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GHQ焚書図書開封 第22回 大川周明『米英東亜侵略史』を読む ―ロンドン軍縮協定と日本の曲がり角―

2014-09-28 20:45:14 | GHQ焚書図書開封

第22回:大川周明『米英東亜侵略史』を読む ―ロンドン軍縮協定と日本の曲がり角―

出演:西尾幹二
平成20年5月10日 放送
http://www.youtube.com/watch?v=Nvw7Ro1W5eg

■今回のご本
米英東亜侵略史
著者:大川周明
出版年:昭和16年

 

動画中で触れられている本 

日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く
著者:佐藤優
出版年:2006年

日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く
 

小学館

この本は、昭和16年12月8日の開戦からいくばくもない14日から25日にかけて放送されたものが書籍となって出版されたもの。どういう理由で、どういう筋が企画したラジオ番組なのだろうかとそこにも興味がわくがそれには触れられていなかった。

日程から考えて政府筋の押しなのだろうとは思う。開戦当時の日本国における、みなさまと共に辿る「これまでの総まとめ」みたいな番組で、これを流すことによって国民の認識を整理するといった意図で行われたのではあるまいか。

西尾先生はその中で、大川氏が1922年のワシントン会議ではなく1930年に開催されたロンドン会議に憤慨している点に着目。

ワシントン会議、ロンドン会議といっても私たちはそれを点と点で見てしまうが、その時代に生きていた人々はあれもあり、これもあって、その果てにこれか、との思いで開戦を迎えたのだ。同時に、少なからぬ人が開戦の時、ついにやったとむしろすっきりしたみたいなことを言っていたとも聞くので、ラジオの向こうの人々は、悲壮ではなく、そうだもうこれしかなかったのだと断固覚悟を決めたといった感じになっていたのかもしれない(その心の整理のためにこそこういう番組が企画されるのか?)

実際、大川周明氏が縷々述べておられる通り、アメリカは偶然に、たまたま日本との戦争に入ろうとしたのではなく、日露戦争後から着々と、様々な試行錯誤があろうとも、東亜に至ろうと、太平洋の覇権を握ろうと、そしてその障害物たる日本を除こうと一貫した政策を持っていた。

太平洋をして世界制覇の中心としようとするのはなぜか。それはシナ、満蒙があるからだ。
太平洋の島々は既に欧米列強の支配下におかれている。しかし東亜においては未だ絶対の支配者がいない。
だからこそアメリカはそこを支配しようとして、だからこそ太平洋の制覇が必要なのだ。アメリカにとって太平洋はただに太平洋なのではなく、「シナと相対する太平洋」(ルーズベルトの発言)なのだ。

このロジックでアメリカは動いている。日露戦争以来ずっと問題はシナなのだという点を大川氏はしっかり理解している。

さて大川氏は、ワシントンで譲歩し、ロンドンで譲歩し、日本の海軍を劣勢ならしめ、しかるのちに支那満蒙より日本を駆逐せんとするアメリカを前に譲歩に譲歩を重ねるのは間違っていたのだと語る。もし日本が、しかるべき時にアメリカの野心は達成できないのだとわからせるべく、少なくとも日本はそう決意していると主張していたら事態は変わっていたのではなかろうかと考えていたようだ。そのためにこそロンドン会議は重要だった、しかるにそうはならなかった、これは残念だ、というご主張。

■ 現在との類似

西尾先生は、欧米がシナに対して常に非常に寛大だという点を指摘されている。放映は2008年の北京オリンピックの前なので、日頃人権がどうしたと言う欧米諸国がこぞって結局オリンピックに行くんだろうことに憤懣されている。

しかし、実際問題こうして並べて考えてみれば、欧米にとっての現在とはシナとの交易という100年越しの夢がかなった状況ともいえるんでしょう。

結局なんでいつもこんなに欧米列強はシナに入れあげるのかがわからない、という感触を日本人は戦前も今も変わらず抱いているともいえる。

■ 「戦犯」にされるだけのことはあった

大川周明氏の本は、戦後すっかり忘れ去れて久しいが、要するに米英が「戦犯」にしたくなるにはそれなりの理由はあったんだろうなと思った(もちろんそれを許容するという話じゃないですよ)

この本の構成が、前半がアメリカのアジア侵略、後半がイギリスのアジア侵略となっている点がそもそもバランスがいい。つまり欧米人の行動をよく観察し、その上で現状認識を語れる人だったのだ。おまけに。文章がうまいので大衆をのせる才もあっただろうと思う。いつか機会をとらえてもっと読んでみたい。


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