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抵抗がわからない人たちがいる

2020-01-10 20:36:55 | アジア情勢複雑怪奇

ロシア軍が黒海で演習をしていた。

小型船舶にカリブル系のミサイルを積むのはもはや定番。ハイパーソニックのキンジャールをMig-31Kに載せて発射という方が今回の目玉か。もちろん、黒海のプレゼンスをNATOに見せつけて、やったらお前はやられるという「絶対報復」を改めてお知らせすることがこれら演習の主意。

Kinzhal hypersonic and Kalibr cruise missiles fired during massive Russian Navy drills in the Black Sea (VIDEOS) 

https://www.rt.com/russia/477838-russia-navy-kalibr-kinzhal-putin/

1945年の写真なんじゃないかと思わせるような雰囲気。黒海での演習を視察するプーチン。

 

難しいことをしないとならないパイロットたちがそれでも頑張ろうと思うには大義が重要だというのは今更書くまでもないけど、過去20年のロシア軍の整備と能力の伸長が可能だったのは防衛するしかないという意思あったればこそと改めて思う。

いろいろと差異はあれど、基本的に、これはつまり、スレイマーニは中東地域でのアメリカの無責任な侵略行動の直接の帰結だ by スコット・リッターというのとまったく同じ構図だと思う。

 

■ 抵抗がわからない人がいる

で、なんでそんなことをわざわざ言いたくなるのかというと、

 

想田和弘
 
@KazuhiroSoda
 
イランがイラクにある米軍基地にミサイル攻撃したとのニュース。なんと愚かなことだろう。トランプもハメネイも、歴史から学ばぬ大馬鹿者である。大馬鹿者がトップにいる以上、戦争に発展するしかないのだろうか。頼むからやめてほしい。双方にとって何もいいことないだろうに(軍需産業以外)。


こういう感じの人が日本にはかなりいるから。
 

シリアにロシア軍が乗り出した時に、金子勝もそんなことを言っていた。暴力は暴力では解決しない、といったことを叫んでた。

暴力では解決しないのだとしても、暴れまわってる奴らを抑えるためには暴力が必要だという考えは彼らにはないらしい。

報復しなければ図に乗り続けるのが西側諸国という世界制覇指向がやめられない集団だと、いったいこの人たちはいつ気が付くんでしょう?

多分、幸福な人生を送っている人なんでしょう。日本人の置かれた立場など気になったこともないほどに幸福な。

しかし、世の中には幸福でない人もいる。

これらの人は、では、ベトナム人はどうすればよかったというのだろうか? 抵抗せず米軍のおもちゃに、あるいは石ころになればよかったというのが結論なのだろうか?

もっとある。日本人が入り込んだ大陸で、主に1920年代から日本人を追い出そうと抗日運動をしていた中国人や朝鮮人(同じグループではない)が多数いたことを当時も知られていたし、現在でも知られている。

彼らは当時の日本人の目から見れば非合法なことを多数していたことだろう。そこで、想田や金子は、中国人はおとなしく日本当局者の言うことに従っていればよかったという見解なのだろうか? 抵抗するな、と。

言論で解決せよというのかもしれない。しかし、では、当時の日本の関東軍を一体誰が諫めることができたんでしょう??? 日本の当局者でさえ最後まで説得もできていなければ、方針を変えさせてもいない。単に、ソ連赤軍が関東軍を破壊したために、それでなし崩し的に崩れたのに過ぎない。

1928年の山東省の中国人に、1937年の上海の中国人に、抵抗する以外に一体何ができたんだろう?

 

ということで、考えてくると、日本の中のこの一群の人たちというのは一体全体どんな世界に住んでいるんだろうかと不思議でならない。

あるいは、不思議がることもないのかもしれない。要するに、1920年代の日本の軍人がそこにいるだけだと、あるいは2003年のアメリカの軍人がそこにいるだけだと思えばいいのかもしれない。

問題は、それらの人々があたかも自分は平和主義者のようなふりをし、それをまた多くの人間が信じ込んでいることだ。

 

■ 侵略戦争と防衛戦争

とかとか、まどろっこしいことを書いているけど、これはこの間も同じ問題をほじくったばかりだった。この話。

■ 日本って特殊かも

と、ここまで書いてきて思ったのは、なぜ日本の中の話がとっちらかっているのか、その最大の原因は、アメリカ(およびその属国)が攻撃側で、ロシア側、あるいは大陸側は防御側だという事実が呑み込めない人が多数派だからではないか。

そりゃ一応アメリカの軍も「defend」(守る)という言葉を使ってるけど、実際にはこの軍は著しく攻撃的、あるいは普通に攻撃に特化している。

アメリカ人はだいたい知ってる(笑)。

米ミサイル防衛網が無駄どころではない世界

 

