Politicoというアメリカの有名サイトの世論調査。
割とエラーマージンが大きめで、サンプル数が多いとは言えないんだけど上院、下院議員選挙に投票する見込みの人を対象にした面接方式なのでその分は信頼性が高いかも。
これだけあれだけ騒いでも笛吹けど踊らず、アメリカ人の引っ込み願望は強いようだ。
左側は外交政策で共和党と民主党でどっちが信用できますか、で共和党39、民主党32、わからない28。
わからないというか、無党派分という気もする。アメリカはもう二大政党制というより無党派含めて3分割って感じだから。
右側は安全保障で、黄色が、「米国の軍事行動は我が国の国家安全保障に対する直接的な脅威に限定されるべき」で67%、オレンジが、「世界の道徳的リーダーとして、米国は世界中の民主体制を守ために軍事を使う責任がある」で22%、白はわからない10%。
Politicoのまとめとしては、
- 今回の調査から浮かび上がるものは外交政策や国家安全保障に関してこれまで出ているもの一致している。アメリカ人は深刻なまでに海外での出来事に巻き込まれるのが嫌になっていて、外国の揉め事に米国の力を投影する価値についても懐疑的になっている
- 共和党支持者は民主党、無党派に比べて若干タカ派的な傾向を示しているものの、共和党に投票すると答えた人でもその過半数は、アフガンからの撤退、イラク、シリア、ウクライナへの関与の現状維持または減少を支持している
■ 普通の国家への希求?
ここ数年こういう感じのトレンドが続いているわけだけど、その際にはだいたい、戦争疲れみたいなことが言われるけど、私が思うに、要するにアメリカ国民の非常に多くは普通の国家になりたがっているということなんじゃないかと思う。
普通の国家というのは、自分の国の国防のためにしか軍事力は使わないわけです。自分の国の領土や国民が危ういからと思えばこそ、他人様の国民を殺してもいいという正統化が可能だ、と。
ところがアメリカの場合は、民主体制を守る、なんてな理屈をつけて、他国をぐじゃぐじゃにすることを正当化している現存する唯一の国なわけです。むかしソ連も別の理屈でやっていたんだけどもういなくなって、現在のロシアはNATO軍に国境に張り付かれて四苦八苦してる。
(アメリカの強硬なロシア孤立政策に四苦八苦してるから経済的に大変だけど、それが故にロシア人のナショナリティは嫌が上にも高まるだろうし、海外に出ていたお金持ちの資金はロシアに戻る方向にあるし、ってんで実のところ「主権派」と呼ばれる頑強保守勢力とでもいうべき人々はこれはこれで良い傾向だ、みたいな感じに捉えているらしい。ほうれみろ、大西洋主義者など裏切り者なのだ、みたいな。)
■ トロキストを追放できるのか?
世界中の民主体制を守るために軍事を使う責任がある、という設問をする気になるという時点で、アメリカってマジでトロキスト的なんだよなぁとしみじみ思う(笑)。でもこの支持者が減少傾向にあるということは、私は一般アメリカ国民におめでとうを言いたい。You're on the right track!
ネオコンというのは、トロキストとナチスが合体したようなものだよね。理念主導型としてみればトロキスト的だが、実際やってることを見ると憎悪を掻き立てて軍事作戦で相手を制圧しようとするという点で実にナチっぽい。戦う相手を間化したり悪魔化するのは、プロテスタント過激派の流れか。
いや、それはともかく、「つまりね、アメリカは左翼なんです」(by 馬渕睦夫氏)に本年度の流行語(じゃないけど)大賞を差し上げたいと思っているけど、問題なのは、日本の「保守派」でしょう。
だって、「保守派」という名の実のところ親米派の一群は、自由だの民主主義という旗の下に誰かに攻撃を仕掛けるのを、アメリカの強さだ~みたいに褒めて来たし、今もそう。ということは、彼らは、自分が毎日毎日左翼はいけない、左翼がダメにした、と語りながら自分こそトロキスト、少なくともトロキスト・シンパだったわけで、このへんどう思ってるんでしょう?