今週は忙しくてブログに向かってる時間がなかった。
その間、大事件はなかったといえばないんだろうけど、いやしかし、日本にては総裁選挙が目下の注目の的みたいになってる。コロナはどうしたの、コロナは。
これは、なんというか、やっぱり米軍アフガニスタン撤退事件と関係ないとはしないね、と私は思ってる。
前から書いている通り、この事件は短期的には20年だけど、その前のサイクロン作戦から含めれば40年以上の長きにわたる話なので、これに1つの区切りがつくというのは、表面で見るよりもずっと大きな変化をもたらすと見るのが良いんじゃないかと思う。
サイクロン作戦が壊したアフガニスタンの日常
昨日木曜日、BRICS諸国のサミットが行われていて、そこでプーチンが、
アフガニスタンの混乱は西側諸国が作ったが、今や全世界がその結末を処理しないとならない
と言ったそうだけど、まさにその通りでしょう。
Western countries created a mess in Afghanistan but entire world must now deal with the consequences, Putin tells BRICS leaders
■ ナチ派勝利の日々だったわけよ
まぁその、ネオリベ&ネオナチの夢の日々は崩れつつある、って感じじゃないのかしら。
その代表例が「アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)」の面々だけど、この人たちは突如、突飛な異分子として出てきたのではない。
1945年までの対立軸をナラティブの変更だけで変えていって、ユーロコミュニズムと福音派を主軸として、いうところの新自由主義なるものが跋扈するような世の中になっていった中で、それを引っ張る形でPNACは存在できた。
マジで、見直されるべきはベルリンの壁崩壊イベントだと思うなぁ。
ベルリンの壁の崩壊:ナチ・リベ勃興の日
何度も書いてますが、これは、反ファシストを源流とする東ドイツを倒した、ナチ派大勝利のイベントなわけですよ。だから、90年代というのは、言ってみれば新ナチ派勃興の日々だったと言ってもいい。ユーゴスラビアの人々は賛成してくれるでしょう。
■ メルケル、反共演説をかます
そこで、メルケル率いるドイツが大混乱に陥っているのは無理もないでしょう。面白いものだわ、ほんと。
メルケルは職を辞するにあたって、ドイツの国会で演説をした。その中で、自分のところのキリスト教民主同盟の側が勝たなかったら、国を誤った方向に導くことになる、などと言った。
(ブルームバーグ): ドイツのメルケル首相は、総選挙で社会民主党(SPD)が政権を取れば、国を誤った方向に導くだろうと警告した。自身が所属するキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)陣営の支持率が最低を更新する中で、選挙戦に異例の直接介入を行った。
対抗馬のSPDは、ずっとCDUと一緒に大連立で政権を作っていたのだから、そっちに政権が渡ったところで何を大げさな、と考えることもできる。そもそも現在の大統領はSPD。
だがしかし、メルケルにはそうは見えないんでしょう。
1つには、そもそもSPDは、キリスト教民主同盟ほど完全な親アメリカ党ではないからでしょう。冷戦期から、ソ連シンパがいる、と言われてきた党。また、前の党首のシュレーダーは、ロシアとの関係を切るなどあり得ないという態度を鮮明にしていることで知られる。現在は、ロシアのガスプロムの重役をやってる。
しかし、それだけではないでしょう。
SPDは、メルケルのCDUと同様、支持可能基盤は大きいけど、現在のところ25%かそこらぐらいの支持でしかない。
ということは、SPDが政権を取ったら数が足らないから、グリーンとリンケ(The Left)が連立に入るんじゃないか、と考えられている。
こここそ問題なんだと思うわけですよ。
メルケルは、SPDの党首ショルツ氏は、リンケとの連立を否定していない、と問題視してる。ドイツDWの記事。
Merkel questions if SPD's Scholz ready to rule out alliance with Left party
このあたり、日本の中で、他のすべての党が、常に、ほとんど意味不明なまでに、非共産でなければならないと言っているのと似てるね。実際、1945年まで射程を広げればここにある「保守」の悩みは実は同じだと思う。
