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ソレダル解放&中央銀行が何かと話題

2023-01-15 21:19:56 | WW1&2
今週のウクライナ方面では、12日、長々やっていたドネツク人民共和国内のソレダルが解放されたことが大きな騒ぎだった。

ロシア軍、ソレダル解放 ロシア国防省発表

コナシェンコフ報道官によると、ソレダルを完全制圧することで、南西部アルチョモフスク(2016年にウクライナ政権によりバフムトに名称変更)のウクライナ軍の補給経路を絶つことができ、さらにソレダルに残るウクライナ軍部隊の封鎖・包囲が可能になるという。 


なぜこの小さな都市にそんなにNATOウクライナ軍は兵を突っ込んで防衛しようとしたかというと、アルチョモフスク周辺が戦略的に重要だからということもあるけど、なにしろそこには長さ200キロにも及ぶトンネルを持つ巨大な岩塩鉱があったというのも大きかったようだ。



中に何か隠していたのではないのか、という疑惑もあってそれは今後のお楽しみ。

ロシアの方から見れば、実際そこらへん一体を解放しているんだからここも解放するには違いないけど、とりわけ、これは19世紀末から100年かけて掘ってきた、広義ロシア人にとっての文明遺産みたいな場所だしリソースとしての価値も巨大だと思うので、それだけでも、ちゃんと取り返す価値があったんだろうなと思った。

(そんな長いトンネルは、バンカーバスターで砕けばいいだろう、何やってんだという声も外野の外国人の中にはあったがそうはしなかった。)

この鉱山は、大祖国戦争の時にも、ドイツ軍に獲られて2年後、ドンバス作戦時にソ連軍が取り返した。

今回もロシアに取り返されているわけですが、ドイツの政治家はウクライナ頑張れの視察に訪れていた。ナチの将校にでもなったつもりなんじゃないか。

 


前回はドンバス攻勢の後、ドイツ軍はドニエプル・メリトポル線まで退却し、一部はクリミアに退却したわけですが、今回はクリミアもメリトポルも既にロシア連邦の一員になってロシア軍がいる。




次にどう行くのか。ロシア軍参謀本部の人しか知らないわけですが、どうなんんだろう・・・。多分ドンバスは防衛線を西に移して、スラビアンスクあたりを取るのにまた数カ月、その間同時並行的にザポロージャの解放、あたりでしょうか。なにせオデッサまでは終わらないだろうと誰しも思うところ。先は長い。

この間、軍の司令の編成があって話題になっていたが、ゲラシモフはもともと参謀総長なのでこの人がトップであることには何の変更もない。単に若干変則的だった組織をストレートにした(ゲラシモフがトップ、副官が3人つく)だけだと思う。大きな戦争の時、各前線を突破しつつ、次に向けて軍を編成するのは普通のこと。


真面目に思うのだが、一体全体、どうしてこんな難しいところで、「NATOが作ったウクライナ軍」という、確かに人数もいるし闘争心も旺盛な軍ではあるけど、兵器も物資もすべて外部勢力に頼る非常に不確かな軍に頼って西側全体にとって重大な意味を有する他ないような戦争を仕掛ける気になったのだろうか。今更ながら、西側リーダー層の考えの浅さに唖然とする。

米も英もこんな大きな盤面で、同等以上の敵と戦争したことはない。そういう軍であることを西側のリーダー層は理解していないし、ペンタゴンも全体としてみれば怪しいんじゃないかと思えてきた(一部、反対していた人たちはいるにせよ)。

この衝突は、ロシアの側の都合だけでなく、西側の都合から考えても長く続くでしょう。リーダー層が現実無視で勝ってる、勝たなければならない、ロシアに勝たせるわけにはいかないのだ、という想定のまま動かず、そうよそのはずよと思ってる人たちがメディア層(司祭層といいたい)に多数ナチュラルに存在し(わざとやってるわけでもないということ)、一般人の大多数もそれにつられている。これをどう変化させられるというのだろう?


