ジュネーブで、バイデンとプーチンが初めて顔を合わせた。
中身については誰も大きく期待してないわけだけど、スイスの大統領が両大統領を紹介してるところを見て、何かいい感じがした。クラッシックでいい。
President Biden and Russian President Putin arrive at #GenevaSummit2021 pic.twitter.com/gcBMWkJ15u
— CSPAN (@cspan) June 16, 2021
ジュネーブのお菓子屋さんのケーキ。お菓子屋さんだって外交的。
piece of cake(簡単なこと)とpeace of cakeをかけて、平和は簡単なんだよ!と示してみたというところでしょうか。
つまり、こういうクーデターで、オリガルヒと喜んじゃうの図とか、
バイデンの仲間は、SSガリツィアだぜ、とか
無実の人を建物に集めて火をつけて、生きたまま焼いたこともありました。2014年は壮絶なことだらけだった。
こういう世界から少しでも離れることがあるといいな、と率直にそう思う。たとえ、それが今日明日にないのだとしても。
希望のケーキと名付けたいぐらいだわ、ほんと。
■ 核パリティー
で、この2国がなぜ今日顔を合わせることになったのかの一番の意味は、2018年3月のプーチンの発表が嘘ではなく、それをアメリカ側が認めざるを得なくなったということではないかと言う意見が述べられているし、私もそう思ってる。
Russia’s new weapons, nuclear parity and arms race: What’s going on?
つまり、軍事的に核のパリティーがリストアされたことによって、核の先制使用によってロシアを粉砕するというアメリカの戦略は破綻しましたということです。
しかも、核戦略の3本柱(Nuclear triad)において、アメリカの立場は強くない。
気が狂ってる人たちがこんな作戦を立てて実行して七転八倒していたことが、この25年ぐらいの狂気の沙汰の根本的な原因の1つであることは間違いないでしょう。
それが、2018年にだいたい、どうも、ロシアのICBM撃ってしまえば後は叩き放題なんてことはできないらしい、俺らは確実に報復攻撃されるらしい、となったけど、アメの側は仲間割れが著しくて話を整理できず、あるいはそんなことを無視して、地上でカラー革命的紛争をやっていけばかならずロシアは倒せるという、CIAとかNEDなんかの人たちが強くて変われない。
だがしかし、今年の2月から4月に、それらの地上で革命したがる有象無象がNATO諸国と共に敗北した。ロシア軍は一発も撃ってないですが、ウクライナ+応援団は動けなくなった。そこを、誰かが事態収拾に動き、バイデンがプーチンに対面しよう、会おうと呼びかけた。アメリカの中の誰かが主体で動いたというより、フランス、ドイツといった古豪が動いたことが米国務省を動かしたのではないのか、という説もある。
で、1回の会合で何か目新しいものが出てくることはないだろうけど、軍縮で何か合意できるところはあるって感じだろうか。つか、アメリカの方がそうしたいから、ロシアさんが飲んでくれるなら可能だろう、って感じですかね。
ロシアの方はそれを見越して、妥協できるラインの外側の兵器を開発して、妥協によってはその部分を止めるという算段。これは冷戦期と同じ。
■ 目が覚めない日経
で、日本の新聞はどう書いているのかなと思ってちらっと見たら、日経が、プロパガンダ丸呑みの線で記事を書いていて、嘆かわしく思った。
米ロ首脳会談始まる 核軍縮や気候変動で協力模索
バイデン氏はロシアによるウクライナへの威嚇やサイバー攻撃などの挑発行為への対応を促す。双方が一致点を見いだすのは簡単ではないが、プーチン大統領と直接会談することで緊張緩和の糸口を探るとともに、ロシアに接近する中国をけん制する意図もある。
バイデン氏はそのウクライナでクーデターを仕掛けた張本人だというのが、実は面白いところなわけですが、日経はプロパガンダ丸呑み路線。
このドキュメンタリー、見たことない? 2014年のウクライナで起こったクーデターについての基本作品よ。見て見て、バイデンが活躍してるから。
また、ここも問題。
米国と冷戦で競ったソ連時代とは異なり、ロシアは中国の台頭で国際政治上の存在感が低下し、経済力でも米国に圧倒的に劣る。現体制の維持をめざすプーチン氏にとっては、バイデン氏との会談は国内外に影響力を誇示する機会となる。
経済スケールが小さいのはそうだとして、しかし、国際政治のプレゼンスは低下しているか? アメリカでは、過去4.5年間、1日も休まず「ロシアゲート」騒ぎをして、自国のまぁまぁ民主的な通常の体制をぶち壊してまでロシアを貶めずにはすまなかったという意味で、とてつもなくロシアのプレゼンスは大きいのではなかろうか?
一体どれだけの金と人を突っ込んでロシア世界を解体しようとしているのかを考えたら、西側にとってのロシアの重要性がわかるというものでしょう。
むしろ、ロシア人たちは西側世界の一部の執念によって、100年ごしのストーカー攻撃にあっているようなものでしょう(笑)。
そして、100年ごしの経験を持ったロシアが、力を付けた中国と戦略的パートナーシップを組んで、順調に協力エリアを拡大している。それをアングロ勢が穏やかな気持ちで見ていると思いますか?というお話ですね。
日経にとっては、金が全てなので金以外の要素で物事は動かないというのが信仰の核心なのかもしれないけど、世の中そんなふうには動いてない。
(金が全てなら、なんで、嘘を書くんだろうね。金だけおっかけてりゃいいじゃん)
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何と、何度も首脳会談相手のロシアのプーチン大統領のことをトランプ大統領と言い間違っていた
なるほど、バイデンの初めての首脳会談の相手が日本の菅義偉にした原因が良くわかる。