集中的に書いてますが、1945年1月27日ソ連赤軍第60軍ライフル師団がヴィスワ=オーデル攻勢の過程でアウシュビッツ強制収容所を解放しました、という単なる事実は、それ以外に何があるの?と思っている人にとっては何が問題なのかさっぱりわからない問題ですが、戦後一貫して、奇妙奇天烈な物語を組んで来た側にとって、この事実への集中的なハイライトは、いってみればソ連/ロシアの反攻作戦を受けたようなものだ、といったところかと思う。
つまり、アメリカまたは英米がナチスを倒して今があるのだ、という戦後の西側世界が作り上げた偽の物語が破れているってことですね。
事実は、ソ連赤軍がナチスを倒し、極東で日本の関東軍を占領地から追い出したことによって第二次世界大戦は終結した。ここが最も大きい。
また、ポーランド政府および在米ポーランド人が主張してやまない「ポーランドはソ連に侵略された」という主張も、では1945年1月において、もしソ連軍がそこで戦わなかったとしたら、誰がそこで戦えたというのだろう?と考えると、控えめに言っても半端な主張でしかないことがよくわかる。
これらの主張者は、ドイツ軍はまだ全然降伏の態勢になっておらず(ただし一部ドイツ関係は既に米英軍と結んでいる頃だが)、ソ連軍と死闘を繰り返しつつ、ソ連軍に押されて退却していることを都合よく忘れている。
で、興味深い例としては、ドイツのシュピーゲルが先週SNSに流してた画像で、
Vor 75 Jahren wurde Ausschwitz von der amerikanischen Armee befreit
アウシュビッツは75年前にアメリカ軍によって解放されました
と書いていたというのも、なんというかスゴイ例でしたね。
‘Embarrassing mistake’ or revising history? German paper says AMERICANS liberated Auschwitz – and it’s not the only one
https://www.rt.com/op-ed/479323-spiegel-auschwitz-americans-soviets-trump/
これに対してシュピーゲル誌は、間違ってたことを認めている模様。
Uns ist in der Snapchat-Ausgabe von Donnerstagabend dieser extrem peinliche Fehler passiert, für den wir uns nur entschuldigen können. Wir haben ihn Freitag Vormittag korrigiert. Dass nun der Screenshot von Donnerstag kursiert, nehmen wir als gerechte Strafe an. pic.twitter.com/jtoZTogwWc
— DER SPIEGEL (@derspiegel) January 26, 2020
機械翻訳によればこんな感じ。
木曜日の夕方のSnapchat問題でこの非常に恥ずかしい間違いを犯しました。 金曜日の朝に修正しました。 木曜日のスクリーンショットは単なる罰として流通していると想定しています。pic.twitter.com/jtoZTogwWc
-DER SPIEGEL(@derspiegel)2020年1月26日
多分、さすがにシュピーゲル全体がこうなっていたわけではないと思う。しかし、画像を作る人や流す人たちの中にそういう理解の人がいたんでしょう。実にまったく、恥ずかしい。
実際問題、なんでこんなにこじれるかというと、ドイツ本体が、我々はバルバロッサ作戦なんてことをやって東征しようとしましたが、あれはヤバかったです、もうしませんと言えてないからこそ、という側面は実際大きい。
2015年戦後70周年の時に、当時の外相シュタインマイヤー氏がスターリングラードで謝罪したり、2018年には6月22日のバルバロッサ作戦(ナチスによるソ連侵略大作戦)開始日にドイツのサッカー協会が犠牲者に花を捧げるという出来事があるにはあったのだが、どちらも西側世界は一貫して無視している。
ドイツ、ロシア外相スターリングラード訪問
6月22日、ドイツ サッカー協会ソチで花を捧げる
実にまったく構造的な問題なわけですね。
■ トランプも「無国籍ヒーロー」派
ポンペオが、アウシュビッツが「兵士」によって解放されたといって、ソ連軍と言えなかった話は前に書いたけど、注目のトランプも、どうやら「無国籍ヒーロー」派だったようだ。
アウシュビッツ解放75周年に際しての声明の中で、抽象的で不気味なことを言っている。
we acknowledge the heroes who risked their own lives—many of whom made the ultimate sacrifice—to help liberate the camps. Their sacrifices helped the forces of freedom prevail to ensure that these atrocious crimes will never be repeated.
