが不可逆になりつつある、ってところだと思うんですけど。
だから、米からすると、東アジア地域においてはまだ何も変わっていない、と主張したい、それが今回の事態ではないでしょうか。
■ 構造変化のまず第一の意味は妄想の破裂
構造変化のまず第一の意味は、アメリカは特別なので世界中のどの国にでも軍艦だしたり、影の部隊を出して各国で騒乱を起こしても無問題、という過去25年ぐらい続いた「妄想」の終焉だと思う。
アメリカってユーラシアの国じゃないから、実は多くの戦争についてアウトサイダーでしかない。そこを逆手にとって、
どこにでも普遍的に存在可能なアメリカ、
という妄想を築き、この妄想を梃に各地に空爆しまわった、と。
これって最初から妄想には違いないんですよ。しかも実はここ25年ぐらいしか歴史のない。
だってそれ以前にはソ連があったから。で、現実には当時は、やり過ぎたらソ連の方に顔を向けられても困るので、アメリカも適当に合理的だったり、いい人だったりしている必要があった。
しかしそういうライバルがいなくなったので、アメリカの支配者層は万能感に浸ってしまった。
で、現実のアプライとしてはこんな感じ。
中東は過去25年間、アメリカがトマホークお見舞いしてミサイルの恐怖下におかれるのがデフォだった。
しかしよく考えれば、なんで?ではある。各国には主権があるじゃないか、と。
そこに、ロシアが登場して、もうこんなの我慢するな、と加勢に出た。しかも、過去6,7年言論戦を行った上で、最後に国連で演説して態度をはっきりさせ、シリアからの正式な応援要請を受け付け、その上で、長距離巡航ミサイルの実際の使用におけるアメリカの独占を破壊するという高い実行力を伴って折からの言を現実に変えた。
というわけで、みなさん、あれ?と目が覚めちゃった状態だと思うんです。
アメリカ(またはNATO)がシリアに入り込んでる根拠って何? じゃあアフガニスタンは、じゃあイラクは、と。
アメリカ人も、ここ数日書いたように、中東におけるアメリカの行動は違法だ、不法だ、根拠がないじゃないか、という発想をする人が確実に存在できるようになってきた(前からいたけど、より目立つところに出られなかった)。
つまり、どこにでも普遍的に存在可能なアメリカという妄想が壊れた、という感じじゃないですかね。
■ 東アジアなら、東アジアなら・・・
で、米としては、東アジアなら、東アジアならまだ大丈夫だ、とこの妄想をひっぱっている状態だと思う。
つまり、本当を言えばアメリカは南シナ海の関係国じゃないから、お前はすっこんでろ、関係当事国で話しあう、少なくとも揉め事をする枠組みを作る、と言われると立場が弱い。
現状では、フィリピンにアメリカさんウェルカムという状況を作らせているが、ウェルカムと戦争を手伝ってくださいでは天と地ほども差がある。フィリピンは自分を犠牲にしても中米開戦を望むのか?
そこで、「航海の自由」という関係国を曖昧に増やせる戦略にかけてる、という感じか。
が、インドネシアとかオーストラリアが態度保留になって遠目に見てる状況なので、アメリカ(または日米)が作ろうとしていた、地域全体として中国に抗しているという図も温度が低いものになった。
そしてこの戦略には妙なハードルがある。
それは、アメリカは国連海洋法条約に加盟していないこと。だったらお前も「国連海洋法条約」の加盟国になれよ、というのが中国の態度であり、結局はその他多くの国の態度にもなっちゃうんじゃないでしょうか。
wiki
この条約はそもそも米ソが冷戦中であるにもかかわらず共同して作った代物で、アメリカも自分の自由にならない部分は修正されてきたことでもあるので、事実上加盟に不都合ってないのじゃないかと言われている。
でね、それにもかからずなぜ加盟しないのかといえば、自分は世界の海を仕切るルールの上にいるという解釈なんじゃないでしょうか? 将来自分に不利益に働く条約には加盟しない、という立場をキープしてると。
だから、南シナ海における取組みというのは、アメリカがすべての立場を離れて普遍的に存在するという立場が守り切れるのかというテーマに収斂しちゃうような気がする。
しかし、チャイナからすれば、そうであればこそ、そんな妄想に付き合う義理はないから目の前の関係当事国と揉めないフレーム作りますというある種の正論路線を取り得るわけだよね。
個人的には、アメリカのアプローチは、卵を同じ籠に全部盛っちゃうみたいな非常に危ういものを感じてる。アメちゃ~ん!
■ 日本の方がもっと・・・
しかし、アメちゃんは、結論からいえば、最悪、仮にこの海域で戦争して適当に勝ったのか負けたのかわからん19世紀のクリミア戦争みたいな状態で、「このへんにしといてやるぜ」とか言って引き上げるというオプションがあり得る。当事国じゃないから。
しかし、日本はこの海域が紛争化したらマジで困る国。それなのに、ああそれなのに・・・なんだよね。
どうなってるんでしょうかね。
でさ、話は前後するけど、今って構造的変化が起きているということを欧米人は日々気が付いているわけだけど、我が方では、そのようなことは「あり得ない」って感じの報道を繰り返している。そして、多くの日本人は基本的に外国の報道を知らないで過ごすので、そんなもんかと思ってるらしくある。
もれ聞くところでは、アメリカの大統領選も、本命はクリントンとブッシュですとテレビで発言していた「識者」がいるらしい。
これって、1920年代、30年代のようだよなぁと思わざるを得ない。
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しかし、それってthe Westが適宜使い分けながら振りまいた話ですから別に普遍性はないんですよ。
ロシア向けの番犬に「された」ことを認識することが自己認識の第一歩というのが私の持論になってきました。