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「永続敗戦論」では終わらない

2015-08-21 14:41:10 | 太平洋情勢乱雑怪奇

月曜日に、宮台真司さんが語っていた、日本の戦後は国体を温存させてもらっちゃった人たちが温存させてくれたアメリカを追従し、その路線が堅持されている限りその枠内でわーわー歴史修正的になることが可能なんですよ、という話を書いた。

国体を温存させてもらっちゃった人たちとアメリカ

この話は、白井聡さんと宮台さんとの間でその前日あたり?に、ラジオの「デイキャッチ」という番組で話されていたものの宮台さんによるサマリーだった模様。

デイ・キャッチ 白井聡×宮台真司 「終戦か敗戦か」2015.08.14
https://www.youtube.com/watch?v=Vk9ZFhVpmDQ

 

そして、全体的な枠組は白井さんの有名なこの本にある通り。

永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04)
白井 聡
太田出版

 

敗戦を終戦と呼び換えながら、あたかも戦争の終わりを天災か何かのように人々が受け取るように差し向けていった日本の戦後の物語は、戦前の体制から持ち越しであることを隠ぺいすることを目的とした作為でした、って話ですね。

この本の今日的な面白さは、この本は安倍ちゃん政権が本格稼働する前に書かれていること。直接的には3月11日の震災に続く原発騒ぎに驚きつつ考察した著者がたどり着いた結論という立ち位置だと思う。

で、面白いのは、安倍ちゃん政権がたどった道は、この本の読み筋が実に正しいことを証明していくかのようなものになっていた、ってところじゃないのかしら。まさしく、対米従属こそ本旨といったことを、あたかもそうではないかのように行っている、まさに永続敗戦論そのものだったな、と。

そういうわけで、多くの人に読まれることをお奨めします。

とはいえこの本はそう簡単な本ではないといえばない。というのは、おそらく理論が先走っているみたいに言う人がいるんじゃないかと思う。しかし著者は事実関係はしっかり読み込んで書いていると思いますよ。ただそこの説明に紙幅を割いていない。その意味では「読みやすい」「誰にでもすぐわかる」とい体裁の本ではない、と思う。

■ とはいえまだまだ

お奨めしておきながらそういうことを言うのもなんだけど、でも、基本的にこの枠組みは、日本の本土、つまり東京を中心に考えた時によりよく妥当する、という意味で現状に対する「救済案」なんじゃなかろうか。

というのは、この著者もそれを推奨している宮台さんも、その他これに類するその他大勢の識者の人たちも、冷戦を所与のものとしているわけです。

しかし、冷戦こそ自然現象だろうか?

ここに光をあてない限り、つまり問題意識を持たない限り、近代における日本の国際的立ち位置は見えてこないだろうと思う。

でもって、満州の存在はこの枠組みによってしか解明されない気がするんだよなぁというのが私の意見だす。

だから、白井さん、宮台さんたちが広めている看取りは、日本国民にとって現在受け入れられる限りにおいての謎解明だろうな、とか思う。その意味では、司馬遼太郎と似ていなくはない何かだが、司馬さんの方がもっと怖いところに接近していたとも思う。

多分、早晩、これでは足らないという時期が来るんだろうなとか思う。

でも、私たちはあまりにもタコツボに入っている時間が長かったので、まずはこのへんの本で自分が入っているタコツボがどのようなものであったかを理解する、というのは有意義だと思う。


 

マンガでわかる永続敗戦論
岩田やすてる
朝日新聞出版

 

偽りの戦後日本
-
KADOKAWA/角川学芸出版

 


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