無理やり訳してみるとこんな感じか。
私たちは、強制収容所を解放するために、自分の命を危険にさらしたヒーローが多くいたこと知っています。 彼らの犠牲は、自由の勢力が優勢となり、それらの凶悪な犯罪が二度と繰り返されないことを保証するのを助けました。
これ、よーく考えてよむととてもイヤな言い方をしている気がする。
つまり、解放にあたった人たちは、自由の勢力、あるいは自由の力、forces of freedomが、優勢となる(prevail)ことで、あんなことは二度とないようにするために、helpした。
これは、自由の勢力アメリカが世の中を仕切れるように、ソ連軍兵士は命を投げ出した、みたいにも読める。
大笑いだけど、さすがに、生まれた時から大金持ちで徴兵拒否を繰り返した人間は言うことが違うなとも思う。
この人は、前線で戦う兵士やその兵士に出会えたことで解放されるような恐怖の境遇にある個々の人々に思いをはせることができない人。所詮は、ブーマー。
そして、プーチン政権は、そのようにしてソ連の人たちを侮辱し続けた戦後の西側体制を打破しようとしているのだろうと私は考えてます。
何度でも書きますが、戦後のアメリカ体制とは、ソ連の人2700万人の死体の上に乗っている。
そうなんです。書いてる最中は覚えてたけど、最終的に入れるの忘れました! 後でまたなんか書きます!!
https://www.youtube.com/watch?v=j6FA-2oLTjY (3分過ぎ)
「ポーランド及びポーランド国民は、最初にふたつの全体主義体制の共同謀議に気付いた。これは第2次世界大戦を招き、ナチスによるホロコーストという死体製造工場の存在を許した。今日、全ての民主国家は力を結集し、欧州、世界は1939年に何があったかについて口を閉ざしてはならない。」この後、「ウクライナの軍隊」がアウシュヴィッツを解放した話へ続きます。
ロシアが強烈に反発したのは当然ですが、ウクライナ国内でもマトモな人(73%の彼に投票した人)の離反が始まると思います。加えて言うなら、ロシアで言われていることですが、赤軍中尉として戦った彼の祖父を裏切ることになり、家族の間でも孤立するのではないでしょうか。完全に四面楚歌、友人はポーランド大統領だけという悲惨な状態に(就任1年も経たないのに)なりました。これで彼が当初希望していたロシアとの話し合いも、ドンバスの和平もなくなったと思います。
単純に違うと思います。
ベルサイユ条約によって、ドイツとロシアの領土を英米仏が勝手に割譲して作った国が現代のポーランドだから、というのが根本の問題だと思います。
つまり、英米仏に逆らう存在のわけはないということ。別の言い方をすれば、ドイツにとってもロシアにとっても警戒しないわけもない存在だった。特にドイツに与えた影響は甚大。
ユダヤ人組織が、それを望んでいたにもかかわらず。見て見ぬふりをした連合軍。
イスラエルの建国さえ、私には、ユダヤ人をまとめてアフリカに送ってしまえという発想と同一線上にあるように思える。行先を聖書にある中東にすることで、アンタイセミティズムをオブラートで包んで。
白人と結婚したユダヤ人医師のパーティーによばれた。一目でそれとわかる風貌の医師曰く、アメリカのユダヤ人は、白人と結婚して、子供の目が青いとホッとする、と。驚きますよね。この発言。この感覚、日本人の私には実感できない。ユダヤ人であることを否定するユダヤ人、うちなるボグロム。