しかしドイツの場合は、もっとずっと直接的で問題が大きい。(日本の方が問題ははるかに大きいが可視化されないので気づく人が少ない、というべきかもしれないが)
なぜなら、リンケは、ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)の与党「ドイツ社会主義統一党」の後継政党だから。
東ドイツというのは、根本的に、ナチス政権に反対して国外に追い出された人々が、ソ連が勝ったのと同時にドイツに戻ってきて作った政権なので、反ナチの総大将みたいなものですね。そこを、東西の壁が崩れました、ソ連は悪い国でした、という、ソ連が壊れたことを喜ぶナラティブにして東ドイツを潰した。できた統一ドイツは、結局のところ、バルバロッサ作戦その2を遂行したことを見てもわかる通り、要するにナチの西ドイツだったのだな、といったところ。
東西ドイツがどうやって出来たかについてはこのへん。
混乱を無視して進むドイツ流
その生き証人のような人が、核の秘密をソ連に流したとして有名な、クラウス・フックス 。フックスは共産主義者だから反ナチになったのではなくて、反ナチだから共産党の方によっていった核物理学者。そしてナチの共産党狩りで国外に逃げてイギリス国籍となり、アメリカのマンハッタン・プロジェクトに参加する。あくまで反ナチなのでソ連と秘密を共有するのは当然だと考えた。
エプスタイン事件 (3) エプスタイン「自殺」と赤狩り物語
といって、別にリンケは東ドイツに戻れという主張はまったくしてないと思うけど、東ドイツとは何者だったかを知っている集団であるとは、もちろん言える。
そして、リンケは一貫して、NATOは解体されるべきで、ロシアを含めた集団的な安全保障システムに置き換えられるべき、という主張を持っている。ついでにいえば、ウクライナ危機の時にも、西側の間違いを主張していた。
ウクライナでネオナチかついでクーデターをかました西側という、気づいた人は誰もが鼻をつまむような事態を起こしながら、悪いのはロシアと騒ぐという異常な時間帯において正常だった人は記憶されるべき。
お話戻って、サラ・ワーゲンクネヒト。私としては、この人は、2014年のウクライナ危機の時、アメリカに釣られて次第次第にドイツも狂ったような反ロシアになっていった最中、連邦議会でメルケルの政策は間違っている、NATOの政策は間違ってると主張していたのが非常に印象的だった。
つか、勇気がある。いやほんと、感心した。狂気の最中の反論というのはできるようでできない。だからみんなファシストに負ける。しかし、この人とこの党は小なりといえどもちゃんとやってた。
メルケルより人気のディーリンケ議員
これはやっぱり、現在の統一ドイツにとっては、なんのかんのと困惑させられる事態が予見されるんではないの?
■ 東西の欺瞞体制が困惑してる
ということで、並べてみれば、東西のおちょーし者体制というか、欺瞞に満ちた体制がぐらぐら、がたがたしていると考えると納得できるように思う。
中盤でも書いたけど、日本の場合は可視化されてないことが多すぎるから気づかれていないだけ。
でもまぁ、国内でだんまり作戦を取ろうとも、おかまいなしに外から刺激されますかねら。今週はこんなものもあった。これは後でまとめて書きたい。
ロシアで機密解除 昭和天皇の引き渡しを米国に要請したソ連外交文書
https://jp.sputniknews.com/life/202109038669435/
https://jp.sputniknews.com/life/202109038669435/
対象の5人とは昭和天皇、石井731部隊初代部隊長、北野731部隊2代目部隊長、若松100部隊獣医少将、笠原関東軍総参謀長。ヴィシンスキーによると、この5人全員は「細菌兵器開発と使用に関与している」と1949年ハバロフスク裁判で日本人が証言している。
とはいえ、総じていうなら、私としては、レーガン主義者とかネオナチの問題よりも、「リベラル」の嘘が暴かれていることの方が、構造基盤を破壊するような話だと思うので、大きいと思う。走ってるプラットフォームは、「リベラル」のプロダクトだから。
このへんで書いた話。
田岡俊次の「古い」解説&リベラル勢の危機
どうなるんでしょうね、ほんと。
でも、こんな路線で何かが覆ることはないことは間違いない。西側のこの15年かそこらのアホさ具合は、殆ど自傷行為だったね。