これ見て何か思うことないですか?って感じなわけですよ。

 

 

日本では侵略する側の戦争と防衛する側の区別なく「戦争はいけない」と表現することになんの躊躇もない。

これは実に不都合なものの考え方。

どうしてこうなるか。寄って来たるところを別とすることはできないわけで、要するに過去の日本の行動をaggressor(侵略者)のそれと認めたくない人たちが多数いる社会だったもんで、区別を回避しているうちにわけがわからなくなったって感じはなかろうか。

さらに、日本を占領した米軍がまた派手にアジアで躊躇なく軍事行動を取るもんで、ここでも侵略と防衛を区別することが不都合になった。ベトナム戦争あたりがそのピークですかね。

で、ここらへんを、東西陣営の対立とかいう理屈で説明して、ソ連や中国の「思想」こそ問題、みたいな理屈をつけたもんで、さらに話が滅茶苦茶になったって感じか?

ナポレオンもスェーデンの王様もロシアを侵略してるし、勝手にクリミアにあがりこんで戦争した英仏軍なんかもいるわけで、the Westの戦争って別にマルクス主義関係なく起こってるわけですが(笑)。

もちろん、ロシアとトルコ、フランスとドイツ等々の戦争もあるわけだけど、これらは当事国同士が同格でやってる要素が強いわけで、恒常的に方向性のある戦争ではない。

75年もの間一貫して「同盟」を作って間断なくどこかを攻めようとする現状は世界史的に見るとまさに異常な時代。

 

で、この異常な時代をどこまでもやっていけないだろうと地球上の多くの国と地域が気が付き、どこまでもやっていこうとする側(the West)に対して、抵抗運動が起こっているというのが現状だとも言える。

オッズとしては、もうできそうもない、の方が確率が高そうだ。

そうなった時、侵略戦争と防衛戦争の区別を付けずにいい加減で半端な世界観を持ってここまで来た私たちは、多分、ものごとを説明する言葉にさえ不自由することになるだろう。大変よ。

そして、抵抗する人々に心を寄せられなかった、理解を示せなかったことのツケも来るでしょう。

 

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (名無しの在日)
2020-01-10 23:42:55
>日本では侵略する側の戦争と防衛する側の区別なく「戦争はいけない」と表現することになんの躊躇もない。

これ、1970年代に本多勝一がその多くの著作ですでに指摘していた問題ですから、現代日本の左派なりリベラルなりが、当時から何も学習していないことを示していますね。
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教えてくれてありがとうございます (ブログ主)
2020-01-11 00:08:19
名無しの在日さん、

ありがとうございます。
そうなんですか。いやでも、そうですよね、いくらなんでも気が付く人はいるはず。

しかし、それでも全然変わらず今になってる、と。困ったことです。道徳的とかいうのじゃなくて、まず第一に、アホやもん。
返信する
あくまで推測ですが (名無しの在日)
2020-01-11 02:15:53
ブログ主さん

私個人は、あなたが常々述べていらっしゃる

「(ソ連)東西挟み撃ちを見たくなかった件」
「誰が関東軍を殲滅し朝鮮を解放したかを知りたくない件」

に深く関わる問題だろうと考えています。
返信する
翼賛体制 (ローシャン)
2020-01-12 02:37:49
1960年代の半ばぐらいまで日本共産党は社会主義国の核兵器は防衛的だと言っていた。まさに正論ですが、この時代にこんなことを言うと中ソの手先といわれた。国会議員なんて数人しかいなかった。

今はロシアとか中国を批判することが日本共産党の存在意義みたいに思っているようですね。

結果的に米国に敵対する国は日本ではみんな評判が悪い。左翼も右翼も関係ないですね。幸福実現党と日本共産党の対中国に対する意見はほとんど同じですね。びっくりします。

今の日本は戦前の大政翼賛会が支配して、その上に米国が乗っかっている図のように見えます。

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「きれいな核」 (ブログ主)
2020-01-12 03:06:52
ローシャンさん、

それはつまり「きれいな核」ですね。きれいな核だと共産党が言ったかのような嘘。

良い示唆をいただきました。確かに、そこらへんの冗談のようなトリックが今に至るまでの言論上の統制に一役買ってたという感じがします。

意図的に集団でアホになっていたのかと思うと嘆かわしいですが。
返信する
Unknown (ローレライ)
2020-01-12 06:45:00
徳富蘇峰がエジプトと朝鮮の独立運動を並べて無駄な抵抗扱いして以来、日本は帝国主義陣営と考え忖度するレジームをつずけている!
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