DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

SPIEF:インフレは無責任な借金経済のせい、世界は変化中

2022-06-19 16:57:33 | WW1&2
6月15日から開かれていたサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムは、額にして10兆円近い契約と、130か国から約1万4000人の参加者を迎え、つつがなく終わったようだ。

Agreements worth almost $100 bln concluded at SPIEF, says organizing committee


例年通り最終日18日の全体会議にプーチンが登場してのスピーチが行われた。



プーチンは本当は死んでいる説が流れていたけど、ホンモノっぽかったよ(笑) すました顔して鍵になるスキームを見せて、物凄い早口で説明しだす、いつものプーチンだったと思う。


で、毎回面白いわけですが、今年のは、時節柄、総まとめみたいだった。

クレムリンのサイトに動画とスクリプトが載ってる。これは英語版。

St Petersburg International Economic Forum Plenary session

プーチン本人も言及したけど、総論としては去年の冬にダボスで話したことに近い。実地編を踏まえた解説みたいな感じかな。

2021年1月末のスピーチは、ダボスとの因縁の対決に答えを出すみたいなスピーチで、丁寧に親切に語っているものの、よく読めば、あんたたちのやってることで上手く行くとは私は思ってません(一極支配はうまくいきません)、私たちが考える社会とは最低限これこれこのようなもので、ですので私たちはそっちに行きます、といった建てつけだった。

10日間の出来事:新START延長&ミュンヘン会議2007から14年@ダボス
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/ddcff77afb696f6f31d51e90c9b93556


今回は、それが現実化している状況。ウクライナの行動というのは、思えば、一極支配妄想による被害者の救援のようなものでしょう。誰があんな馬鹿みたいなナチを作ってんだよ、って話。ウクライナ人が自ら大挙してああなったわけじゃない。

ということで、今般こんな入りをする。

1年半前にダボスフォーラムで話をしたとき、私は、一極世界秩序の時代が終わったことを強調しました。 この話を回避するわけにもいかないので、これから始めたいと思います。この時代は、あらゆる犠牲を払ってもこれを維持し保存しようとする試みにも拘らず、終わりました。 

変化は、自然な歴史の成り行きです。地球上の様々な文明の多様性、文化の豊かさを、政治的、経済的に、あるいは他のありきたりなやり方で調和させようとしてもそれは難しいことだからです。そういうありきたりなやり方は機能しません。1つのセンターから、粗野で妥協のないやり方で押し付けられるんですから。

といったことをぼちぼちと話しながら、経済について、というか、経済の仕組みと理解について語ってると思う。

そして、現行の制度に問題点があることは、別にプーチンに言われずとも実は西側の人間もわかっているわけで、それを背景において考えた時、このスピーチは多方面に示唆が及び、思えば、確かに時代はページをめくってるんだなという感じがした。

製品および商品市場でのインフレの急進は、今年の出来事よりずっと前から現実のものとなっていました。 世界は、G7諸国が長年追求してきた無責任なマクロ経済政策によって、少しずつこの状況に追い込まれてきました。インフレのプロセスは、2020年のコロナウイルスのパンデミックの始まりとともに、商品やサービスの需要と供給が世界規模で大幅に減少し、激化した。

(中略)

私はすでにこの数字を引用したことがありますが、過去2年間で、米国のマネーサプライは38%以上増加しました。これと同じ増加を以前にはもっと長い時間をかけて、数十年かけてやっていた。しかし、現在は2年間で38%、つまり5.9兆ドル分増加しました。比較のためにいえば、国内総生産がこの金額を上回る国はごくわずかです。

EUのマネーサプライもこの期間に劇的に増加しました。 約20パーセント、2.5兆ユーロ増加しました。


という具合に、丁寧に話しているわけですが、手っ取り早くいえば、こういう暴挙をしてインフレを他国に輸出して他国経済をひっかきまわそうとしているんだろう、という筋と言っていいかと思う。

その他、再生可能エネルギーに異常に執着したヨーロッパが自分でエネルギー危機を作ってることにも触れてる。

で、そんな状況にあって、ロシアがインフレを引き起こすみたいなことを垂れ流すが、自分たちにそんなにパワーがあるわけないだろう、あるなら喜んでるかもしれないよ、と皮肉をいい、

この状況は何年にもわたって醸成されたもので、他人の費用で問題を解決することに慣れている人々、交易で高値を付けて流れを引き込もうと、金融-排出のメカニズムに依存し続けている人々による、近視眼的な行動に誘発されて起こり、それによって、世界の特定の地域における赤字と人道的災害がエスカレートしているものです。

というあたりは、第四革命だのへちまだのといいながら、投資家集団が多くの人の投資先を勝手に決定して、みんなが守るべきものだから仕方がありません、といったムードで押して、すべてをコントロールしようとしているような人たちに集中的にフォーカスが行っておるな、という気がする。

同時に、そして結果的にこの騒ぎだが、俺らのせいではありませんので、勝手にしてくださいとも聞こえる。


後半は、こうした危機を受けてロシアはどのような方針でいるのかについて概説している。これは、国際的なオーディエンスを考えているというより、むしろ、国内向けみたいな感じ。だがしかし、一瞬思ったが、ふと、これはロシアというよりロシア世界の方針を関係者に述べているということなのかとも思った。

今回はドネツク共和国がこのフォーラムに招待され、プーチンが語ってるその場にいるのはカザフスタンのトカエフ大統領。




■ サイコパスの分析

その中で、「冷戦の勝利を宣言してから、米国は、地上における神のメッセンジャーを任じました。なんの義務もなく、ただ自分が聖なるものだと宣言した利益のみがある存在です。」から始まり、最終的に、ロシアと名のつくものはみんな拒否、という異常な状況に至った経緯を述べたあたりは、ほとんど米+子分の今日に至るまでの病気の分析の1つの仮説のようで面白いと思った。

