米のポンペオが、イランに言うこと聞かないと史上最大の制裁をかけてやると脅している。史上最大の制裁ってどんなものなんでしょうね。まずはそれを教えてほしいものだ。
イランに「史上最強」制裁も、米国が核放棄など12項目要求
https://jp.reuters.com/article/iran-pompeo-idJPKCN1IM1LI
[ワシントン 21日 ロイター] - ポンペオ米国務長官は21日、イランが核プログラムの放棄やシリア内戦からの撤退を含む米国の要求を受け入れなければ、米国は同国に対し「史上最強」の制裁措置を導入する可能性があると述べた。
どんなもんでしょうね? イランと取引するなというのは既に部分的にやってるけど、でも、国連制裁じゃないから各国それぞれに工夫して取引してる。単純に、欧州と日本という米の子分が、米が一方的な制裁をかけると従う義務もないのに従わねばならないと政治的に判断するので苦境に立たされているだけとも言える。
それによって、金持ちグループの資金がイランに入らないからイランは苦境に立つ、殺してやる~ってのがアメリカの叫びなわけですが、現在は金持ちグループ以外でも多少の用立てはできるので、金持ちグループのできることには限界がある。
で、もちろんイランは怒ってるし、ヨーロッパも態度は強気で、なんとかしてこのイラン合意を守ってやるといろいろ画策している。
ロシアのIAEAの代表者は、単純に、「まったくノンセンス。こんなことに基づくなら何にも合意できない」と言っているようだ。
"That’s nonsense, nothing can be agreed on this basis," he said from Vienna in a video conference.
http://tass.com/politics/1005522
実際問題、関係者は誰も真面目に核の話もミサイルの話もしていないわけで、それはつまりこれが単なる米によるイラン攻撃の一環だと誰でも知っているからでしょう。屈しろ、と、ただそれだけ。
ある意味現在のトランプ政権は、イラン政策に関してはまるごと男ヌーランドみたいになってると言っても過言ではない。ロシアは脅せば屈するのだと突っ込んでいって恥かいたやつ。
しかし、今回は欧州勢が手を離していないので、どうなるのかまだ不明。
■ インドのモディさん、ソチ訪問
さてそんな中、インドのモディ首相がソチでプーチンに会っていた。
http://en.kremlin.ru/events/president/news/57506
これがどんな意味を持っているのかは誰もよくわからないっぽい。
モディもメルケルの訪問も、ずっと前から予定されていた公式訪問ではなくて、短時日で計画されたワーキング・ビジット。持ちかけたのはいずれもロシアの方で、プーチンはそれぞれに招待に応じてくれてありがとねと言ってる。
メルケルの方は、イラン合意の問題があるからタイミング的に、ここでドイツはロシアと最低でも対話できる関係に持っていくと考える意味は理解できる。
今週末は、フランスのマクロンがロシアに行く。こっちは前から予定されているもの。
しかしインドは、もうすぐ上海協力機構のミーティングだってあるのにここでモディを呼んだんだから、それ相応の意味があるんだろうと思う。
何をしているんでしょうね。わかりませんが注目しておきたい。
そして、ロシアがインドを中立化させてることの意味はとても大きいとも書いておきたいな。中立化というのは、要するに、完全にアメリカの子分になって(日本の金にも引っ張られて)、対中国で騒ぐような国になっていたら(かなり無理はあるにせ)、結構大変だったよなということ。
ロシアの中では、インドはすっかりアメリカ製兵器の上得意になっちゃってロシアを裏切っていってるから頼りにならないと憤慨している人たちもいるようなのだが、いやでも、51 vs 49で安全が買えるならそれで良しってこともあると思うな。ゼロサムを求めるから揉める。
■ 中国、インドの軍事ホットライン
4月に、モディ&習会談があって、その時にも話が出ていた模様だが、懸案だった、両国軍の間のホットライン開設が前向きになっている模様。
これはいいこと。両方とも大きな軍だから野放しになってるのは怖い。
According to the report, India and China are now looking to set up a hotline between the operations directorates of the two nations' central military headquarters, which was first proposed in The Border Defense Cooperation Agreement (BDCA) and agreed to by Modi during his visit to China in 2015.
http://www.globaltimes.cn/content/1100305.shtml
さらに、インドのメディアが伝えるところによれば、インドは、9月に開かれる上海協力機構がロシアで実施する合同演習に初めて参加するらしい。
India will also participate for the first time in the multi-nation military exercise conducted under the Shanghai Cooperation Organization that will be held in September at the Ural Mountains in Russia, The Indian Express reported.
■ オマケ
イランのpress tvによれば、インドはアメリカが制裁するっつても引き続きイランから原油買うよと言っている模様。
India sees Iran oil imports steady despite US threats
http://www.presstv.com/Detail/2018/05/22/562561/Iran-oil-exports-India-US-sanctions-China
日経新聞のこちらの記事
欧州・中東 プーチン詣で 対米不信、ロシアに追い風
2018/5/23付
ttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO30818760S8A520C1FFJ000/
で読みましたが、中東情勢の安定のため、各国首脳が次々とプーチン大統領のもとを訪れているようですね。本当に、たった1か月前までのロシア叩きが信じられないほどの状況の変化です。
記事の中に、
>「現時点で(国際秩序を乱す)修正主義者はロシアではなく米国」と欧州のある外交官は指摘する。中東の混乱は難民問題やテロとして欧州に跳ね返る。
という件がありますが、私に言わせれば、現時点に限らず欧米が原因となった国際秩序の不安定化は今まで何度あったのだろうという気がいたします。むしろロシアはそのフォローをしてくれていた方ではないかとも。
欧米に対して、黙ってテロの被害に甘んじていろなどと言うつもりは毛頭ありませんが、中東関係でロシアを頼らなければならない以上は、せめてロシアの中東での活動の邪魔はしないでほしいし、できれば最初からしないでほしかったと思います。
ところで、ロシアの中にインドは裏切者だという声が出てきてしまっているのはちょっと悲しいですね。かなり前になりますが、ウラジーミル・ジリノフスキー氏が著書『ロシアからの警告』の中で、「我々の永遠の同胞インド」と表現しているのを読んだことがありますが、やはり時代は変わっていくのでしょうか。YouTubeで"Russia India friendships"で検索してヒットする動画には、恐らくはインドからのものと思われるロシアへのラブコメントが数多く見受けられるだけに、ここで両国の関係を変えてしまうのは何だかもったいないなと個人的には思います。
(感情的なコメントですみません)