夕方珍しくテレビを見たら、甘利さんが涙声になっていた。泣いてた。
TPPがらみの話で誰かが甘利氏を刺したって話なんだろうと思う。が、しかしこいう刺され方をした場合には降りるしかないからね、とかあっさり思いもした。
でもって、日本の政治の過去何十年間を振り返るに、こういう変化球というよりボークというより、デッドボールみたいなやり方でしか政権を揺るがしたり政策変更を促したりできなくなっていることにうんざりする。
やっぱりこう、透明性ゼロ、国民主権何それおいしいの、的な統治だからなんだろうなと改めて思う。野党がいないんです、っていうけど、背後勢力の好みの野党じゃなきゃ許されないもんでなかなかうまく作れないってのが細川政権あたりからの25年って気もする。
ぶっちゃけ、過去25年ぐらいの支配層は、冷戦体制という(日本支配にとって)便利だった時代も終わったことだし、さてさて日本統治システムをどうやって永続させるかを考えたいてんでしょう。その時、いきがかり上の処置とはいえコラボレーターにして便利に使ってきた自民党一党支配じゃ限界があるとはみんな知っていた。
そいじゃ、ってんで、アメリカの傀儡A(従来の自民党)に対抗する傀儡Bを作りたいってのを、民主主義なんですから二大政党制を、とかいうきれいなカバーをかけて遂行した。
でも、そのたびに国民は勘違いしちゃって(笑)、今度こそ citizens of Japan (日本の市民)のための政治をとかいっちゃう。それを本当にやると、傀儡Aと傀儡Bシステムじゃなくなっちゃう。困った困ったといろいろやってるうちに、傀儡Aの悪質化が起こったって感じじゃないかしら。それがつまり、誰がどう考えても尋常でないこの安倍政権なるもの。
当然、傀儡Aたる自民党の中は常に一様ではなかったから、この悪質化した傀儡Aに対する反発が出てくる。
去年の安保法制の時から、自衛隊の機密文書に近いものが共産党の質疑に登場するといった事態が発生しているのは、つまり、これら「悪質化した傀儡A」でないすべての関係者が地味にこもごもこのバカたれをどうソフトに打倒するかに結集しているという意味ではないのか、など思う。
リーク先が民主党でもマスコミでもなかったのは、そこはみんなダメだってのをこれら元当事者、元エライ人たちがよくよく知り抜いているからではないかと推察する。
で、今般も、文春という普通政権側の工作に使われていたような雑誌がこういう役割をしてくるというのは、つまり、ここは「悪質化した傀儡A」でない、いわゆる従来のおっさんがたの力が及ぶところだったからではないのか、など思ってみたりもする。
そういうわけで、日本の政界も実はアメリカの政界並に影でバトルが起こっていると思う。
で、前から言っている通り、「悪質化した傀儡A」を支えていたであろうアメリカにおける勢力は多分負けてる、というのが私の読み筋だす。
しかし問題はですね、この最後っぺみたいな傀儡Aが打倒された後、どうやって政界を形成するか、でしょうねぇ。共産党率いる国民連合はそれはそれで大義があると思うので頑張ってくださいと思ってます。が、しかし、ここはパーマネントな団結ではないから、やっぱり政界再編は求められる。
これはアメリカもそう。
■ オマケの読み
政党ができやすいのは理念を共有する形式じゃないかと思う。利害って意外とばらけてるから。つーことで、
アメリカ大統領選雑感
あたりでサンダースは無視できないだろうと書いた通りになってきてるみたいだし、
1%のための政治じゃない、政治は国民みんなのためにあるもんだ的な理屈を軸に人々が結集 → 民主にバリュー
それに対して、そういう理念はいいとしても奴らは政府に巨大な権力を持たせたままの一団だ、それじゃダメだ → 自由と公正にバリュー
ってな流れはどうだろう。
結局同じなんだけどね(笑)。人々の意思が結集することによって、同じなんだけど、両方の党を操ってた後ろの世界の力が弱まるという効果は期待できる。
後ろ世界との妥協が成り立つ程度に人々主義が活性化するんじゃないかと想像する。
国民の生活が第一とか言ってるおじさんがいたけど、読み筋としていい線いってるんじゃなかろうか。
で、ロシア、中国、イラン他は、米国とその子分たち(EU+日本)がネオコン+介入主義者がかき回した狂人政治を適当に抑えてくるまでは遠巻きに見てるだけ~みたいな感じ。
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難しい国になっちゃってもう、みたいな感じですね。