■ 緩和派がたたまれてる感じがする今日この頃

そんな中、今週おおと思ったのは、米FRBのパウエル議長の発言。

FRBの独立性は重要、気候変動への関与は不適切=パウエル議長

冷静に考えれば、何も目新しいことではない。

むしろ、議会の明示的な関与なくして、我々がマネタリーポリシーを(特定の目的に)使うことは不適切だと思う、とかいう言が普通ではない=ニュースになる方が不可思議だ。

Powell Says Fed Will Not Become a ‘Climate Policy Maker’

ではなぜそんなことの言及が必要になるのかといえば、そこら中で、気候変動を名目にした「金を刷ればいい派」がいるからでしょう。

twitterで見つけた動画によれば、既に2021年後半に、金を刷って気候変動から世界を救うべきなのよ、という主張に対して米連銀パウエル氏は、いや違うと言っていたらしい。

1時間40分ぐらいあってあんまり視聴意欲がわかないので私は確認してない。参考までに。



現実には、米連銀は気候変動という名目がどうしたなどと言わず、インフレを理由として今年に入ってから引き締め、刷っちゃったお金の回収に入っている。

いろいろ理由を付けて無限に金融緩和したがる派と、そんなことしてたら混乱するだけだろう一定のレンジに戻すべき派がいて、なかなかのバトルが繰り広げられていたが、米連銀が突っぱねた、と思ってみていて悪い理屈はないように思う。

米国内で緩和派が概ね破れ、パウエルに従うこととなり、その後、欧州関係との間で対立があったんじゃないかとも思われるが、現実に米が金利を上げ始め、欧州中銀もあげざるを得なくなった。


■ 白川氏登場

それかあらぬか、日本でもなにやら変化がみられる。

ふと見ると、ニューズウィークに、黒田さんの前の日銀総裁の白川さんの論考が載っていた。

FRB元議長ポール・ボルカーと「中央銀行の時代」
2023年01月11日(水)08時07分
白川方明(青山学院大学特別招聘教授、前日本銀行総裁)

内容的には、インフレが起きた時のボルカーの果断な政策を紹介しているという、タイムリーな話題ではある。そしてそれを読み解くといろいろ考えさせられるものがある。

それはそれとして、しかし、日本においてはこの人が表に出てきたことそれ自体がインパクトなのではありますまいか。この人は安倍政権の登場によって、ほとんど追われるような恰好で黒田さんに変わったと非常に深く記憶する。

安部応援団まわりなどは、デフレは日銀のせいで、そんな政策を続けた白川は中国の回し者、そんな総裁をもったら日本の経済が発展するわけはないのだ~、みたいなことを言ってた。明らかに異常だった

その人が「復権」してる感じだよね、これは。ということはアベノミクスは終了する、という方向付けが準備されていたって感じでしょうか。

そして、現実問題として、とてもじゃないけど、金利を統制するために国債を買いまくるという現在の戦法が長続きするとは到底思えない。

とはいえ、それを止めたからといって、じゃあ平常になるのかというと全然そんなことはない。多くの人が過去10年間指摘したように、アベノミクスには出口戦略がなかった。その上に現在があるので、この拗らせた状況を誰がどうやって処理するのか、規律するのかというところ。

(そもそも、次の日銀総裁が決まらないという事態は異常でしょう。誰も引き受けたくない。)

で、岸田さんの訪米の顛末の、なにかこう、気持ちの悪いほどの「おもねり」、逆にはバイデンの勝ち誇ったような態度の背後には、この危機対応が含まれているんじゃないのかなと思ってみてる。

去年の10月、財務官が円買いの原資は無限だと言った時点で、私としてはこれは日本だけで判断しているのではないのではなかろうか、などど思った(ここで書いた)。だって変だから。

円買い原資「無限」と神田財務官、介入には言及せず ドル150円乗せ


現実には、アメリカはアメリカで各地で現地通貨払いが話題になっている(つまり脱ドルされてる)状況なので、難しい局面にいる。だからこそ、むしろ高金利が必要だという局面でしょ。高金利問題はインフレと潜在的インフレに対する対応なのであろう、などと思いながら見てる。

