再々書いている通り私は結構議会好き。
で、いろんなやり取りで真実が露呈されてしまうという瞬間とかとても興奮する。真実というのは反論の連続の中にしかないからこそ議会をやるんだ、とも思うのね。例えば「俺は見た」との主張を状況を聞き出すことによって崩していくみたいな、ミステリーと同じ楽しみがある・こともある。まぁつまらん討論もあるけど。
で、そういう対話が一番面白いけど、いわゆる演説だって面白いこともある。細切れでなく、さっぱりと腹蔵なく述べることができるので、論客がやればまず必ず面白い。
さえ、その演説の中でも、かなり面白い確率が高いのは議会における不信任決議案に際しての不信任の理由の提示だと思う。
ここまで来た場合には、議会の与野党の駆け引きは終了し、もうお前を信じられない、という状況なので、相手方、つまり当該内閣とか市長等々のこれまでのエラーとか、暴論とか、間違った考え方とか、騙しとか、嘘とかといったのが一気に述べられることが多い。なにしろ、不信任決意とは、お前なんか信じられない、という判断を叩きつけることですから。
さて、今日の不信任決議案の賛成演説も同じだった。
枝野幸男(民主)万感の怒り!安倍内閣不信任決議案[国会中継]最新2015/9/18
https://www.youtube.com/watch?v=glrbC1wibyM
枝野さん、いい演説でした。面白かった。最後の方の斎藤反軍演説の下りからのまとめも上手だった。
それはそれとして最初の5分ぐらいの、議事堂内のぎこちなさが物語るものは大きいよなぁと思った。
何を言いだしたかといえば、枝野さん、今日は満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が起こった日で、と始めた。ここから、結局この安倍内閣というのは満洲事変以降の戦争について(なんといったか忘れたが)よく考えてないだろ、あんたら、といわんばかりのことをアプローチとして言っていた。
これは、多分日本国のイメージにも寄与するでしょう。
だってもし今日可決したら、よりによってチャイニーズのいう「918事件」のその日に、満洲に非常に密接なかかわりのある人々の子孫たちが、日本の戦いは聖戦である派を従え、国民の半数以上が今成立する必要はないと何度調査をしてもそう言っているのにもかかわらず、さらに、手続きの中には奇策を用いた委員会制圧オペレーションかそれは、みたいなことを元軍人が実行したとかいうオマケまでつけて、日本の海外派兵を合法化する法案を通した、ということになる。
これは、意図していないとしても、なんらかのシグナルになり得るので、国内に、それを危惧し、かつ、この内閣の姿勢に重大な危惧を持つ人々がこれだけいると示すことは、対中国というより、むしろ対アメリカ&その仲間たちにとっての一種のアピールになってると思う。端的にいえば、まず、うちは別に昔みたいに国内を統制して凶暴な意見を発酵醸成とかしてるわけではありません、の証明ですね(笑)。
次に、このままでは、日本は「法の支配」の行き届いた程度のいい議会制民主主義国ですとか、どの口でいうんだよ、になることをなんとか防止しているとも言える。野党が正々堂々なんか言ってるし、人々は三々五々あちこちで集会しているし。
the West チームも、安倍をだまくらかして仲間にするのはいいけど、失うものは最小限にしないとなと思っているからこそ、時々野党やら国会前デモの様子を伝えているんじゃなかろうか。日本のためにじゃない、the West というブランドのためだ。
なかなか話が標題に行かないけど、で、だ。NHKは一体何を考えているんでしょうか。安保法制より相撲が大事な国だと判断したというより(テレビ東京ならこういうチョイスでいいけど)、政権の意向を反映して、国会でマズイ映像が出そうなところは中継しないという判断だろうなーと素直にそう思う。
議会をなんだと思ってんだ、という話。国権の最高機関たる議会を常にウォッチできるようにするべきだし、それを通して国民が何が起こっているのかを監視するとともに、議会内閣制における議会の回し方、テクニックとか多少の騙し、対論の方法とかとかを勉強させるってのも大事。
どうしてもNHKは政府の御用聞きでございますという態度でいくなら、受信契約を任意にするか完全国営の無料放送にしてエンタメなんか一切やめる。その上で、議会については議会チャンネル作って、年がら年中どこかの議会を放送してればいいんだよ。議会がない日は再放送再放送で全然OK。アメリカにもイギリスグループにもあるああいうの。
今日は枝野さんがそうおっしゃっていたし、他日は多くの方がおっしゃっているけど、安倍政権の歴史に残る貢献は、多くの国民がなぜ憲法が必要なのか、憲法に立脚して国家を運営するとはどういうことなのかについて気がつく後押しをしたことだろうと思う。50年後の日本を考えながら整備していけばいいと思ってる私。
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