実際、西側のエリート集団はサイコパスだと思っている人たちは世界中に多いわけだから、この仮説は有力仮説のようなもの。

After declaring victory in the Cold War, the United States proclaimed itself to be God’s messenger on Earth
と検索すればスピーチ内の該当する場所にたどり着きます。


■ マネー とリソース

で、プーチンは現状の概説を講義していたけど、同じフォーラムで、ガスプロムのミレルCEOが言った言葉は、現状の変化に対するもっとストレートな言明と言っていいかと思う。

お金の名目価値を使ったゲームは終わり。このシステムではリソースの供給を制御できない。

“The game of nominal value of money is over, as this system does not allow to control the supply of resources,”

だから、

自分たちの生産物と自分たちのルール。自分が作ってないルールでゲームしません

“Our product, our rules. We don’t play by the rules we didn’t create,”

だそうですよ。

‘Our product, our rules’ – Russia's Gazprom


これは、ガスプロムにとっては、第一に、EUのやり口にほとほと愛想が尽きた、という意味だろうなぁとまず思う。あのやり口の汚さ。

気に入らない状態になると、どこからか勝手な理屈を作ってきて、それに従ってない、お前は悪い奴といって従わせようとして、市場に混乱を作りまくって、結果的に、ロシアを苦しめるつもりが、ヨーロッパの一般国民を苦しめている。しかしもちろん、自分たちは神のつもりなので、つねに無謬。だから、混乱は常にロシアのせいですですむと思ってる。サイコパスなEUエリート集団。

同時に、金は刷ればいいという西側集団の根本思想にも五寸釘指してると思う。

もちろん刷っちゃいけないという話しではないんだけど、問題はバランスでしょ。バランス、つまり帳尻があうようなやり方でやっていればまだ救いがあったものを、金を刷ることをパワーと勘違いしているのが痛い。

結果的に、言ってみれば、担保なし、secureされてない状態で、名目としてのマネーが増えてる。そして、担保が欲しいからそのマネーを現物化しようと、弱い国に襲い掛かって現物をゲットしようとする動きを誘発する。植民地はそうやって負けてきた。

ということで、資源の雄のロシアさんが戦っているその相手は、結構な数の国と地域にとっても敵だったか、または今もそうなわけだから、多くの国、特に南米やアフリカ諸国が、突っつかれても突っつかれても対ロシア制裁に乗らないのは実に合理的。



コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« FRB0.75%利上げ、第25回SPIEF... | トップ | 「西側を信じてない by ペシ... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
プーチンさんが見ている歴史の転換。 (睡り葦)
2022-06-19 18:23:56
 アゾフのナチ・マークの連想で十字マークをつけた十字軍について中学校以来はじめて真面目に見て、あらゆる意味での略奪と殺戮の十字軍の現代性に目が覚めました。 
 西欧中心に吉川弘文館の世界史年表からひろいますと、375年ゲルマン民族大移動の発端 → 476年西ローマ帝国の滅亡 → 9世紀後半、荘園制の形成 → 10世紀半ば、農奴制成立 → 1096年の第一回十字軍 → 1270年の最後の十字軍 → 1271年マルコ・ポーロが東方旅行に出発 → 15世紀のルネサンス → 15世紀末の大航海時代開始という展開となっています。そして15世紀から20世紀へと、世界史を西欧の目で見るという刷り込みのなかにいました。

 5世紀に西欧の地を根城としたゲルマンが、11世紀に陸づたいによる東方侵略=グローバル化を始め、15世紀に世界の海に乗り出して世界の中心にすわったまま20世紀に至ります。
 陸づたいのゲルマンの東方侵略は十字マークの11世紀からカギ十字マークの20世紀へ、その50年後のナチス再現以降、ゲルマンは過剰流動性と天文学的負債をともなう悪鬼的逸脱の醜態に陥っています。
 1千五百年のゲルマン支配の歴史は21世紀、目の前で終わりに逢着しているのでしょう。  
返信する
急ぎ追伸、報告したかったのは。 (睡り葦)
2022-06-19 19:38:32
 すみません、歴史年表に夢中になって、肝腎の報告を含めませんでした。十字軍の関連で見てみた、マクニールの『戦争の世界史』第三章の「ヨーロッパにおける戦争というビジネス 1000年〜1600年」にありました注記にショックを受けて報告しようとしていたのです。

 注記二行目以降をそのままコピーします:

 ・・・流血は日常生活のうちに根づいていた。ひとつにはヨーロッパ人は、相当な数の豚や牛を飼養していながら、充分な冬の飼い葉がないために、毎年秋になるとと少数の種豚種牛をを残してぜんぶ肉にしてしまう習慣があったために、血を流すことに慣れていたのである。
 他の地域の農業サイクルでは、たとえば中国やインドの米作農民の場合など。図体の大きな動物を毎年毎年食肉処理することはない。対照的にアルプス以北のヨーロッパ人は、こうした流血を一年の通常のサイクルの一環ととらえるようになった。このことと、ちょっとしたことで流血事件を起こし、しかも後でくよくよ思い悩まないという顕著な性格とは関係があるかも知れない。
               ☆☆☆

 アルプス以南というのは地中海世界で、ゲルマンではなくラテンだったと?
返信する
十字軍世界の集団自殺! (ローレライ)
2022-06-20 16:14:00
脱炭素運動に起因する第三次オイルショックもロシア制裁による飢饉とかコロナ騒動など、西側十字軍世界の集団自殺にはロシア陣営は付き合わない。と言う話!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

WW1&2」カテゴリの最新記事