それは昔、ニクソンが金と離したことでドルの価値が不確かになり、しかし、ニクソンときたら政治的理由から金利を上げさせないぞと頑張り、その結果、高いインフレを呼び込み、結果的にボルカーが高金利政策をひっさげることとなったという時代を思い出させるものがある。

日本の方もこの時代、1ドル360円を維持しようと円売りドル買いをし、これが次の(短期ではあるにせよ)狂乱物価の呼び水になったらしい。

ということで、今後どんなポリシーが出てくるのは戦々恐々の時期だと思う。


■ オマケ:80年代のアメリカ

最近なにかと名前の出てくるポール・ボルカー氏は、1979年8月にFRB議長就任。この時のアメリカは、消費者物価指数の伸び率は前年同月比11.8%、失業率6.0%、実効FF金利(平均値)10.94%。

この年だけがこうだったわけではなく断続的に物価が上昇していた。

就任後金利を上げ始め、1981年1月には19.08%まで上昇。こうなれば当然経済はまわらなくなるので、同氏の任期中、1980年1月から7月までと、1981年7月から1982年11月まで景気後退期が2回ある。2回目は1年4カ月続いているので社会的影響は大変だったんじゃないかと想像する。

FF金利20%の時、預金金利がどれぐらいだったか調べてないですが相応に高かったことは間違いないでしょう。それでもインフレに食われるわけですが。



どこの途上国やねんって感じがする。

で、こういう期間に、いっぱいお金を突っ込んだ「サイクロン作戦」をやって、自由の戦士頑張れ~とか言ってたわけですね。



アフガニスタンに対する西側の行動は、実に罪深い。罰が当たるべきだなって感じ。

サイクロン作戦が壊したアフガニスタンの日常
アメリカン・タリバン2 & アングロの妄執


にもかかわらず、紙面は、ソビエトは悪の帝国とか騒ぎ、ランボーが流行ったりしてる。こういうアメリカを見て、素晴らしいと思ってた人は実際どれぐらいいたんだろうかと、あらためて考えてしまう。気が狂っておるだろう、これ、みたいに思った人はいなかったんだろうか? 何この人たち、みたいな。

その後、この高金利によってドルが買われ、投機資金が集まりやたらにドル高になったので今度は欧州と日本を巻き込んでドル安誘導するから協力しろや、となって1985年9月「プラザ合意」が来る。

発表翌日の9月23日の1日24時間だけで、ドル円レートは1ドル235円から約20円下落した。1年後にはドルの価値はほぼ半減し、150円台で取引されるようになった[2]。

で、この無茶がバブルへの導火線となり、また、この円高をきっかけとして日本企業が工賃の安い海外に工場を持つようになる。

こうやって流して考えると、アメリカ合衆国が生産力と金と頭を持って、なにかとっても強く存在していた時期というのは、60年代末ぐらいで終わっていたのだなと思ったりする。ニクソンは収拾にあたったとはいえ、低金利政策で国民の人気取りを必要としてるわけだから、もうこの時点で素晴らしくない。

で、だからこそ、中国とも組まないとならないし、壺も必要になったんでしょう。脅しをかけて政策に影響を及ぼす手段として。

だったら、そういう諸々はソ連が勝手に自爆してくれた時に、いやうちもいろいろ無理がございましてと整理整頓すればよかったのに、我々はスーパーパワーである、一極支配だとか言い出し、それを支えるべく再度の金融緩和的政策に訴え、次から次からバブルと破壊を繰り返すしかなくなっているのが現状。

いい加減このシステムに付き合うのはよそう、少なくとも余波は最小限にしようと思う国々が出て来ても全く、何も不思議ではない。

西側内にしても、アメリカ人全体、日本人全体が悪いとか、性格がおかしいとかいうのじゃなくてこのシステムを無理やり維持していることが各国民にとって耐えがたい負荷になってると思う。



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1 コメント

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Unknown (ローレライ)
2023-01-16 15:35:30
スタグフレーションを戦争とハイパーインフレで解決しようとする西側陣営飲み病気!結局ソ連を拡大させた!
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